【宅建試験】制限行為能力者について学ぼう
本日は制限行為能力者のところを学んでいこうと思います。
制限行為能力者という名の通り、能力に制限がかけられている人ってやつです。例えば重い精神疾患を患っている人が、自身の判断で高級なものを購入した場合、その売買契約をなかったことにできるのか?というものです。店で買い物をすれば代金を払わなければならないのは当たりまえです。しかし当人の判断能力(意思能力)が著しく低い、幼児や泥酔者、重い精神病者など意思能力が欠けている者(意思無能力者)は自身で行った契約は無効となります。
つまりは歌舞伎町で泥酔状態で知らない「いい店あるよ」て言ってるおじさんについていったらなんだかわからないけれど高価なものを買わされた。というのはその時意思無能力者となっているため無効ってことですね。わかります。
行為能力と制限行為能力者制度
判断能力が不十分の人が、
不利な条件で不動産の売買契約をしないようにするためにはどうすればよいか。
不利な条件で契約をしてしまった場合どうすればよいか。
契約をするためには一定の判断能力が必要となります。とくに不動産取引は高額となるため、判断能力が不十分なのであれば売買契約の目的物の価値や契約内容を理解するのは困難で、そのような人は騙されて契約をしてしまう恐れもあります。そのため判断能力が十分でない者を保護するため、制限行為能力者制度というものがあります。制限行為能力者とは一人で確定的に有効な取引を行える能力(行為能力)が制限された人のことをいいます。
制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の四種類があります。
・それぞれに保護者をつける。
・単独で行った契約は取り消すことが出来る。
制限行為能力者は取り消しを行うにあたり契約時の判断能力の証明が必要ありません、未成年者かどうかは戸籍謄本で、成年被後見人、被保佐人、被補助人かどうかは後見登記によって確認ができます。私も法人登記の時だったか古物商の届け出の時だったか忘れましたが、提出書類に「登記されていない証明書」というものを法務局で取得しました。登記されていない、つまりは制限行為能力者ではありませんよーっていう書類です。
続いて制限行為能力者の種類についてお話しします。
制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の四種類あるとお話ししました。
ここの未成年に関しては一度でも婚姻経験があれば成人として扱われます(成年擬制)。別に酒が飲めるタバコが吸えるようになるわけではありません。結婚をすると出産や部屋の賃貸、場合によっては土地の取引など様々な法律行為が必要となります。その都度親に確認を取っていては面倒です。結婚したんだから多少はね。ということで結婚経験のある人は成人と同じ扱いをするってことです。
成年被後見人、被保佐人、被補助人については家庭裁判所が開始の審判をなすときは本人、配偶者、四親等内の親族、検察官等の請求が必要らしいです。なお、補助開始の審判については、本人以外の者が請求するには本人の同意が必要とのことです。補助人程度の精神上の障害であればある程度の判断能力があるため、そこのところは本人の意思を尊重しましょうってことなのでしょう。
つまり制限行為能力者ってのは、
未成年者:満二十歳未満のもの。ただし婚姻歴のあるものを除く。
成年被後見人:精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるもので、家庭裁判所から後見開始の審判を受けたもの。
被保佐人:精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分であるもので、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けたもの。
被補助人:精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分であるもので、家庭裁判所から補助開始の審判を受けたもの。
これらが制限行為能力者ということになるそうです。
言葉がオブラートに包まれ過ぎててよくわかりませんが、精神の病み度合で酷いのが成年被後見人、中程度が被保佐人、軽度が被補助人ってことですよね。成年被後見人は小さな子供と変わらない程度って扱いなのでしょう。でもそんな感じで書けばいろんな団体から怒られたりしてしまいますからね。
つづいて制限行為能力者の保護者とその権限について。
保護者の権限は以下のものとなります。
・取消権
親に内緒で何かを購入したあとに、親がそれを拒否した場合、親はこの契約をとりけすことができます。そして親に停められたであろう未成年者自らも取り消すことができます。制限行為能力を理由とした取消しは善意の第三者に大しても対抗できます。例えば未成年者Aが親の同意を得ずに自己名義の土地をBに売却し、その後Bが善意のCにその土地を転売した場合でもAおよびその親はAB間の売買契約を取り消し、善意のCから土地を取り返すことが出来るようです。
これってまったく納得が出来ないですよね。そもそも親がちゃんとしていない。子供もどうしょもないし。そんな中その子供に土地を与えているなんてクソ親としか思えないんですが、善意のCさんを救ってあげたいところですが、日本の法律は制限行為能力者に肩入れしているみたいです。
・追認権
内緒で買ったものの親がそれを認めるのであれば契約後に承認(追認)することが出来る。追認すると取り消すことはできなくなり有効な契約として確定する。
・同意権
購入契約前に承認(同意)を与えることもできる。同意すると完全に有効な契約となり取り消せなくなる。
同意も追認も当然のことですよね。認めたら二言は無しです。ちょっとまったは相撲だけですよ。こんな感じで同意権が保護者に与えられていますが、成年被後見人の保護者である成年後見人には同意権がありません。成年被後見人は判断能力が欠けているため、同意を貰っていても同意通りに行動できない可能性が高く、かえってトラブルになるから。そのため成年被後見人が保護者の同意を得て契約をしても、その契約は取り消すことができるようです。反対に保佐人・補助人が利益を害する恐れがないのにも関わらず同意しないとき、被保佐人・被補助人の請求により、家庭裁判所は同意に係る許可を与えることが可能。判断力が不十分とはいえ自己決定権を尊重するため。ただこの許可が下りれば同意があったのと同様に取り消しは不可となる。
・代理権
親が未成年者に代わって売買契約をする行為が代理権といいます。この場合も取り消しは不可。未成年者および成年被後見人の保護者には代理権が法律上あたえられています。これらの者を「法定代理人」と呼ぶことがあります。
成年後見人・保佐人・補助人が制限行為能力者に代わってその居住を用に供する建物・敷地について、売却、賃貸、抵当権の設定などの処分をするときは家庭裁判所の許可を得なければならない。ここについては悪ーい成年後見人が勝手に売り買いをしないようにするための制度なんでしょう。
未成年後見人、成年後見人・保佐人・補助人はいずれも法人がなることができ、また複数人専任することもできる。
未成年者と取消し
例)未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った契約は取り消すことが出来るか?
これについては先ほど出てきた通り取り消すことができます。しかし例外的に法定代理人の許可を得ずに行っても取り消すことができないケースがあります。
・単に権利を得または義務を免れる行為
例えばプレゼント貰ったり(権利)、借金を帳消しにしたり(義務を免れる)ことをさします。
飲み屋の売掛を免れるのに親の承諾は不要ってことですね。わかります。
・法定代理人から処分を許された財産の処分
小遣い程度の買い物であれば、その程度で取り消しは面倒ってことなのでしょう。
小遣いでキャバクラ行ってもお咎めなしってことです。
・法定代理人から許可をされた営業に関する行為
親からお店を営むことを許可された場合、その営業にかかわる様々な行為(商品の買い付け、売買)については成年者と同等の行為能力を有するってことです。その都度確認を取るのは大変です。つまり業務目的に夜間飲食店のリサーチっていれておけばいいんですね。
成年被後見人と取消し
例)成年被後見人が成年後見人の同意を得ずに行った契約は取り消すことが出来るか?
成年被後見人が行った契約は原則として取り消すことが可能。ただ日用品の買い物程度であれば本人の自己責任ということで取り消すことができない。
被保佐人と取消し
例)被保佐人が保佐人の同意を得ずに行った契約は取り消すことが出来るか?
被保佐人は原則として単独で契約をすることができます。つまり保佐人の同意は不要であり、取り消すことができません。判断能力が著しく不十分とはいえある程度の判断能力があるからです。しかし「財産上重要な行為」については慎重な取引が必要となるため保佐人の同意が必要。同意を得ずに次の行為を行えば取り消すことが可能。
・元本を領収し、または利用すること。
・借金をしたり、保証人になったりすること。
・不動産などの重要な財産の取引をすること。
・訴訟行為をすること。
・贈与・和解または仲裁合意をすること。
・相続の承認・放棄、または財産の分割をすること。
・贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申し込みを承諾し、または負担付遺贈を承認すること。
・新築、改築、増築または大修理をすること。
・山林10年間、その他の土地5年間、建物3年間を超える賃貸借契約をすること
なお、財産上重要な行為であっても、日用品の購入その他日常生活に関する行為については被保佐人が単独で有効に行える。貯金の払い出しは「元本を領収し、または利用すること。」に該当するが、少額の預貯金の引き出しは日常生活に関する行為なので同意は不要。
被補助人と取消し
例)被補助人が補助人の同意を得ずに行った契約は取り消すことが出来るか?
被補助人は被保佐人よりも普通の人に近い。そのため単独で契約をすることが出来る。被保佐人同様同委は不要で取り消すことができない。ただし被保佐人の取り消すことが可能なケースの中から補助人の同意が必要があるとして家庭裁判所の審判を受けた特定行為は同意を得なければならない。同意を得ずに行った行為は取り消すことが出来る。つまりは何に同意が必要なのかを事前に選択しておくってっことですね。
制限行為能力者の相手方の保護
例)制限行為能力者と契約を交わした相手方は追認があるまでは契約が取り消されるかもしれないという不安定な立場にあります。相手方を保護するためにはどのような手段があるか?
相手方は一カ月以上の期間を定めて、制限行為能力者の保護者に対して、その期間内に追認するか取消しするかの回答を求めることが出来る(催告権)。期間内に確答がない場合、追認したものとみなされる。また制限行為能力者本人が能力を回復した後は、その本人に対して催告し、期間内に回答がないとときも追認したものとみなされる。
それに対し被保佐人・被補助人に対して催告し、確答がない時は取り消したものともなされる。期日までに確答がなければ追認したものと扱われるとしたら制限行為能力者である被保佐人、被補助人の保護にかけるから。なお、催告を受ける能力がない未成年者・成年被後見人に対して催告しても、催告の効力は生じない。
制限行為能力者の詐術
例)未成年Aは成人であるかのように装い、Bから商品を購入した。Aは法定代理人の同意を得ていないことを理由にこの契約を取り消すことが出来るか?
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いた場合は、その行為を取り消すことができない。このような制限行為能力者を保護する必要は無いから。
取消権の消滅
例)制限行為能力を理由とした取り消しや詐欺・強迫による取り消しはいつまでか?
取消権が消滅するのは取り消すことが出来る行為を長期間放置すると相手方や第三者の立場を不安定にするため期日を決めています。取消権は追認出来る時から5年。取り消すことが出来る行為をおこなった時から20年を経過すると消滅する。
法定追認
例)未成年者Aが親に内緒で商品を購入した後、その親が代金の一部を支払った。この場合Aはこの売買契約を取り消すことが出来るか?
取消権者が異議をとどめないで代金を支払うなど、取消権を放棄したと思われるような行為をしたときは追認したものとみなされます。これを法定追認といいます。法定追認があると取り消すことはできません。ただ「異議をとどめて」代金を支払う場合は追認したものとはみなされません。
今回は制限行為能力者について勉強しました。
被保佐人、保佐人、被保佐人、被補助人、被補助人、補助人。
なんで被で分けるんですかね。もう少しわかりやすくしてほしいです。障害大、障害中、障害小みたいな感じで。
また被保佐人とか、これってとある団体から文句出ないのでしょうか?
被保佐人では保佐人が主体になっている。これは差別だ!
こんな感じで。
障害者は障害者ではなく被障害者って呼ぶんでしょうね。たぶん。
日本の法律では法の下に平等のため精神疾患を抱えている人であろうとも平等に扱わなければなりません。
その結果がこのような複雑な内容のものとなってしまうのでしょう。
私はまだこれについてお世話になっていませんが、いつかは後見人を立てなければならない時が来るやもしれません。