【宅建試験】債務不履行とかを学んでみる
今回は債務不履行について勉強していこうと思います。
債務不履行とは
たとえばA所有の建物をBに売却する売買契約が成立すると、契約の成立と同時に建物の所有権がBに移転し、それに基づきBはAに対して建物を引き渡すように請求できる権利(債権)をもち、その対価としてAはBに対して代金を支払うように請求できる権利(債権)をもつ。そしてそれぞれの債権に対して、Aは建物を引き渡す義務(債務)を負い、Bは代金を支払う義務(債務)を負う。
では、約束の日になってもAが建物の引き渡しをしなかった場合どうなるのか。これが債務不履行の問題になります。故意または過失によって債務者が債務の約束に従った履行をしないことを債務不履行とよびます。これは建物が消失するなど債務の履行をしたくてもできない履行不能と、履行はできるけれども遅れている履行遅滞の二種類に分けることができます。
借金返せないのも債務不履行。家賃払わないのも債務不履行。
客引きのにいちゃんに最後までと言われたのに最後までできないのも債務不履行ってことですね。
履行不能
債権者の故意・過失により履行が不能になることを履行不能といいます。
履行不能の効果は損害賠償の請求が出来ます。また直ちに契約を解除することができます。解除しても損害があれば損害賠償請求が出来ます。
履行遅滞
債権者が履行の提供をしたのにもかかわらず債務者が故意・過失によって履行期に遅れることを履行遅滞といいます。
売買契約では売主の引き渡し債務と買い主の代金支払い債務は原則として同時履行の関係に立ちます。契約当事者一方が履行の提供をしなければ、他方も履行を拒むことができます。これを同時履行の抗弁権といいます。したがって売主Aの建物引き渡しが履行期に遅れてもその事実だけで履行遅滞になるとは限りません。買主が売主に代金を差し出すなど、履行の提供をし、それにもかかわらず売主が建物の引き渡しをしないときにはじめて履行遅滞となります。
履行遅滞の場合、債権者は債務者に対して相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がない時にはじめて契約を解除することができます。履行不能と違い。履行が不可能になったわけではないので、債務者にもう一度履行のチャンスを与えてからでないと解除できないからです。また債務者は損害があれば損害賠償を請求することができます。
損害賠償の請求は原則として、建物の引き渡しが遅れたため買主がやむを得ずアパートを賃貸した場合の賃借料など通常生じる範囲の損害について賠償請求することが出来るようです。ただし転売目的で土地を購入したところ、売主の引き渡しが遅れたことにより転売価格が下落してしまった場合の下落分などのように特別の事情によって生じた損害は債務不履時に債務者がその事情を予見しまたは予見することが出来た時に限り、賠償請求が出来ます。
履行期の種類については様々なものがあります。
・確定期限のある債権については期日到来時。確定期限とは将来に日時を決めるやつです。
・不確定起源のある債権は債務者が期限到来を知った時。例えば死んだら払うってやつです。
・期限の定めのない債権は債務者が履行の請求を受けた時。借金であれば返済期日を決めないやつ見たいなのですね。つまり金返せよって言った時が履行遅滞の始まりということですね。
・停止条件付債権については債務者が条件成就を知った時。つまり宝くじ当たったら金返すっていうのは停止条件付債権ですね。
過失相殺
履行遅滞が生じた後に債権者が転居し、これを債務者に通知しなかったため、さらに履行が遅れた場合のように、債務不履行に関し債権者にも過失があった場合、債務者からの主張がなくても裁判所はこの過失を必ず考慮しなければなりません。まぁ当然のことですね。過失相殺は以前交通事故にあったときにこの辺の話が出たことがあります。右直は7:3みたいなやつですね。
損害賠償額の予定
損害賠償を請求するためには原則として債務者が損害の発生や損害額を証明しなければならない。しかしこの証明は難しく手間がかかる。そこであらかじめ債務不履行があった場合に備えて損害賠償額を当事者で決めておくことができます。これを損害賠償額予定といいます。
例えば予定額を一千万と定めていれば実際の損害額がそれよりも大きくても小さくても一千万円で解決することになります。裁判所もこの予定賠償額を増減することはできません。ただし債権者に過失があって過失相殺が必要な場合は裁判所は予定賠償額を減額することができます。この損害賠償額の予定は損害発生前であれば契約成立後でも行うことができます。また侵害賠償の予定額の合意が暴利利益にあたり、公序良俗違反により無効になるとき、裁判所は予定額を減額することができます。
契約当事者間で違約金の定めをすることがあります。この違約金には損害賠償額の予定としての違約金と違約罰としての違約金があります。損害賠償額の予定としての違約金の場合、損害賠償額の予定が成立しているため債務不履行があっても債権者は予定賠償額しか請求できません。しかし違約罰としての違約金の場合には損害賠償額の予定が成立していないので債権者は約束違反のペナルティとして違約金を受け取った上で別途損害の発生や損害額を証明して損害賠償を請求することが可能です。どちらの意味の違約金か定かではない場合は損害賠償額の予定と推定されます。
金銭債務の特則
売買代金の支払い債務のように金銭の支払いを目的とする債務を金銭債務といいます。売主は買主から代金の支払いをあてにし、ほかの人への借金の返済を考えていたかもしれないし、ほかの人も売主からの返済を見込んでいたかもしれません。このように支払いが遅れるとほかにも影響があるわけです。
そこで金銭債務については特別ルールを用意してあります。自然災害が原因でも買主に故意・過失がなくても約束の期日に支払いが遅れれば履行遅滞の責任を負います。支払いが遅れた原因が自然災害という不可抗力であっても履行遅滞の責任は免れることはできません。また金銭がこの世からなくなることはないため金銭債務は履行不能とはなりません。さらに債権者は損害を立証することなく損害賠償請求が出来ます。損害賠償額は法定利率(年5%)に限定されています。なお、当事者間で定めた約定利率が法定利率を超えているときは約定利率になります。
解除とは
解除とは契約の当事者の一方からの意思表示によって有効に成立した契約の効力を解消させてその契約が初めからなかった状態に戻すことをいいます。建物の売買契約が解除されると買主は引き渡しを受けた建物を返還し、売主は受け取った代金を返還しなければならない。これを原状回復義務といいます。この場合、当事者は単に受領したものを返還するだけでは足りません。売主は受領済みの金銭を返還するときは受領時からの利息をつけて返還しなければならず、買主はすでに引き渡しを受けているのであれば使用料相当額をつけて返還しなければなりません。原状回復義務は同時履行の関係にあります。買主が建物を返還しないのであれば売主は代金を返還する必要はありません。
ちなみに解除の撤回はできません。また契約当事者が複数いる場合の解除の意思表示について、債権者が複数いる場合は債権者全員でする必要があり、債務者が複数いる場合は債権者は債務者全員に対してしなければならない。
法律用語って難しいですよね。解除、解約、契約の終了。似たような言葉ですが、ちょっと違うんですね。
催告による解除権の消滅
・解除権の行使について期間の定めがない場合、債務者は債権者に対し相当期間を定めてその期間内に解除するかどうかを確答するように催告することが出来る。
・その期間内に解除の通知がなければ解除権は消滅する。
解除と解約前の第三者との関係
例)Aが自己所有の土地をBに売却、その後Bがこの土地をCに転売。ところがその後AはBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除した。この場合AはCから土地を返してもらえるのだろうか?
Bから代金を支払ってもらえないAは気の毒だからせめて元通り土地を返してあげた。しかし土地が手に入ると期待しているCにも期待通り土地を取得させてあげたい。そこで自分の権利を守るために先に努力をした方を保護することにした。つまり登記を備えたか否かでAとCの優劣が決まります。
意思表示では第三者が保護されるため善意であることが必要でした、例えばBの詐欺によりAが自己所有の土地をBに売却、さらにBがCに転売し、その後Aが詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消した場合、これはCがその事実を知っているか知らないかを問題にしました。しかしここではCが登場した時点で解除の履行について第三者の善意・悪意を問題にすることはできないのです。そこでCが保護されるためには登記を備えるひつようがあるのです。
日常生活をする上で契約をしたり解約をしたりするわけですが、普通に生活をしていれば債務不履行になるようなことはありません。そのためあまりかかわることがないのですが、宅建だとこのあたりも重要になってくるんでしょうね。私がしょっちゅう債務不履行をしているのであれば憶えやすいのですが、どうもこの手の話は苦手です。でもこうやってブログに書いて覚えていくしかないですね。
次回は危険負担という項目になります。