【宅建試験】「〇〇組に渡したからよー」債権譲渡・弁済・相殺について
本日は債権譲渡を学びます。またまたお金のことのお話です。日本人は金の話ばかり。しかも借金のこと。日本が借金大国っていわれるのもわかります。民法って借金法なんじゃないのかってくらいこの手の権利の話ばかりですよね。宅建の試験がその部分にスポットを当ててるんだと思いますが、こんな感じで常にお金の話をしているのは悲しいです。でも、学ばなければなりません。少し頑張りましょう。
債権譲渡とは
相手方に対する債権を担保に第三者からお金を借りることができるが、相手方に対する債権を第三者に売却することでお金を手に入れることができる。これが債権譲渡である。
債権譲渡は原則として自由にできるが、債権者と債務者との間で譲渡禁止の特約をしている場合は債権譲渡ができない。この特約に反する債権譲渡は無効となる。ただし善意無過失の債権の譲受人に対しては無効を対応できない。その結果善意無過失の譲受人は有効に債権を取得することができる。
「あんたの借金は〇〇組に渡したからよー」ってやつですね。よくテレビドラマで見ますね。
債権譲渡の対抗要件
・譲受人の債務者に対する対抗要件
債権譲渡に債務者の承諾は不要のため、債務者の知らない間に債権が譲渡される場合がある。そうすると債務者は旧債務者に弁済をしたところ、その後新債権者が現れ債権の譲り受けたので払ってくださいという恐れがある。そこで譲受人が債権者に債権を行使するためには旧債権者から債務者への債権譲渡の通知、または債務者の承諾が必要とされている。この通知承諾は口頭でも構わない。
嘘の通知が成される恐れもあるので、新債権者からの通知は認められない。なお、新債権者は旧債権者に代位して通知することはできないが、旧債権者の代理人として通知することは認められている。
・債務者以外の第三者に対する対抗要件
債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の優劣は、確定日付の有る証書による通知または確定日付の有る証書による承諾の前後によって決まる。確定日付の有る証書とは内容証明郵便などをいう、例えばAがBに対する債権をCとDに二重譲渡し、Cへは確定日付の有る証書、Dへは確定日付のない証書によってBに通知した場合、CがDに優先して債権を行使することができる。またどちらも確定日付がある証書による通知が成された場合は、通知が先に債務者に到達した方を優先する。確定日付の前後は優劣に関係ない。そして確定日付のある証書による通知が債務者に同時に到着した場合はCD双方が債務者に全額請求できる。もちろん債務者はいずれか一方に支払えば免責される。
つまり「あんたの借金は〇〇組に渡したからよー」って通知が必要ってことです。〇〇組の人が代理人として通知も可。
譲受人に対抗できた事由の継承
債務者は譲渡の通知の時に、譲渡人に対して弁済期が到達した反対債権を有しているときは、譲受人に対しても相殺を対抗できる。
異議をとどめない承諾
債務者は債務を弁済したのにもかかわらず、その債権が譲渡され、異議を留めない承諾をしたときは譲受人からの請求を拒むことができない。
弁済の提供
弁済とは履行とほぼ同じ意味であり、債務の本旨に従った給付を行い、債権を消滅させる行為をいう。
弁済の提供とは債務者側でなしうる必要な準備行為をして債権者の受領を求める行為をいう。債務者は弁済の提供をすればたとえ債権者が受領しなくても債務不履行責任を免れることができる。
弁済の同時履行
弁済と受領書の交付は同時履行の関係に成り立つが、弁済と債権証書の交付は同時履行の関係に立たない。
・弁済と受領書の交付は同時履行の関係に立つ。
・弁済と債権証書の交付は同時履行の関係に立たない(弁済が先)
・弁済と抵当権設定登記の抹消登記手続きは同時履行の関係に立たない(弁済が先)
第三者による弁済
弁済は原則として債務者以外の第三者も行うことができる。ただし以下の事項は第三者が弁済することはできない。
・債務の性質上第三者の弁済が許されない場合
名演奏家のコンサートで演奏する債務のように代わりに債務を弁済できない場合。
身体ではらう債務のように代わりに債務を弁済できない場合。
・第三者弁済禁止の特約がある場合
第三者による弁済に反対の意思表示をしているため。
・債務者が反対している場合の利害関係のない第三者
利害関係のない第三者とは債務者の親、兄弟、友人など、親族または個人的な関係だけで法律上の利害関係がない者をいう。この利害関係のない第三者は債務者の意思に反して弁済することはできない。弁済しても無効。したがって債務者の債務は消滅しない。
これに対し利害関係の有る第三者とは物上保証人、抵当権不動産の第三取得者、借地上の建物の賃貸人など、債務の弁済がされなければ抵当権の実行により権利を失うなどの法律上の利害関係がある者をいいます。利害関係の有る第三者は債務者の意思に反しても弁済することができる。
弁済による代位(法定代位)
例えばAはBに対して債権を有しており、この債権を担保するためBの所有地に抵当権の設定を受けさらにCが保証人となった。この場合、保証人Cが債務者Bに代わって弁済した時はCはBに対して肩代わりして支払った分を求償できる。Cは求償権を確実にするため、債務者の有していた地位を得ることができる。これを弁済による代位という。つまりAがBの土地に抵当権を設定していれば、Cはその抵当権を実行することができる。
弁済受領権限のない者への弁済
弁済の受領権限のない者に対して弁済しても、その弁済は原則として無効。債務者は依然として債権者に対して弁済する義務を負っている。ただし受領証書の持参人または債権者の代理人であると偽る者のように外見上真実の債務者に見える者などに対して善意無過失で弁済した場合は、例外的にその弁済は有効と扱われ、債務者に対する弁済は免れる。
代物弁済
債務者が債権者の承諾を得てその負担した給付に代えて別のもので弁済した時は弁済の効力が生じ債権は消滅する。ただし、不動産の所有権をもって代物弁済の目的とする場合、所有権移転登記を完了しなければ弁済の効力は生じない。
身体で支払うっていうのも代物弁済になるんでしょうね。
弁済の目的物の供託
債務者が弁済の提供をしたのにもかかわらず、債権者が受領を拒否した場合などには弁済者は債務や抵当権などを消滅されるため、弁済の目的物を供託所に供託することができる。供託すると弁済と同じ効力が生じ、債務が消滅する。
身体で支払う形を取り相手が拒否すれば自分の身体を供託すればよいってことですね。わかりました。
相殺とは
AがBに100万円の貸金債権を有しており、BがAに150万円の代金債権を有している場合、AB相互が返済や支払いを省略して100万円の範囲内でチャラにすることを相殺という。Aが相殺の意思表示をする場合、AのBに対する貸金債権が自働債権BのAに対する代金債権が受働債権。他方Bが相殺の意思表示をする場合は、BのAに対する代金債権が自働債権、AのBに対する貸金債権が受働債権である。
相殺の要件(相殺適状)
相殺は次の三つの要件をすべて満たしたときにできる。この相殺ができる状態を相殺適状という。
・双方の債権が同種の目的を有すること
金銭債権と金銭債権というように同種の目的を持っていることが必要。なお、債権額、履行期、履行地が異なっていても相殺することができる。
・自働債権の弁済期が到達していること
相殺は債権を回収して債務を弁済したことと同視できる。したがって弁済期が到来していなければ履行の請求ができない以上、自働債権の弁済期が到来していなければ相殺できない。
・両債権が存在すること
双方が債権を有していなければ原則として相殺できない。
相殺に関する具体的問題点
・不法行為と相殺
被害者を現実的に保護するため加害者側から相殺をすることはできない。なお、被害者からの総裁は認めている。
・差押えと相殺
【受働債権の差押え後に自働債権を取得した場合】
AのBに対する貸金債権がAの債権者Cに差し押さえられてしまった。その後BがAに対し反対債権を取得した。この場合Bは相殺を主張することはできない。したがってCが差し押さえた債権を行使してBに請求してきたときはBは相殺を主張してこれを拒むことはできない。CがAのBに対する債権を差し押さえた時点ではBは反対債権を取得していないわけで、Bからの弁済を期待していたCを保護するため。
【受働債権の差し押さえ前に自働債権を取得した場合】
差し押さえ前に反対債権を取得していた場合は主張することができ。したがって債権者Cに対してBは相殺を主張し、拒むことができる。CはBが相殺するかもしれないとわかっていたため。
・時効消滅と相殺
自働債権が時効により消滅すると「双方の債権が存在すること」という要件を満たさず、相殺できないはず。しかし時効消滅前にいったん相殺ができる状態に達すれば、その時点で決済されたと考え、わざわざ相殺の意思表示をしないことも多い。この点を考慮し時効消滅後も相殺できるとされている。
・債権譲渡と相殺
債権譲渡の通知時に債務者Bが旧債権者Aに対して弁済期の到来した反対債権を有し、相殺を主張できる状態にある場合、新債権者に対しても相殺の主張が出来る。
本日は債権譲渡について学びました。日常的に債権がある状態っていうのは不安定な状況なのでしょう。私はできる限り人様に迷惑をかけることなく、そして人とのかかわりを出来るだけ少なくして生きています。そうなるとこのようなトラブルにはなりませんからね。債権譲渡についてはそこまで複雑なものではありませんでした。要は一定の要件を満たしていれば権利の売買ができるって認識でよいということなのでしょう。