山林生活

狩猟の意義や役割について

狩猟の意義や役割について

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1.狩猟の意義や役割

(1)さまざまな意義や役割を持つ狩猟

狩猟は法定猟法により、狩猟鳥獣の捕獲等をすることをいう。しかし、その目的はさまざまである。一例としては、ジビエ (野生鳥獣の肉)を楽しむこと、田畑を荒らす鳥獣を捕獲すること、増えすぎた鳥獣の数を間引くこと、伝統的な捕獲技術や文化を継承すること、などが挙げられる。

一般的に狩猟と呼ばれる行為の中には、このようなさまざまな目的を持った鳥獣の捕獲行為が含まれる。このうち、現代の自然環境、社会環境から見て、真に適切なものだけが一般国民の理解と共感を得て、人と鳥獣の共存の実現に寄与する行為として存続できるのである。

これからの狩猟は、あらゆる種類の鳥獣が、豊かな自然環境の中で、適正な数を保って生息できるよう、適切な個体数に管理することが求められている。また、鳥獣を捕獲するばかりでなく、進んでその生息環境の保全や保護増殖を図ることも求められている。

(2)狩猟の主な意義や役割

環境省によれば、狩猟の意義や役割は、おおむね次のようなものであると述べられている。

①趣味としての楽しみ

狩猟には、山、川、海、湖といった自然を体感しながら鳥獣と出会う楽しみ、自らの知恵と腕で、また、愛犬や猟友とのチームワークで獲物を狩る楽しみがある。さらに、狩猟の原点である、食べものとしての肉を得るということも、季節を味わう楽しみとなっている。このように、多くの楽しみが一体となって、狩猟の奥の深さ、幅の広さが生み出されている。

②自然資源の持続的利用

今日、「自然の保全 (Nature Conservation) 」とは「自然資源 (Natural Resources)」の合理的かつ持続的な利用であるという考え方が定着している。 この考え方は、資源の有限性が叫ばれる現代にあって、人類の生存にとって最も重要なことである。

狩猟は絶滅の危険性のない鳥獣を対象として、一定の制限の中で捕獲し、活用するということから、まさに持続的な資源利用を行うものであり、「自然の保全」の理にかなったものであると考えられる。
現在、人類や野生生物に著しい毒性を持つダイオキシンなどの化学物質の 問題をはじめとして、地球環境保全に関わる多くの課題が山積している。安全で持続的利用が可能な資源として、肉や角などにも目を向ける必要があると考えられている。

③農林水産業被害の予防

鳥獣による農林水産業への被害は、農林水産業関係者にとって大きな問題となっている。鳥獣法の目的の一つには、鳥獣の捕獲を通して農林水産業の振興を図ることが明記されている。近年は、ニホンジカやイノシシ等の生息 数の急増に伴い、狩猟によるその捕獲数も増加傾向にある。しかし、それでも被害が増えている。被害の激しい地域では、狩猟期間外に行われる有害鳥 獣の捕獲や被害防除施設の整備などに多額の経費が必要となっているところも多く、農山村にとって深刻な問題になっている。

このようなことから、ニホンジカやイノシシなど、地域的に著しく増加し、農作物などに著しい被害を及ぼす特定の鳥獣に関して、都道府県が独自に 「第二種特定鳥獣管理計画」を定め、これに基づいて狩猟等により個体数を調整する方策がとられるようになっている。狩猟は農林水産業被害の防止だけでなく、科学的・計画的な鳥獣の管理にも大きく貢献するものであると考えられている。

④日本の在来種の保護

近年、日本にはいない外国産の鳥獣が国内に数多く持ち込まれている。これらの中には野生化し、その生息分布域を拡大しつつあるもの(外来種 (移入種又は帰化種):国外又は国内の他地域から、野生生物の移動能力を超えて、人為によって意図的・非意図的に導入された種のこと)もいる。移入された獣類は、地上で繁殖する鳥類をはじめ、日本在来の鳥獣を捕食するなどにより、その生息に悪影響を及ぼすことが懸念されている。また、外来種による農業被害も目立つようになってきている。このため、平成6年には、それまで狩猟獣に指定されていたタイワンリス、ヌートリアに加え、ハクビシン、ミング、アライグマなどが狩猟獣に追加指定され、外来種の繁殖、分布拡大防止が図られている。このように、狩猟は、外来種の排除に貢献することで、日本在来の鳥獣の保護にも役立っている。

2.狩猟者の社会的責務

狩猟者が果たすべき主な社会的責務は、次のとおりである。狩猟者は、単なる鳥獣の捕獲者ではない。鳥獣の保護管理の担い手、いわゆる「森の番人」であることを自覚し、行動する必要がある。また、それに相応しい社会的責務を果たしてこそ、狩猟に対する一般国民の理解を深め、人と鳥獣との共存を推進させる鍵となることを認識する必要がある。

①自然環境の保全に協力すること。特に地域の自然環境に精通し、環境のモニターとして地域社会に貢献すること。
②常に、狩猟に関する知識や技能の向上を図ること。
③関係法令の規定に従い、狩猟に関するマナーを遵守すること。
④捕獲した鳥獣の有効利用に努めること。
⑤自然環境の保全に関する各種調査に協力し、必要な情報や資料を提供すること。
⑥鳥獣による各種被害の防止対策に対して、誠意をもって積極的に協力すること。

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