一蘭の100%とんこつ不使用ラーメンはハラルフードになり得るか?
西新宿七丁目の小滝橋通り沿いはラーメン激戦区となっております。
西新宿七丁目自体はそこまで大きな街ではありませんが、それなのに30軒ほどのラーメン屋があります。毎日食べても一カ月かかるわけです。
そして店の入れ替わりも激しい場所です。
人気店は生き残り、ダメなところはすぐにいなくなってしまいます。潰れるということはその程度の店なんだと思いますが、せっかく出来たのだから潰れる前に食べたいものです。
前に住んでいたころは店が出来たらとりあえず行ってみることにしていたのですが、引っ越してしまうとわざわざ西新宿七丁目まで行くことも少なくなりました。でも気になる店舗が出来たので今回はそのためにこちらに訪れました。
気になる店舗とはこちらです。
まさかの一蘭。
全国に70店舗。大体どこの都市にもあるラーメン店。
そうなんです。
どこにでもあるラーメン店なんですが、こちらの一蘭はほかの店舗とは違うのです。
一蘭と言えば福岡の屋台ラーメン。つまりとんこつラーメンなんですが、こちらの店舗は「100%とんこつ不使用ラーメン」が売りの店なんです。お店がオープンしたのが今年の2月末。5カ月ほど経ちましたので大分落ち着いた頃だと思い、今回行くことにしました。
正直なところ一蘭は以前は行っていたのですが、最近は足が遠のいていました。その理由は値段の高さです。
ラーメンと替え玉を頼むと1000円を超えてしまうのです。味は美味しいんですが金額を考えると行かなくなってました。とんこつラーメンであれば500円で食べられるところもあるのでそちらに行ってしまいます。500円で替玉二つまで無料なんです。貧乏性の私はやっぱり味よりも量なんです。
一蘭は値段が高い。そして混んでることが多いです。
新宿にはこの店舗を含め三軒の一蘭があります。歌舞伎町と新宿三丁目にあるのですが、どちらも混んでるんです。その混みの原因は外国人観光客です。日本人は少なく、観光客向けの店になっている状態です。そんなわけで行かなかったんですが、「100%とんこつ不使用ラーメン」というちょっと変わったラーメンだから行っちゃいました。
店内はほかの一蘭同様のつくりです。店の混雑状況は昼時でしたがだいぶ空いていました。特に並ぶこともありません。
ラーメン一杯が1180円。替玉が210円。
替玉二つ頼んだら1600円のラーメンになるわけですね!
最近ではそんなに食べられなくなりましたが、以前は替玉二つとか余裕でした。普通のラーメンに1600円は出したくないですよね。かといって替玉なしだと損した気分になってしまいます。そんなわけで替玉と普通のラーメンを選択。
これが一蘭の「100%とんこつ不使用ラーメン」です。
見た目は一蘭の豚骨ラーメンです。お味に関してですが、とんこつ風の鶏出汁ラーメンという感じでしょうか。豚骨ラーメンよりあっさりした感じです。チャーシューの代わりに牛弥郎と呼ばれる牛のばら肉を煮込んだヤツが乗っています。あとはいつものネギと赤いタレ。
てっきり肉を使っていないベジタブルなラーメンをイメージしていたのですが、普通の鶏出汁ラーメンでした。
そう考えるとなんてことはない感じがしますが、豚骨を使わずに豚骨ラーメンの味を目指しているという点では特殊なのでしょう。
味は美味しいです。でもこれだったら一蘭食べるかなといったところ。
そもそもこの店舗は理由があって豚が食べられない人のために一蘭を食べてもらおうというのがコンセプト。私は特に食の禁忌というのはなく、虫でも食べますのでここに来る意味があまりないのです。
記した通り一蘭は外国人観光客が多く利用しております。日本は仏教と神道ですが信仰心が薄いです。外国人は信仰心が強く食べられない食材もあります。とくにムスリムは豚肉が食べられません。世界の人口の約3割がイスラム教徒なわけです。当然訪日外国人の中にも多くいるでしょう。
イスラム教の人はお酒もダメだという話ですが、飲む人も中に入るようです。酒を飲んじゃダメなのは酔っぱらうから。酔っぱらわない程度であれば飲んでも構わないという考えのようです。しかし豚肉に関しては絶対にダメという感じのようです。
とんこつ不使用というだけなのでハラル料理ではないのでイスラム教徒の人は食べられないわけですが、今後はハラール認証を取りイスラム教徒の人でも食べられるように目指していくのでしょう。ハラール認証を取るのはかなり大変なようですが、それが実現できればラーメンのおいしさを世界に伝えることができるわけです。
個人的にこの試みは評価できます。日本に旅行に来たのに宗教上の理由で食べられないというのはかわいそうです。特にラーメンは中華料理から独自に発展した日本料理です。日本に行ったのにラーメン食べられないというのはかわいそうです。そしてトンコツラーメンの味を知ってもらうためにはこんな感じで別の食材を使うしかないわけです。このラーメンを知らずに出されたら鶏と豚骨の合わせ出汁だと思うくらいトンコツっぽさはありました。この部分では成功なのでしょう。
値段が高いというのは難点ですが、そもそも私は普通の豚骨ラーメンでいいわけですからね。
そんなわけなんで、この店も日本人からするとそこまで魅力のある店ではないということです。とんこつ食べられるのであればわざわざとんこつに味を目指した鶏ガラスープよりも普通の一蘭のとんこつラーメンを食べますよね。だからそこまで混んでいないのでしょう。そしてハラール認証も受けていないため、その人たちの入店も今のところ期待ができない。認証が取れれば、一部の訪日外国人の人気店になるかもしれませんね。とくに日本は土地も狭く資源もありません。そうなると観光に力を入れ訪日外国人を増やしていかなければなりません。
イスラム教信者は全世界の25%近くいるそうです。4人に一人がムスリムなのであれば和食もそれに合わせて変化しなければならないというわけです。この一蘭のように豚骨ラーメンも変化していくのかもしれません。
そして一蘭を食べて普通のとんこつラーメンが食べたくなりました。