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【たった30分の儚き恋】大阪九条の特殊飲食店街「松島新地」

【たった30分の儚き恋】大阪九条の特殊飲食店街「松島新地」

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仕事の関係で大阪に来ております。
前回来たときはホテルに缶詰め状態でした。そのため大阪に来たのにも関わらずどこにも行けない状態でした。今回もあまり自由時間がないのですが日中空き時間があったので行ってまいりました。

行った先は松島新地です。

大阪に来たのであればこの手の場所には行っておかないと損です。

松島新地はいわゆる「ちょんの間」と呼ばれる特殊な店がある風俗街です。
表向きは小料理屋が並ぶ料亭街ですが、実態は性風俗店。性風俗店は届出制ですが、この地域にある店はその届出をしていません。

その理由は飲食店だから。

誰がどう見てもその手の店のように思えますが、あくまでも飲食店なので飲食店の届出しかしていないのです。

人の恋愛の形は様々です。近年では多様性の享受する社会が求められています。キャバクラ嬢に恋をする殿方もいるでしょう。またお客さんに恋をする人もいるでしょう。恋愛はこのように自由なものなのです。

料亭の女将、給仕が恋をしたっていいじゃない。

この松島新地にある料亭で働くすべての人が、たまたま来たお客さんに好意を持つ「恋多き乙女」なんです。愛情表現は人それぞれ違いますが、ここで働く人たちは思いのほか積極的なのでしょう。営業中にソレをするのは倫理的な問題もあるのかもしれませんが、でもこれは自由恋愛でここはあくまでも小料理屋なんです。

自由恋愛。たとえそれが30分の儚き恋だとしても。

誰がどう見ても怪しい業態ですが、警察も黙認しているため新地は必要悪と考えているのでしょう。三大欲求の一つである性欲。誰しも気軽に欲を満たせる世の中になればよいのですが、食欲、睡眠欲とは違い性欲は相手ありきです。そのため節度を守らなければなりません。しかし皆が皆欲望を抑えられるわけではなく、その結果性犯罪に発展してしまうのでしょう。ただ性風俗店があれば犯罪に手を染めなくとも欲望を満たせるのです。そういった意味でこの手の店舗は社会にとって必要悪なのでしょう。ただ他の地域であれば特殊浴場があるのですが、大阪にはそれがありません。その理由は条例があるからです。

大阪では条例によりソープランドがありません。
ソープといえば風俗界の王様のような存在ですが、大都市にも関わらず大阪には存在しないのです。周りの兵庫や滋賀があるからなのでしょうか。大きな町であればその手の色街が存在し、時は流れソープ街へと変貌を遂げるわけですが、大阪はその道を断たれました。

遊廓はまず戦後カフェーと呼ばれる飲食店に変わります。そして売春防止法後はソープランドに変わります。大阪も同様に変わっていったのですが、条例で出店が禁止されました。大阪万博、大阪花博が行われた際に、一斉に取り締まりがあったそうです。それにより性風俗店は壊滅しました。
このように規制すると地下に潜りその手の組織が出てくるものです。特殊浴場がダメなら、特殊飲食店で再スタートしたわけです。

このような経緯を経て現在の形式になったそうです。

場所は阪神九条駅からほど近いところです。駅前はごく普通の大阪の駅です。
しかし道を一本逸れると、そこは少しばかり異色な街になってます。飛田新地でもそうですが、看板が統一されております。

大阪の町は継ぎ足し継ぎ足しで作られているので雑多な感じがありますが、色街に関してはしっかりと整備されています。看板の色を変えて目立つようにするというのが商売のセオリーですが、そこは組合か組事務所がちゃんと規制しているのでしょう。

これってインスタ映えするやつですよね。

飛田新地と違うのは普通の住居や飲食店も混ざっていること。
飛田の場合はそこにいる女性はスタッフ、男性は客。それ以外の人は入ってこないところです。ある意味皆兄弟姉妹という状態ですが、松島の場合は一般の人も歩いているし、小学生や子連れの親なども普通にいます。そのため店に入るのは勇気がいりますね。

規模は飛田新地の方が大きいですが、こちらもそれなりに店舗があります。

看板こそ白地に黒文字だけですが、店内は飛田新地同様にピンクの艶やかなネオン。そして激しいライトアップがされています。
料金は30分16000円のようです。飛田新地の場合は30分だと21000円なので5000円ほど安いです。
値段の安さは立地が関係しているのでしょうか。飛田新地を銀座とするのであれば、ここは五反田でしょうか。歓楽街としてのネームバリューの差が値段にあらわれているのでしょう。

そうかーここは飲食店なんだな。
飲食店を調べるのであれば飲食店レビューサイトを見るべきでしょう。その店の雰囲気を口コミで知ることができます。店選びをするのであればやっぱ食べログ的なもので見るべきですよね!

該当なしでしたー。

つまり、食べログに紹介されない「隠れ家的スポット」なわけです。
まぁ16000円払って飴しか出てこないんじゃ、食べログの評価も悪いのでしょう。

九条駅降りてすぐにお店はあります。
街は閑散としていますが、お店はきらびやかなネオンでロマンティックな雰囲気。まさに色街といったところ♪

今回は30分のコース料理を頂きました。臭みもなく、おいしかったです。

店員さんの対応は素晴らしく、気分よく食事をすることができました。
スタッフさんは傍にいてくれて素敵な時間を過ごさせてもらいました。料理は少し高いですが、また必ず行きます!

料理・味 ★☆☆☆☆
サービス ★★★★★
雰囲気  ★★★★☆
CP    ★★★☆☆

こんな感じでしょうかね。

今回、私は「食事をする」こともなく、ただフラフラと街を散策しただけです。東京ではこのような街がほとんどないですからね。冷やかしは本来ご法度ですが、街を見てまわるのもよいもんです。

現在ある松島新地は戦後にできたそうです。
松島に遊郭ができたのは明治になってから。以前は東側、国道172号線を超えた先の木津川あたりまでが松島遊廓で、大正時代には関西で一番遊女の多い遊郭だったそうです。ただこの松島新地も他の遊郭と同様に大阪大空襲で壊滅し、移転したそうです。

以前の松島遊郭のあった場所は松島公園と一般的な住宅街となってます。このあたりは千代崎という地名で、現在は京セラドームがあります。

大阪を代表するスーパー玉出です。私が初めて見た玉出は西成の店舗でした。最初は名前や看板を見てパチンコ店だと思ってましたが、そうではなく庶民の味方のスーパーでした。この色の看板こそザ・大阪といった感じです。新地の看板もこれにすれば目立つのですが、目立てば摘発に遭うのでしょう。

遊郭の傍にある茨住吉神社です。
ここ中心に九条は発展したのでしょう。

本来であれば「その飲食店」に入り、食べログ的なレビューを紹介するべきなのでしょうが、金銭的なこと、体力的なことなどからとくに店に入ることなく街を後にしました。店からしてみればただの冷やかし客で迷惑な話です。観光するのであればその街にお金を落とすつもりでいなきゃダメですよね。

一応飲食店という形で、そこで行われていることは自由恋愛の範疇ですが、近い将来この手の店はなくなる可能性が高そうです。
誰がどう見てもそういう店であり、法律で禁止されている以上そのまま野放しにはできないでしょう。過去には強引なスカウト行為で逮捕者が出ています。
今はまだ世界的に認知度の低いちょんの間も国際化社会が進めばこの手の人身売買はクローズアップされるでしょう。かといって法律で規制すれば地下に潜るだけで根本的な解決とはなりません。

売春防止法後もこのように残っているわけです。それであれば戦前のように公娼にした方が健全ではないでしょうか。

職業に貴賎なし。
隠れてコソコソ「自由恋愛だからー」とかやるよりも、認可制にして大手を振るって「売春してます」ってした方が衛生面も管理できるので良いと思うんです。

とはいっても飲食店で恋に落ちるってのも風情があってよいですよね。そういうのが好きな人がいる限り、ちょんの間は生き続けるのかもしれません。

関東だとこの手の店はだいぶ縮小しております。
まだまだ規模の大きい大阪です。日本の性風俗の歴史の一つですのでしっかりと残してほしいものです。

次はどこの飲食店街にいきましょうか。

また大阪に行ったときは別のとこも見てまわります。

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