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大気汚染の酷いインド!ディストピアの世界「アショックビハール」

大気汚染の酷いインド!ディストピアの世界「アショックビハール」

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こちらはネタジ・スバーシュ・プレイス駅です。
デリーメトロのレッドラインとピンクラインの乗換駅。ピンクラインの開業は2018年なので比較的新しい駅のようです。実際にほかの駅よりは少し新しい気ががしますが駅外観は築7年の様相ではありません。外観が汚いのは大気汚染が酷いからなのでしょう。

そんな空気の悪い中でチャイを飲みます。
チャイ屋さんは比較的どこでもあります。
チャイの注文は簡単で店主に「ちゃーい」って言えばいいだけ。値段とかは不明ですが10ルピー前後。
1杯10ルピーのチャイ、およそ18円で飲めます。どこのチャイ屋さんも1杯このサイズですが、ちょっと休憩するにはちょうどよいサイズです。でもめちゃくちゃ熱いです。熱いお茶が飲めるのはいいんですが紙コップギリギリまで入れるんです。サービスのつもりで入れてくれてるのでしょうが紙コップの質が悪いのですぐにこぼれるんです。

指をやけどするスタイル。
インド人の指、ウンコ拭けるし熱にも強い説。

その辺に腰かけてインド人と一緒に飲む。

「どこから来たのか?」って客に声かけられます。

インド滞在三日目ですがすでに8人ほどインド人に話しかけられています。しかも客引きを除いて8人です。東洋人が珍しいんでしょうか。たしかに観光客がこないところばかり巡ってます。

なんで日本人がいるんだ!お前はインド人か?と言われたことも。本日はそう言われない場所に行きたいですね。

ってわけでこれより私が行くところはワジルプル・インダストリアル・エリアっていう工業地帯です。

日本人観光客が行くような場所じゃない!

インダストリアルの名前の通り工業地帯です。デリー中心からそこまで離れていませんが大小さまざまな工場がある工場地帯です。デリーは内陸なので海がない、そのため内側に工業地帯があるようです。ここは京浜工業地帯のような場所でしょうか。川崎みたいなところなんでしょう。

煙突があり常に油臭く汚い工業地帯。そんな景色が拝めるんでしょうね。そこに行く手前で気になるところを発見。

大通り沿い小さな集落がありました。ビニールを被せた仮設テントが並んでいます。おそらく不法占拠で建てられた住居です。まさに川崎っぽい感じです。いやいやさすがに川崎はこんな感じのところはありません。ホームレスはいますがもう少しちゃんとしてます。川崎はこんな感じです。

いや、川崎と大して変わらない!むしろ川崎の方が酷い!

私が行き先は工業地帯です。マハトマガンジー道路沿いに工業地帯があります。幹線道路沿いにあるので利便性が良いですが、空気がかなり悪いです。そもそもデリー自体が空気がかなり悪いです。滞在中は連日晴天の予報でしたが太陽はスモッグにさえぎられていました。日は出てるけどなんか薄暗いく視界がかなり悪い状態です。

ほぼ北斗の拳の世界。

私がインド滞在中にタイバンコクではPM2.5の濃度が基準値を超えたため市内にある352の学校が休校になったそうです。空気質指数(AQI)が100を超えるとバンコクでは学校が休校になるそうでこのときは150を上回ったんだとか。ちなみに日本だと悪くても100以下、基本的に50以下で一桁台のところもあります。50以下は良好な空気とされているようで日本がどれだけ空気がキレイなのかがわかります。

100を超えると健康に良くないレベルで200を超えると極めて健康に良くない、500だと危険レベル。下限はゼロで上限は500なんだとか。

500なんて生きるのが大変そうな数値です。バンコクの150は相当ヤバ目なんでしょう。150以上は一般の人でも心臓や肺の悪化、健康への影響が懸念され マスク着用が推奨されてます。
バンコクで学校が休校になるのもしかたないです。

ちなみに私に今いる工業地帯の空気質指数は652でした。

ほぼガス室。生きてインドから出られない。

デリーの中心地は400前後。
工業地帯関係なく空気が悪すぎる!

また雨が降ってないためデリーの空気は連日悪く前日は999って数値でした。

カンストしてる。インド人ゾンビ化計画!ほぼほぼディストピアの世界。

999は最初エラーだと思ったんです。空気質指数の上限は500って書いてあるし。でも調べたところ稀に超えることがあるそうでその稀が連日起きていました。ちなみに私はインド滞在3日目で気管支炎になってます。

私はデリー滞在中はずっとマスクしていたんです。感染症対策ではなくただ単に空気が悪いから。マスクしていると息しづらいって言うじゃないですか?でもインドではマスクしてないと息しづらいんです。街歩きをするだけでも命がけ。やはりここは修羅の国、北斗の拳の世界です。

でもインド人ってほとんどマスクしてないんです。肺が一般の人よりも性能がよいのか、もしくはすでに肺に穴があいてて機能していないのか。コロナ明けたしマスクはいらないって思ってる人、インドはマスク必須です。

こちらがワジルプール工業地帯です。ワジルプールはデリーの北西に位置するデリー首都圏に29ある工業地帯の一つで1975年に工業地帯として指定されました。ワジルプールには鉄工所が多くありステンレス製品などの製造や販売をしています。また大小多くの工場があるため100万人以上の雇用を支えているんだとか。その多くが地方から出てきた出稼ぎ労働者です。

鉄鋼をプレス、切断、研磨して製品を作る。

けっこう過酷な労働でケガのリスクもあります。しかし収入はそこまでよいわけではなくデリーの最低賃金を割ることもあるんだとか。働き口を探すのに仲介業者を挟むため手数料を取られ最低賃金以下になるそうです。ちなみにデリーの最低月収は17234ルピー、約3万円で生活しなければなりません。結構シビアな生活ですね。そのためこの付近にはスラムがあります。

工業地帯の奥の方は少し荒れている感じがします。

工業地帯の南側は国鉄の線路があり線路沿いに沿って2000世帯が住んでいます。低廉な住居に大人数の家族が住んでいるんだとか。しかも上下水道はなく電気がない家もあるそうです。そういった家のことをジュギと呼ぶようです。

スラム街を抜けた先に線路があります。線路内に入ることは日本ではできませんがインドではごく普通の光景です。車も走っていないし一直線の線路はある意味歩きやすいのでしょう。けっこうな人が線路沿いを歩いています。ほぼスタンドバイミーの世界。

街ナカはゴミゴミしていますが線路沿いは静かです。まくらぎを足場にして歩けば歩きやすいです。

でも、うんこ落ちてるんですけど。

そうなんです。
日本でも昔は線路沿いにウンコが落ちていました。かつての列車の便所は水洗ではなくぼっとん便所、つまり線路にウンコを垂れ流していたのです。日本では1990年以降に汚物タンク付きの列車に切り替わりましたがインドではいまだに垂れ流し式なのでしょう。そういえばタイの列車も垂れ流し式でした。

けっこう世界ではウンコの扱いが雑のようです。そんなわけで線路上にうんこが落ちてるんです。でもなんかちょっと違う感じがするんです。動いている電車の中から垂れ流すわけで普通であればぐちゃっとした感じになるはずです。でもこの線路沿いにあるうんこ、まるでここでしたうんこ然とした様態なんです。

これ、電車のトイレ関係なさそう。

近くにはスラムがあります。
そのスラムには各所にトイレがあるようですが数が少ないため外で用を足す人が多いんです。木を隠すなら森の中って言葉がある通り、うんこ隠すならうんこがある場所へ。その結果この線路沿いは地域住民のトイレとなっているようです。

まくらぎを足場にしてウンコしてる人がいるからまくらぎにウンコがあるんです。これ100%うんこ踏んでいるし120%人間のうんこ。

こんな感じでウンコだらけですが日本じゃ線路内に立ち入れば炎上してSNSで晒された上に自宅特定されネット上でミーム化されることになりますがそういった心配もないんです。この線路を進めばインドの各地に行けるんです。そういった旅も面白そうですね(うんこ踏みまくるけど)。

このあたりはジャイロワーラバグってところです。デリー北西アショックビハールの中の集落でジャイロワラバグには多くのジョギが軒を連ね7000人ほど暮らしていたそうです。1990年頃からスラム街が形成されたんだとか。

居住者の多くはウッタル・プラデーシュ州出身者。同地方出身者のコミュニティーなのでしょう。

現在インドではスラム排除に乗り出しておりデリーでは3カ所でスラム再開発がされています。その一つがここジャイロワーラバグ。大きなスラム街でしたが再開発地区に指定され住人を一時的に避難させてスラムを解体し再開発、新しい住居に元住人を住ませたそうです。

遠くに見えるこの建物が再開発でできた建物。
建物ができたのは2024年3月。もともと2007年よりはじまった政策ですが17年の月日を経てやっとできたようです。

建物の高さは15階建て。周りには高い建物がないためかなり目立ちます。全室合わせて1675戸の公団住宅。ジャイロワラバグに住んでいた約1400世帯はここに住めるようになったようです。そして残りの部屋に関しては近隣スラムに住んでいた人に割り当てられたようです。

日本にある市営住宅と同じやつなのでしょう。収入の低い方や生活困窮者向けの住居ですが日本の市営住宅と同じで入居には入居資格があり当然IDがなければ入居できませんしスラムの居住確認が取れなければ入居できません。スラム街に住むのは不法移民やホームレスも多く実際に入居できたのは3割程度で残りは強制退去させられた上に住居を失いました。また入居資格が与えられた人の中にも家賃が支払えずスラムに戻った人もいたようです。一応インドにも社会保障はあるようですが日本のように手厚いわけでは無いようでかなり厳しい生活を強いられているのでしょう。

新しい住居はLPGボンベに上下水道完備。ライフラインはしっかりと整っているようです。また地下には駐車場も完備されてるんだとか。これまで水道もトイレもない生活だったわけですからかなり安定した生活になったのでしょう。

こちらがマンションの入り口。住民以外は立入りは難しそうです。周りは荒れていますがここだけきれいな建物です。

スラム街を更地にして建てたわけですが一部を建て替えただけなのでスラム街があります。マンション向って左側、こちらはデリー・アザッドプール駅前裏手ですがまだこのような景色が広がっています。この地帯全てを更地にして建てるのではなく周りのスラムはそのままなんですね。地図で見た感じだともう一棟建てられそうですが線路が二路線あるので作れないのでしょうか。

スラムの目の前は駅なのですが障壁で線路に行けないようになってます。駅前なのに駅にアクセスできない不便な場所。でも人の流れがあるんです。

やっぱりありました、出入り口。
いやこれは出入り口ではない!ほぼほぼ子供の秘密基地の入り口。

でも大人も普通に利用しています。

ここがデリー・アザッドプール駅です。インドの鉄道って主要駅以外は簡素です。切符がなくても構内に入れるシステムなので駅員はおらずプラットホームがあるだけです。当然手洗い場はなくトイレもないようです。そりゃウンコだらけになりますわ。

このように日本の駅と比べると特殊ですがさらに特殊なのはプラットフォーム目の前に家があるんです。まさに駅直結型の優良物件です。日本にも駅直結型のマンションはありますがここでは駅直結型の一軒家。

2020年9月に最高裁判所はデリー鉄道沿線のスラム街の住宅に対し3カ月以内に撤去するよう判決を出しました。線路沿いだから危ないってのが理由の一つですが人道的な配慮から強制執行はされておらずこのように駅前住居が残ったままです。これらが不法に建てられた住居なのか、それとも合法なのか。どう考えても違法建築なんでしょうね。列車は来ないけどなぜかホームには多くの人がいます。ほぼ庭みたいな感じ。子供はボール遊びをしている姿も見れ、のどかで素敵な感じです。

本日はデリー北西部、アショックビハールを巡りました。インドではスラムクリアランス事業が継続中で徐々にスラムを排除しようとしています。しかしスラムの数が膨大だし住民も多いので改善するのには時間がかかりそうです。

それよりも街ナカに放置されてるゴミや汚物をどうにかすべきなんじゃないでしょうか。
清掃するカーストの人のために街を汚してるなんてそんな話も耳にしますが清掃するカーストが間に合ってないんです。汚物に関してももう少しどうにかしてほしいです。

政府主導で野外排せつゼロを目指して全国に公衆トイレを普及させました。それにより野外排せつは減少したのでしょうか。しかし地方ならいざ知らず都心にもかかわらず人糞が転がってるんです。

宗教観がさー
カーストがさー

いやインド人の倫理観に問題ありでしょ。

不浄なのは左手だけじゃなかった。

まぁ糞が転がっているのはスラムくらい。ニューデリー駅前にはそういうのはありません。

こちらはデリー駅そばの橋の上、牛糞で作った燃料干してある

これがインドの首都デリーの姿。

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