デリーにあるリトルチベット「マジュヌカティラ」
インドではウーバーが利用できます。日本のアカウントのままで利用できるためなんの設定も必要なくすぐに使えます。支払いもクレジット決済。
目的地を入力すれば事前に料金がわかるため料金交渉は一切不要。目的地を告げる必要もないため会話も不要。チップをせびられることがありますがその程度。ちなみにチップはウーバーアプリ上で支払えます。私はせびるやつには一切チップをあげずに何も言わない人にチップをあげてました。現在乗っているのはオートリキシャー。
リキシャの語源は人力車からきてるんだとか。人力じゃないからオートリキシャー。
タクシーよりも安価で乗れてバイクみたいにコケる心配のない乗り物。インドの排気ガスをモロに感じながら移動できる最適な乗り物です。
行き先が駅から少し離れた場所だったのでウーバーを使いました。これより私が向かうところはデリーの中心から少し離れた場所にあるマジュヌカティラってところです。
デリーメトロヴィシュワヴィディヤラヤ駅北東側。ヤムナー川沿いの小さな集落マジュヌカティラ。マジュヌカティラは少し特殊な集落です。
西葛西のインド人街、新大久保のコリアタウン、横浜本町のチャイナタウン、川口のワラビスタン。日本には特定の国のコミュニティがあります。
インドにもグルガーオンに日本人街があるし南デリーの辺りはムスリム街がありました。同胞同士で集まりコミュニティを作るのはどこの国でも同じようです。そしてここマジュヌカティラはチベット人が集まるコミュニティーなんだとか。
ここにコミュニティーができたのは1960年頃。中国の実効支配下にあったチベットの首都ラサで1959年にチベット人の反乱が起こりました。ダライラマ14世はチベット独立を宣言しますが中国解放軍により鎮圧されてしまいます。またこの紛争によりチベット人と解放軍が衝突し、数千人のチベット人が殺害されたんだとか。
ダライラマ14世はインドに亡命。また10万人のチベット人がインドに逃げたそうです。インドはチベット難民を受け入れこの付近に難民キャンプができました。
1960年には難民に土地が割り当てられ、ここはチベット難民が多く住むリトルチベットとなったようです。
世界には亡命チベット人が12万人いるそうです。そのうち10万人がインドに暮らしてます。
インド全国に39カ所ほどチベット人街があり、マジュヌカティラはその中の一つのようです。インドが難民を受け入れたからここができたんですね。ちなみにインド政府は中国との国交樹立以降、チベットは中国の一部と明言してます。外交上中国としなければならないのでしょう。その割には難民を受け入れているしチベットの亡命政府がインド国内にあります。日本と中国と台湾の関係のような感じでしょうか。
チベットは凄い興味がある地域なんです。寒そうですが一度くらい行きたいじゃないですか。でもチベットに行くと中国で捕まりそうです(いやチベットは中国なのかな??)。
なんかこの辺の話は複雑なのであまり言及しませんが多分チベットに行くとスパイ容疑で逮捕されます。そんなわけでまず行くことができないチベット。日本にはチベット人街みたいなのはないですがデリーであればチベットを味わえるんです。
同じアジアで仏教国なのにあまり良く分かってないチベット。本日はそんなチベットをインドで味わいます。
こちらがマジュヌカティラの入り口となります。
川と大通りに挟まれた狭い地域にありコミュニティ自体もかなり小さいです。そこに多くの人が住んでいるため路地は狭くかなり薄暗い感じ。スラムっぽい雰囲気がありますが、街並み自体は結構キレイな感じがします。これまで何カ所かデリーのスラム街を見ましたが、基本ゴミが散らかっているしウンコも落ちている。下水は垂れ流しだし腐ったニオイがしてました。
でもマジュヌカティラは衛生的な感じがします。
ウンコはそこまで落ちてないんです(落ちてはいる)。下水臭さもそこまでではない(匂ってはいる)。なんとなく衛生的な雰囲気です。
歩いている人もちゃんとしている人が多め。
それもそのはずでマジュヌカティラは観光地化しているんです。新大久保のコリアタウンや鶴橋のコリアタウンは観光地となっています。
異国の文化に触れてみたい!と思うのはインド人も同じなのでしょう。
「週末は近くのチベット行ってみない!?」
みたいな感じでインド人が集まるんでしょうね。そんなわけで観光客が多く出入りしておりお土産屋や飲食店が複数あります。
リトルチベットの中心には寺院があります。日本にもチベット寺院がありますが名古屋にある一軒だけのようです。同じ仏教のお寺ですがなかなか味わえない寺院。
お寺の周りには物乞いをする子供がいます。これに関してはどの国の観光地でも同じですね。
街の中には飲食店がけっこうあります。
仏教では殺生が禁止されています。そのため肉食禁止ですがチベットでは普通に肉を食べるそうです。ちょっと変わってるのが魚は食べないそうです。これは内陸だからでしょうか。
一応食べ物に関する禁忌は存在するようですがチベットは4000m以上の高地のため食べ物を選択できる環境ではないのでしょう。そのためヤギも食べるし酒も飲むようで、タンパク質が取れる肉はよく食べるのでしょう。肉料理は多いようです。
逆にインドは菜食なんです。
肉も基本的に鶏肉が主。
宗教上の理由で食べられないものがあるからで
ヒンズー教の人は牛肉を食べない。
イスラム教の人は豚肉を食べない。
ジャイナ教の人は肉自体食べない。
このように宗教により食べない食材が変わります。そうなると一番無難なのがベジフード、次に無難なのがチキンなんでしょう。肉といえば鶏肉、それ以外は野菜。
どの店もこの二つの選択肢ばかりです。でもチベット料理屋であれば肉がでるはず。鶏肉ばかりは飽きるのでここいらで別の肉を食べたい!
せっかくチベット人街に来てるんです。おいしいチベット料理を食べてみましょう。
マジュヌカティラは飲食店が多くあります。なんとなく原宿の竹下通りのような雰囲気。食べ歩きができる店がけっこうあります。あとはカフェでしょうか。できれば定食屋的な店を選びたいのですが少なめ。またなんかチベットと関係ない店も多いです。
こちらのメニュー明らかに韓国料理です。キンパって韓国の海苔巻きですよね。なんかこの辺は韓国要素が強めの店が多いです。
MISOって書いてあるんで日本料理。
日本料理ではラーメンにチキンカツは入れない!
そのため日本の料理ではなく外国人の考えた日本料理なのでしょう。とんかつじゃなくてチキンカツなのは色々な宗教への配慮なのでしょう。
ある意味気になる日本料理ですが本日はチベット人街に来てるんです。今はチベット料理以外興味がありません。でもぜんぜんチベット要素がない。
まぁそりゃそうです。
ここチベット人街ですが普通の観光地。いわゆる浅草寺の仲見世通りのようなところ。浅草寺の仲見世では台湾唐揚げとか売ってます。それと同じなんでしょう。
ってわけで悩んだ結果こちらの店に決めました。
ラサって首都の名前が書いてあります。日本でいえば「東京喫茶」になるのでしょうか。間違いなくチベット料理が食べられそうな店名。
メニューのタイトル、チャイニーズとなっています。まるで中華料理を出してる店のような感じですがこちらはチベット料理メニューです。これじゃあチベットは中国と言っているのと同義。
チベット料理メニューって書くべきなんじゃ...
と思ったんですが中華要素が結構あります。チベットだけだとメニューが限られるのでしょう。
ヌードルの最初がハッカヌードルとなってます。客家、つまり移民中国人のことでしょうか。
二つ目はチリガーリックヌードル。
三つめはタイバジルヌードル。
チベット要素ゼロ!
でもほらテンチュクってやつはチベット料理です。
このモモってやつもチベット料理。ちゃんとチベット料理が食べられます。
本日はこちらの料理を選択してみました。
クラッシックバフチリドライという料理。
BUFFとはバッファロー、つまり水牛の肉です。
ヒンズー教は牛を食べない、その理由は神聖な動物だから。でも水牛は牛じゃないので食べても問題ない。なんか、うさぎは獣じゃなくて鳥と一緒みたいな感じの「水牛は牛じゃないですよ問題」
そもそも水牛と牛、見分けつきますか??
これまで街中で見てきたのはどっちだったんだろ、インド人だってそこまで見分けできてないはず。なんだったら水牛と間違えて牛食べてそう。
インドでは牛は食べませんが水牛を食べるため水牛食肉の輸出量は世界一位なんだとか。
ほんとうにこの肉は水牛なの?
そもそもこの料理ってチベット関係あるのかな?
調べたところチベットには水牛がいません。
チベット関係なかった!
こちらの料理はモモです。これはチベット料理で間違いないです。いわゆる肉まん的なやつです。ネパールやインドでも食べられるモモですが、食べるようになったのは1960年以降。チベット難民が近隣諸国に伝えたからのようです。このモモはお肉ではなくチーズがはいっています。豆腐っぽい感じのフレッシュチーズです。
こちらはパニールというチーズで水牛の乳を利用してるんだとか。
これも厳密にはチベット料理じゃない!
インドナイズされてるチベット料理!日本だって街中華屋にカレーライス置いてあるしそもそものラーメンも日本要素があります。チベット亡命から60年以上経ちましたがその間にインド要素が強くなったのでしょう。
チベットではまず食べられない。インド風のチベット料理。ここであればそれを食せます。
FREE TIBET
中国のチベット占領を終結させるための標語です。中国の侵略により自治区となっているチベットを独立解放するという意味なのでしょう。この街がチベット人街だからこのような標語が掲げられているのでしょう。ここはインドにある小さなチベットなのです。
リトルチベットのはずですが中国要素も強めです。チベットは中国に統治されていた時期があるため中国要素が強めなのでしょうがそれだけではありません。インドにはインド中華なるものがあります。イギリスが統治していたころに中華華人がインドに移民してきたそうです。多くの華人が中華店を始めたんだとか。しかし1950年以上は中印関係が悪化し、華人経営の中華店は減少しました。そのような中で独自の中華店がインドで発展しインド中華ができたそうです。レストランのメニューにあった客家ヌードルは中国料理ではなくインド中華。私が食べた水牛のステーキも四川料理をアレンジしたインド中華なのでしょう。
ここ、チベット関係ねぇ!
本日はインドにあるチベット人街を巡りました。チベット料理ははじめて食べました。まぁチベット料理だったかは微妙なところですがチベットを味わえたんではないでしょうか。また水牛もたぶんはじめて食べる食材でした。とくに牛肉となんら味の違いのない水牛、食べたのが牛肉だとしてもわかりません。逆にこれまでに水牛食べていたかもしれません。
こんな感じでその土地に行ったときはその土地の料理を食べる。それがいいんじゃないでしょうか!