高級住宅地ソルトレイクシティ その周りにある都市型スラム「ビダンナガル」
コルカタは鉄道、メトロ、トラム、バスと複数の公共交通機関があります。その中で一番使い勝手がよいのはバスです。路線を知らなければなりませんがルートはグーグル地図で確認ができます。
バスの乗り方は料金徴収員に行き先を伝えて運賃を渡すだけ。運賃はいくらか知りませんが値段は安いです。
ラッシュ時間帯は混んでて乗れませんがそれ以外は結構快適です。とくにバスは市内全てを網羅しています。
時刻表が無いためバスの時間はわかりませんがけっこう頻繁にバスが走っているのでバス停で待っていればすぐに乗れます。
私はこれよりビダンナガル地区に向かいます。
コルカタの北側にはコルカタ駅があります。コルカタの主要駅は川を渡ったハウラー駅です。コルカタ駅がある場所はもともと操車場でしたがコルカタの鉄道利用者増加により駅が必要となり2006年に旅客駅となりました。
こちらがビダンナガルロード駅です。
ビダンナガルロード駅はコルカタ駅のそば。シールダとラナガットを結ぶ路線のジャンクション駅。
近郊の駅の中でも比較的混雑する駅なんだとか。たしかにめちゃくちゃ人が降りています。
駅の東側にはソルトレイクシティーがあります。ソルトレイクシティーは新興住宅地ですが現在はまだ交通の便が悪いです。ソルトレイクシティーはメトロがあります。でも全線開通しておらず使い勝手が悪い。そして北側からはメトロはつながっていない。そのため北部の人はバスで行く形となりますがその出発地がビダンナガルロード駅のようで駅で降りてバスを利用する人が多いようです。とくに午前中は大混雑するそうで毎日100万人近い人が駅を利用するそうです。
インド人、ずっと人大杉。
そんな駅の目の前、スラム街となってるんです。こちらはバサンティーコロニーってところで線路沿いにスラムがあるエリアのようです。奥には市営住宅が、手前には平屋の住宅があります。
スラムって無秩序に建てられた住居があり統一感がないのですがここは仮設住宅がある避難所みたいな感じです不法にできた住居ではなく行政が用意した住居。トランジットキャンプのような場所みたいです。
駅階段を降りたところは商業地になってます。
今の日本はこういったところはなくなりましたがかつては駅前にこの手のスラムがありました。
戦後のドサクサで駅前にバラックを建て商売をする。そういったのが日本でも日常だったのでしょう。
交通の要衝であるビガンナダル駅前。コルカタの東に行くための場所。鉄道がないためバスかタクシーになるので駅前にはオートリキシャ―がいっぱいいます。
駅前のタクシー行列なのでしょう。
もう動かすのが困難なくらいになっちゃってます。客待ちをしているのでしょうか。ここで待っていて客捕まえられるのかな。人は多いけどリキシャ―の乗る人は少ない。駅前はバス待ちの人ばかり。
これ客待ちではなく自宅前に停めてるだけでしょうか。リキシャ―運転手はスラムで住む人がいます。自宅前に停車している、つまり出勤前。
だってそうじゃないとおかしいでしょ!動く気配ないし、そもそも動かせる隙間がない。運転席にいないリキシャ―もあります。
っていうかリキシャ―だらけで歩きづらい。
リキシャ―の群れの先は住宅地となっています。ここまでく来ると人が少なくなります。駅の近くなので道路に面しているところはお店があるようです。
さらに離れると簡易住居、ジュギがあります。ビダンナガルロード駅東側がスラムになっておりこの狭い地区に4000人も住んでいるそうです。
9割がイスラム教のムスリムコミュニティエリア。そういえば駅前にビリヤニ屋がありました。
ムスリム文化から生まれたビリヤニ。ここでは美味しいビリヤニが食べられそうです。
こちらのスラムは2010年1月に火災が起きてます。
スラム街は狭路で消防車が侵入できない。
建物が隣接しているため延焼が避けられない。
薪や炭、固形燃料を使うため火災のリスクがある。
スラム街では定期的に火災が起きており避難路がないため死者も複数出ています。バサンティーコロニーも大きな火災があり多くの家屋が焼失し死者もでたんだとか。
こちらは空き地になっていますがこのあたりが火災現場でしょうか。もともとは市営住宅のようなものがあったようですが現在は更地になっています。
スラム近くではビルを建設しており、バサンティーコロニーも再開発されこのような景色は見れなくなるのでしょう。
ソルトレイクシティーへ向かいます。バスで行けるようですがせっかくのコルカタ観光。歩いて向かいましょう。
観光って様子じゃない。
幹線道路をただ歩くだけ。
環状八号線沿いを歩いているだけのような観光。
でもこういった海外旅行もいいじゃないですか!
これより向かうのはソルトレイクシティーってところ。塩湖だったところを1960年代に再開発。人が住めるようにしたそうです。
全てを埋めたわけではないため付近には湖が多くありその湖の周りにも人が住んでいるようです。
この界隈は比較的新しめの建物が多いです。
インドといったら平屋の住居になんかカラフルな布がかかってるイメージ。そのイメージはそろそろ更新すべき。
もうインドは先進国に仲間入りする勢いなんです。コルカタはこのようなマンションが乱立してます。昔は汚い池のそばに平屋の簡易住居があり住まいなのか倉庫なのかわからない状態でした。
そんな景色はすでになくこのマンションがコルカタの景色そのもの。
平屋ではなく高層マンション。
洗濯物は室内干し。
白を基調としたキレイな建物。
まさに先進国インドの様相です。
とくにソルトレイクシティーは新興住宅です。新しく出来た街に低廉な住居があるはずがない。もうインドは 昔とは違うのです。
こちらはベンガルケミカル駅です。
ベンガルケミカルは製薬会社の名前でインドの国営企業なんだとか。この付近に工場があるためその名が駅名になっているようです。
東西地下鉄線の一つであるベンガルケミカル駅。東西地下鉄線は西側にあるハウラー駅と東側の新興住宅地を結ぶ路線でベンガルケミカル駅は2020年に開業しました。ハウラー駅からの交通手段は以前はバスでした。地下鉄が開通したことでアクセスしやすくなる。と思いきや地下鉄はまだ全線開通しておらずエスペラネードとシールダ駅は未開通区間です。2024年末に開通するってことでしたが私が立ち寄った時点ではまだ未開通のままでした。
当初は2015年に全線開通する予定でしたが用地買収の遅れやコロナも影響したのでしょう。予定から10年経ちましたが全線開通してません。
でもこの路線が開通すればここも使い勝手の良い駅になるのでしょう。ここよりソルトレイクシティーの中に行けます。
新しく出来た新興住宅。コルカタの中でもキレイに整備された場所で高級住宅街に該当するところのようです。
と思いきやだいぶ香ばしい感じの街並み。
ベンガルケミカル駅の東側。新興住宅地と思いきやスラムがあります。
こちらはダッタバードと呼ばれるスラムです。ここには12000戸、5万人が住んでいます。ソルトレイクはもともと湖があるエリアで湖の周りに漁業関係者が住んでいました。しかしコルカタの人口増加に伴い宅地開発がはじまりそこに住んでた人たちは転居を余儀なくされます。その移転先がここダッタバードだったようです。つまり元住人がここに住んでいるそうです。
新設された駅の近くなのにごちゃごちゃしてます。池の周りそばにある平屋住宅。
まだインド、先進国に仲間入りしてなかった!
ここの湖は全てが埋め立てられたのではなくまだ湖として残っている箇所があります。その湖の周りにスラムが形成されています。漁業関係者はまだいるのでしょうか。ここに住む人の多くは家政婦や掃除夫をしており近くの新興住宅地で働いているそうです。職場も近くここは便利な場所なんでしょう。
地下鉄が全線開通すれば人の流れも変わります。そうなるとこのスラムもなくなるかもしれません。
なくならなそうだけど。
こちらがソルトレイクシティです。
ソルトレイクのあるビダンナガー市、ソルトレイクに隣接するニュータウンも含めこの界隈は新興住宅地となっています。他のコルカタ市街地と比べると区画が整理されていてキレイな街並みです。またIT産業および金融の本拠地でもあるそうで比較的富裕層が多いエリアのようです。
インド全体の識字率は74%程度ですがコルカタの識字率は87%と少し高めです。ビダンナガー地区は90%を超えておりほかの地区よりも識字率が高い地区のようです。識字率は貧富の差と密接に関係してます。ここはスラムがないエリアなのでしょう。
他の街よりもちょっぴりきれいなのかな?なんかキレイの基準があいまいになっていますがゴミは少ないし(あるにはある)。野犬も少ない(いるにはいる)。
多少は汚いところもありますが他のインドに比べると明らかにキレイな場所。そのため高級ホテルもこの界隈にあるそうです。
コルカタの街の中心はハウラー川のほうですが近い将来そちら側は旧市街と呼ばれるようになり、ニュータウン側が中心となるかもしれません。キレイな街で富裕層が多い場所。もうここにはスラムはありません。
こちらはバサンティデヴィコロニーです。
ソルトレイクシティー、ニュータウン。
現在も継続してこのあたりは再開発がされており新しいマンションがどんどん建っています。移住者が多く人口は膨れ上がり、この界隈は住人が100万人に達するんだとか。
人が増えれば仕事も増える。
仕事を求める人も増え スラムができるのでしょう。ただこちらのスラムは50年前からあるようです。
1971年に起きたバングラデシュ独立戦争。
インド軍の介入により戦争は終結しましたが民間人の虐殺などがあり多くの難民が出ました。インドに逃げた難民は800万人もいたそうです。
バングラデシュの国境に近いコルカタ。バングラデシュ難民がいても不思議じゃないです。
バサンティデヴィコロニーは近隣のスラムに住んでいたバングラデシュ難民が1970年ころに転居してきたスラムです。
この地区は450世帯、3000人が住んでおりその多くがバングラデシュから来た難民です。
バングラデシュといえばイスラム教国家ですがここにいるバングラデシュ難民はムスリムではなく人口の約90%がヒンズー教徒のようです。
新興住宅地は道も整備されキレイな街並みですがここはスラムが出来て50年経ちますががいまだに当時のままインフラは整っていません。
レーションショップとかかれた看板があります。こちらは低所得者向けの食糧配給店です。インドでは公共配給制度というものがあり貧困層向けに小麦やコメなどの主要作物、また灯油などの燃料を低価格で配給してます。
日本における生活保護。近いのがアメリカのフードスタンプでしょうか。配給が受けられる貧困層は人口の3割。おおよそ3億人が対象者のようです。
対象者は毎月35kg分の食糧を安く配給され1kgの小麦を2ルピー。コメは1kg3ルピーで購入できるそうです。
小麦1kg3.5円、コメ1kg5.25円。
日本ではコメの値段が高騰し1kg700円にもなった時期がありました。インドだと100分の1以下でコメが買えます。厳しい環境ですが飢えて死ぬことはないようです。
ただこの食糧配給制度、食糧の横流しや汚職の温床になっているそうです。
安く仕入れた食材を転売するする受給者。
配るはずの食材を質の悪い食材に入れ替え、利ザヤをかすめとろうとする配給業者。
このように汚職が横行するし効率を考えると現金給付に変えた方が効率的と言われ始めてます。
日本でもフードスタンプの話は出てきますが現物支給をしたところで不正はなくなりません。管理コストを考えると現金給付の方がよいのでしょう。でもインドはまだまだ保護が必要な人が多いので食糧配給制度は続くんでしょうね。
インドはめまぐるしい経済成長を遂げてますが生活に困窮している人はまだいるようです。
この街はまだこのままの状態が続きそうです。
本日はコルカタ市内を観光しました。
いや観光と呼んじゃいけないやつ。