【宅建試験】抵当権とかナニワ金融道だけのお話だと思ってました
抵当権とか私には何の関係もない権利です。ナニワ金融道でそういうのがあるってことは知ってます。私、一応土地持ちなわけですが、その土地には資産価値はなく、山林を担保にお金を借りることはできそうになりません。つまりこのまま山林に骨をうずめることになれば、抵当権には会わずに死んでいくのでしょう。そもそも私はニコニコ現金払いが基本。最近はクレジットカード払いにはなっているものの、分割やリボにしたことがなく、またやり方すらよくわかっておりません。金がない時は我慢。そんな私がかかわることのない抵当権を学ぶのは少ししんどいですが、これも宅建を受けるために必要みたいなんで頑張ってやっていきましょう。
抵当権とは
・抵当権が設定されていない場合
例えばAはBに500万円、Cに300万円、Dに200万円の債務を負っている。そしてAの唯一の財産は500万円の価値のある甲土地だけだとする。Aが借金を返済できなくなるとBCDはAの財産からそれぞれいくら回収することができるか。この場合、甲土地の競売代金が500万円であれば、債務者BCDは各自がAに対して持っている債権額に応じて250、150、100万円の配当しか受け取ることができない(債務者平等の原理)
・抵当権が設定されている場合
ところがBが甲土地に抵当権を設定を受けていれば甲土地を競売にかけ、その競落代金からCやDなどのほかの債務者に優先して弁済を受けることができる。したがってBは500万円全額回収することができる。抵当権の設定を受けていないCとDは債権を一切回収することができない。このように抵当権とは目的物を競売にかけてお金に換え、そのお金から優先的に弁済を受ける権利をいう。抵当権で担保される債権を被担保債権といい、抵当権の設定を受けているBを抵当権者、自分の土地に抵当権を設定したAを抵当権設定者という。また抵当権が設定されている土地や建物などを抵当権の目的物という。
Aにめぼしい財産が無いような場合、BはAに対する債務を担保するため、Aの知人Cが自分の乙土地に抵当権を設定することもできる。このように他人の借金のために不動産に抵当権を設定する人を物上保証人という。
抵当権の特徴
抵当権者は債務の弁済がない場合、抵当権を実行し競売にかけてお金に換えられることを期待しているのであって、自ら使用することは期待していない。また抵当権設定者が目的物を賃貸して賃料から債務を弁済してくれればその方が抵当権者の期待にかなうといえる。さらには抵当権の目的物が売却されても抵当権はその目的物上に存在するため、目的物が誰のものになろうと債務者が弁済できないときは競売にかけることができ、抵当権者としては不利益を受ける心配がない。したがって抵当権設定者は目的物を抵当権者に引き渡す必要は無い。そのまま事由に使ったり賃貸したり売却したりすることができる。
しかし抵当権設定者は抵当権の目的物を好き勝手使えるわけではない。抵当権設定者が通常の利用方法を逸脱して目的物を破壊するなど目的物の価値を減少させるような行為を行った場合、抵当権者はその行為をやめるよう請求できる(妨害排除請求権)。価値が下がって、競売で売れなくなるのは困るからだ。
抵当権の目的物など
・抵当権の成立
抵当権は債務者と不動産の所有者等の意思表示の合致により成立する。
・抵当権の目的物
抵当権は不動産のほか地上権や永小作権などにも設定できる。
・抵当権の対抗要件
抵当権者が不動産の競売代金から優先弁済を受ける権利をほかの債権者や抵当不動産の第三取得者に対抗するためには、その不動産の登記記録に抵当権が登記されていることが必要。
・抵当権の順位
同一の不動産に数個の抵当権が存在する場合、抵当権の順位は登記の前後で決定され、この順位で競売代金が配当される。
・順位上昇の原則
一番抵当の債務が弁済され抵当権が消滅すると、二番抵当が一番へ、三番が二番へと繰り上げされる。
抵当権の性質
・付随性
抵当権は債務を担保するもの。だから担保する債務がそもそも存在しなければ抵当権も存在しない。
・随伴性
被担保債権が譲渡されれば、これに伴って抵当権も移動する。つまり被担保債権の譲受人は同時に抵当権も取得する。
・不可分性
債権の半額が弁済されても、抵当権は半分にならず、目的物全体に効力が及ぶ。つまり債権を弁済しない限り目的物を競売にかけられることになる。
物上代位性
抵当権者は建物が欲しいわけではなく、いざというときに競売にかけてお金に換えられることを期待している。もし抵当権を設定した建物が火災などで焼失した場合、火災保険をかけているのであれば、保険金請求権が滅失した建物の生まれ変わりとして抵当権の効力が及ぶ。このように抵当権の目的物の生まれ変わりである金銭等に抵当権の効力を及ぼすことを物上代位という。物上代位には保険金請求権のほかに抵当権設定者が抵当権のも木雨滴物を第三者に売却した場合の売買代金、第三者に賃貸した場合の賃料、第三者の放火などの不法行為により滅失した場合の損害賠償請求権などにも認められている。ただし抵当権者が物上代位をするためには、金銭が抵当権設定者に払い渡される前に抵当権者自らが差し押さえなければならない。
バブル崩壊後、土地は値下がり続け、抵当権を実行しても被担保債権を回収することが困難となりました。そのような背景のもとで注目されたのが、抵当不動産から生ずる賃料への物上代位です。すでに賃借人のいる賃貸物件であれば物件自体を競売にかけてわずかな競売代金を回収するより。賃料で回収する方が有効と考えられたからです。ただし、抵当不動産の賃借人を抵当権設定者と同視することを相当とする場合でない限り、転貸賃料権への物上代位はゆるされません。なぜなら抵当不動産の賃借人は被担保債権を担保する立場ではないからです。
また抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえた場合でも、賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは賃料債権は敷金の充当によりその限度で消滅するから、この消滅した賃料については物上代位できません。
法定地上権
例)AがBから借金をするにあたり、自己の所有する土地付き建物のうち、土地だけに抵当権を設定した。その後抵当権が行使されCが競落するとCの土地にAの建物が経っていることとなる。もともと土地も建物もAの者だったため借地権の設定はされていない。Aには土地を使う権利はないためCは土地の明け渡しを主張できるか?
建物を取り壊して出ていかなければならないとするとAがかわいそう。そのためAの建物のためにCの土地に法律上自動的に条件が成立することにした。このように法律上与えられた地上権を法定地上権という。法定地上権が成立するためには抵当権設定時に建物が存在し、抵当権設定時にその土地と建物の所有者が同一であり、土地と建物の一方または双方に抵当権が設定され、競売にかけられ土地と建物の所有者が別々になるという要件を満たした場合に設定される。
一番抵当権設定時に法定地上権の要件を満たしていなければ、その後二番抵当権設定時に要件を満たしたとしても法定地上権は成立しない。一番抵当権が設定されたときに要件を満たしている必要がある。
一括競売
例えばAが自己所有の更地にBのために抵当権を設定した後、その土地の上に建物を建て、その後Bが抵当権を実行し競売によりCが土地を取得した。この場合、抵当権設定時において土地上に建物は無いので法定地上権は成立しない。その代わりに土地と建物を一括して競売にかけることが認められている。これが一括競売だ。一括競売は土地付き建物として競売にかけるので、通常同一人が土地と建物両方の買受人となる。したがって建物を取り壊さなくても済む。ただし、抵当権は土地にしか設定されていないので優先弁済を受けられるのは土地の代価だけであり、建物の代価からは優先弁済を受けることはできない。
なお、建物は抵当権の設定された土地の所有者が築造したものでも、土地の賃借人など第三者が築造したものでも構わない。第三者が築造した場合であっても抵当権者は一括競売の申し出が出来る。ただしその建物の所有者が土地を使うことについて賃借権などの抵当権者に対抗できる権利を有している場合、一括競売できない。
抵当権の効力の及ぶ範囲
借地上の建物に抵当権を設定した場合。その借地権にも抵当権の効力が及ぶ。建物は敷地を利用する権利がなければ存在できないからだ。したがって借地上の建物の抵当権が実行された場合、その敷地の借地権も一緒に競売にかけることができる。
なお、抵当権設定時、建物に備え付けてある畳、エアコンなどの従物にも抵当権の効力が及ぶ。したがって建物に設定された抵当権が実行されるとエアコンも一緒に競売にかけられる。
優先弁済の範囲
抵当権者は元本債権については競売代金から全額優先弁済を受けられるが利子や損害金については満期となった最後の二年分に限って優先弁済を受けることができる。後順位抵当権者や一般債務者などの利害関係者がいる場合、一番抵当権者が利息全額の優先弁済を受けると、ほかの者の弁済が受けられなくなるから。
抵当不動産の買主等の保護
例)Aが自己所有の土地にBのために抵当権を設定し登記した後Aがその土地を第三者Cに売却した。Bが抵当権を実行するとCはこの土地の所有権を失う。Cが土地の所有権を失わない方法はあるのか?
抵当権のついている不動産を買い受けたものを抵当不動産の第三者取得者といいます。この場合も、抵当権の登記が行われている限り抵当権はそのまま存続します。抵当権が実行されるとCは買った土地の所有権を失います。それを避けるためにはどうすればよいか。
・第三者による弁済
第三取得者は法律上利害関係のある第三者として債務者に代わって弁済できる場合がある。全額弁済により被担保債権が消滅すれば付従性により抵当権は消滅する。
・代価弁済
第三取得者が抵当権者の請求に応じて代価を弁済した時、抵当権が消滅するという制度。
・抵当権消滅請求
代価弁済は抵当権者からの請求がなければ認められず、第三取得者から一方的に代価弁済はできない。そこで第三取得者の方から働きかけ、抵当権を消滅させる制度が認められている。これが抵当権消滅請求である。
抵当権消滅請求は第三取得者が抵当不動産を購入した際の代価または第三取得者が特に指定した金額で抵当権を消滅させることができる点で、被担保債権全額を弁済しなければ抵当権を消滅させることができない第三者による弁済とは異なる。
第三取得者が抵当権取り消し請求をするときは登記した各債権者に対し代価または第三取得者が特に指定した金額などを記載した書面を送付しなければならない。書面の送付を受けた債務者は書面の送付を受けた二か月位階に抵当権を実行して競売の申し立てをしないときは第三取得者が書面に記載した第蒲田は金額を承認したものとみなされます。
登記したすべての債務者が第三取得者の提供した代価または金額を承認し、かつ抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価または金額を払い渡し、または供託した時に抵当権は消滅する。
・自ら競落
抵当権が実行されてしまっても、第三取得者は競売に参加し買受人になることができる。
抵当不動産の借主保護
例)Bの抵当権が設定されているA所有の建物をCが賃借している。その後Bが抵当権を実行しDが競売によりこの建物を取得した。この場合、立ち退きを求められるとCは出ていかなければならないのか。
Bの抵当権設定登記よりも先にCが賃借権の登記や引き渡しを受けている場合、抵当権が実行されても建物には賃借権がついているものとして扱われるためCは使い続けることができる。しかし抵当権の登記が先にされている場合は立ちとかなければならないのが原則。
しかし競売後直ちに退去明渡をしなければならないのはCがかわいそう。そこで競売手続き開始前から建物の使用・収益をしている賃貸人については競売で買受人が買い受けた時から6カ月間は引渡猶予されている。なお、土地の賃借人にはこのような引渡猶予の制度はありません。
他方、賃貸用のアパートマンションでは賃借人が入居していることが建物の価値を高めることもある。このような場合は賃借権の対抗力を認めた方が賃借人のみならず抵当権者や抵当権設定者にとっても有益にかなうといえる。そこで抵当権設定登記後に設定された賃借権であっても、賃借権の登記が成され、全ての抵当権者が同意し、かつ同意の登記をしたときは抵当権者に対抗できるとされている。この場合、競落人Dから立ち退きを求められてもCは建物を使い続けることができる。なお、これは抵当権設定登記後に抵当権の設定された土地を借りた賃貸人の場合でも同様である。
抵当権の侵害
抵当権設定者は抵当不動産を自由に使用・収益することができるが、抵当権設定者による使用・収益が競売を妨害し、競売価格を不当に下落させるときはその使用・収益が抵当権侵害となる。この場合、抵当権者は妨害排除請求をすることができる。
また抵当不動産を不法に占拠しているものがいるときは抵当権者はその不法占拠者に対して抵当不動産の所有者つまり抵当権設定者の妨害排除請求権を代位行使して、その明渡しをもとめることができ、さらに一定の場合には直接事故に明け渡すよう請求することができる。
抵当権の処分
抵当権を被担保債権から切り離して処分することが例外的に認められている。
・抵当権の譲渡・放棄と抵当権の順位の譲渡・放棄
抵当権の譲渡・放棄とは抵当権者が同一の債務者に対する無担保の債務者にその被担保債権と切り離して抵当権を譲渡放棄することをいいます。これに対して抵当権の順位の譲渡放棄とは抵当権者が同一の債務者に対する後順位の抵当権者の利益のため、その順位の優先弁済枠だけを譲渡放棄することをいいます。
・抵当権順位の変更
ABCの順で抵当権が設定されている場合、抵当権者全員の合意があり、登記を備えれば抵当権の順位の変更ができる。
根抵当権とは
根抵当権とは一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するために設定する抵当権をいいます。
たとえば小売店が問屋から後払いで商品を仕入れることによって日々仕入れ代金債権が発生しているとする。この債権を普通抵当権で担保しようとすると、債権発生のたびに抵当権を設定し、さらにその設定登記をする必要がある。そして弁済により抵当権が消滅すると抵当権の抹消登記をしなければならない。
このように一定の範囲で継続的に債権の発生や消滅が繰り返される場合には、あらかじめ担保できる限度額を決めておき、その限度額の範囲内で日々発生する債権を担保する形であれば便利です、これを可能とするのが根抵当権といい、この担保できる限度額を極度額とよびます。
元本の確定とは
日々商品を仕入れることで仕入れ代金債権が発生し、弁済により代金債権が消滅した。そうすると今現在根抵当権によって担保されている債権がはたしてどれなのか判然としないところがある。そこで一定の時期に根抵当権で担保されている元本債権を特定する必要性が生じる。これが元本の確定である。なお、確定期日の定めがあるときは元本はその期日に確定する。
根抵当権の特徴
根抵当権によって担保される不特定の債権は原則として、たとえば「商品供給契約による債権」、「信用金庫取引による債権」など、債権者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定される「どのような債権もこの根抵当権で担保する」というような包括根抵当権は禁止されている。
根抵当権は確定した元本のほか利息遅延損害金の全てを極度額を限度に担保できます。普通抵当権のように利息は最後の二年分しか優先弁済を受けられないというような制度はありません。元本が確定した後の根抵当権はその時点で以降発生する債権を担保することはできなくなり、性質的には普通抵当権と同等になる。ただし、利息については確定後も極度額まで担保される。
根抵当権の変更
被担保債権の範囲の変更は元本の確定前のみ可能であるが、優先弁済を受けられる範囲を変えるものではないから、根抵当権者と根抵当権設定者の合意のみで変更することができる。これに対し極度額の変更は元本の確定の前後を問わず可能であるが、優先弁済を受けられる範囲を変えることになるから、増額変更の場合は後順位抵当権者などの利害関係人の、減額変更の場合は転根抵当権者などの利害関係人の承諾が必要となる。
要は抵当権って「借金のカタ」ってやつですよね。難しい言葉ではなく「借金のカタ」って言ってくれればわかりやすいのですが。「借金が返せなければ風呂に沈める」とか「マグロ漁船に」とかこれも抵当権みたいなもんですかね。相変わらず難しい言葉が出てきて頭がこんがらがります。でも試験まで日がないので頑張らなければなりません。