【家族崩壊】書類上の“こどおじ”はヤダ!親の戸籍から分籍してみた
大人になればサラリーマンとして働き、好きな人と結婚。
子供を授かり、幸せな家庭を築く。
子供の頃はこれが当然だと思っていました。
しかし、その当然を達成するのは難易度MAXでした。そんな難易度MAXに挑むわけもなく、家庭や子供はおろか、婚姻もできず。さらにはサラリーマンにすらなれませんでした。もうこれを達成するのは難しいでしょう。
そう。結婚ができないのです。
正直なところ結婚に対してそこまで興味はありません(強がりじゃないんだからね!)。
将来に不安がなく生活が安泰であれば、子供を育てる環境も整えられるでしょう。しかし先は真っ暗で、明日を生きる糧を探す日々となっています。そのような中で子を育てるのは、生まれてくる子供がかわいそうです。
そんなわけで子どもは欲しくない。そうなると結婚する意義が薄いんです。
私は思うんです。もう、結婚制度ってイラネんじゃね?と。
夫婦別姓や同性婚など、結婚は諸問題を抱えていますが、もう結婚という制度を廃止してしまえばこれらの問題はすべてクリアになるんじゃないでしょうか。
婚姻制度がなくなると子供の問題があるとも言われますが、現在は認知されれば非嫡出子も嫡出子と同等の権利があります。つまり婚外で生まれたとしても子供は子供なんです。
それならばいっそのこと婚姻制度を廃止すれば、非嫡出子という言葉は消え、それによる差別もなくなります。婚姻自体が無ければ日本国憲法第二十四条の「両性の合意のみ...」の部分を悩まなくて済みます。
同性婚問題も解決、夫婦別姓で悩むことはない、一夫多妻や一妻多夫だけでなく、多夫多妻といったこれまでとは違った形式も取れるようになるわけです。
そして結婚できなかった人は後ろ指をさされずに済むし、多夫多妻になればチャンスも生まれるでしょう。
しかし、私が生きている間は婚姻制度が廃止されないのでしょう。
つまり私は未婚者のまま死を迎えるしかないわけです。
別に未婚者のまま死んでも何ら問題ないんです。
でも未婚のままだと、大人でも書類上は子供のままなんです。
日本には戸籍制度があります。
戸籍とは古代中国で作られた東アジア特有の社会制度です。家を一つの共同体とし、国が国民を把握しやすくする制度です。
日本には飛鳥時代のころから存在します。現在、家族単位の戸籍制度を導入しているのは中国と台湾、そして日本だけなんだとか。しかも中国と台湾は形骸化しており、唯一日本だけが昔ながらの戸籍制度があるようです。
戸籍には出生や婚姻、死亡や家族関係など、その人の生い立ちが書かれています。戸籍を見れば誰が親なのか、兄弟はいるのか、生年月日や婚姻の有無などが書かれているんです。
戸籍は家単位で戸籍筆頭者がいます。ウチの場合は父親が戸籍筆頭者です。私は父親の戸籍に入っており「子」となっています。
私が結婚をしなければ親の籍からは抜けません。
60歳になろうが80歳になろうが子供のまま。
つまりは書類上は「こどおじ」なんです。
でも、それを回避する方法が一つあります。それは分籍という方法です。分籍をすれば親の籍から抜けられるんです。
そんなわけで役所にやってきました。
私は川崎生まれの川崎育ちですが、戸籍が置いてあるのは縁もゆかりもない渋谷区です。
戸籍上は都会っ子なんです。もともと父方の祖父母が住んでいたのが渋谷だったそうで、親が結婚の際に実家住所を戸籍上の住所にしたようです。ちなみにウチのばぁさんは渋谷村でちょっと名の知れた人だったそうです(どのように名の知れた人だったのかは不明)。
渋谷生まれってすごいように思えますが、明治・大正の頃の渋谷はド田舎だったのでしょう。あまり人の住むような場所では無かったんだと思います。
役所の受付で分籍をしたい旨を伝えると、戸籍課に案内されます。
私が行おうとしているのは親の籍から抜け、新たに戸籍を作ることです。
本籍地は従前のものと同一住所にするので変わらず。また氏名の変更もありません。変わるのは私が戸籍筆頭者になるだけです。
分籍により免許証などの書き換え手続きが必要なのかを警察や関係各所に問い合わせましたが、本籍地、氏名に変更がないのならば手続きは不要のようです。
分籍は20歳になれば誰でも可能です(民法改正で18歳になるかも)。届出に必要な書類は戸籍謄本と印鑑、それに身分証明書。私の場合は本籍を同一住所にするため印鑑と身分証だけあればOKでした。
戸籍課の人から「本当に分籍するのか?」と質問があります。
分籍自体には何のメリットもありません。親の籍から抜けられますが、親子関係に変化はありません。むしろ相続の際に戸籍が別だと手間が増えてしまいます。また一度分籍をすると親の戸籍には二度と戻れなくなるそうです。
このように分籍はメリットは一切無し。デメリットしかないのです。
しかし分籍をする人が一定数いるようです。
その多くは親族間に確執を抱えている人たちなのでしょう。
友達だったら嫌になれば連絡を断てばよい。連絡を断てば会うこともないでしょう。
妻や夫に愛情がなくなったら離婚すればよい。離婚は簡単ではありませんが成立すれば他人になれます。
しかし、「親が嫌いだから別れる」とは出来ないのです。親兄弟は他人にはなれず、縁を切れないのです。
血のつながった親族は関係を切れません。
例え毒親だったとしても、例え兄弟が犯罪者や暴力団関係者だったとしても、血がつながっていればそれは家族。家族は絶対的な関係なのです。
親ガチャなんて最近では言われていますが、生まれてくる子供は親を選べません。
過干渉やネグレクト、親の精神疾患や金銭トラブル...。いろいろな理由で親と関係を断ち切りたいと考えている人はいるでしょう。ちなみに親から性的虐待を受けた人は4%ほどいるそうです。
関係を断ち切れば悩まなくて済むのに、「家族だから」という理由で逃げられないのです。
そんなわけなので関係を切るためには殺すしか手段が無いのでしょう。
日本で起こる殺人の半数が尊属殺などの親族間での殺人のようです。
このように親兄弟の関係を切る手段は一つしかないんです。
しかしそれをすれば自分が犯罪者になってしまいます。できればそれは避けたい。
そのような中で効力は全くないけど「元に戻りたくない」と決意表明をするのが、この分籍なのでしょう。
分籍をすれば親の戸籍から抜けられます。
そうすることで書類上は親と関係が切れたような感じになるでしょう。
記した通り何の効力もなく、分籍したところで毒親はあなたの親です。でも、意思表示をするのが重要なのでしょう。
まぁ何の解決もしていないんですけどね。分籍をする人はこのように悩みを抱えているのです。
「書類上こどおじのままはヤダ!ヤダ!」
こんな理由で役所の人に面倒な作業させるヤツは、ただのクソ野郎です。
あとは分籍届を書くだけ。書類に不備がなければ三週間ほどで新しい戸籍が出来るそうです。これで私も戸籍筆頭者となりました。
分籍したところ何か変化があるわけでも無く新しい戸籍が作られただけです。今後この戸籍に書かれる事実は「死亡」の二文字だけでしょう。それでも親の籍から抜けたことで「書類上のこどおじ」ではなくなりました。
分籍したことで親の戸籍には戻れなくなりましたが、分籍しても何も変わらないのならば元に戻れなくても別に問題ありません。人生一度きりです。結婚出来ないのならばこのような形で籍を抜ける経験をするのもよいんじゃないでしょうか。
ちなみに分籍をしたかった理由は別にあります。
その件に関しては、またいつかお話できる日が来たときにでも。