【横浜寿町】現存するドヤ街。年金が破綻した今に必要な街【横浜スラム】
大阪には釜ヶ崎があります。そして東京には山谷があります。どちらも訪れました。そして昔とだいぶ変わったというのを実感しました。今は令和。昭和の時代から30年以上経過したわけです。当然街も変わるしそこにいる人も変わるわけです。貧困というのは国にとってマイナスなイメージがあります。スラム街がある、貧困地区があるというのは好ましくありません。そのため浄化を目指したのでしょう。その結果、山谷は浄化されました。そして西成も浄化されつつあります。
少し寂しいところがありますが、これは仕方のないことです。
これまでいくつかのドヤ街を巡りましたが、日本には三大ドヤ街というのがあります。当然西成と山谷は入っております。そして残りの一つは神奈川県横浜市にあります。そうです。最後に訪れたのは横浜寿町です。
伊勢佐木長者町駅から南東に向かいます。実はこのあたりは以前働いていたことがあり、ほんの少しだけ詳しいのです。働いていたといっても周りをそこまで散策したこともなく、しかも寿町の方には近づこうとすら思いませんでしたのでそっちの方はよくわかっておりません。なんだったら今回初めて行きます。山谷と西成は過去に訪れました。そして時代とともに変化したというのを実感したわけですが、寿町は事前情報がありません。情報は「寿町にドヤ街がある」ということだけです。実際にどんな街なんでしょう。
寿町のシンボルである場外舟券場です。賭場とドヤ街は切っても切り離せない存在です。賭け事のために仕事をする、それが男の生きざまなんでしょう。この場所に場外舟券場を作ってしまうところが憎いです。
寿町の中に入ります。街自体は小綺麗な感じがします。そして道幅も広いです。ここに関しては整備をしたのでしょう。至って普通の住宅街のような感じがしますが、若干人が多いのと自転車の数が多いです。
そしてほかのドヤ街同様にある簡易宿泊所です。フリーWi-Fiもついてるようです。西成の簡易宿泊所と比べると比較的どの宿泊所もキレイな感じがします。簡易宿泊所は、ボロボロで低価格で泊れるようなところか、外国人向けにリニューアルをするというのが一般的な感じですが、ここ寿町はこれまで通りの人たちを相手に商売をしている感じがします。
山谷と西成を見てきましたが、なんとなく寿町は現役のドヤ街の雰囲気があります。西成も公園で将棋を指している人や路上で生活している人はいました。山谷も一部そのような人がいましたが、寿町は結構多そうな雰囲気があります。なんとなくですが路上にいる人たちが多い感じがします。
三畳の部屋に閉じこもっているよりも、外の日差しを浴びよう。そんな感じなんでしょうか。例え綺麗な室内でエロ動画が見れたとしても狭いところにいるのはしんどいのでしょう。そのため外に出歩くんでしょうかね。
近くの公園です。ベンチもあり座るところもあるのですが、意外に人が少ないです。この公園は夜は入れないように施錠されます。ここだけでなく寿町界隈の公園は夜は施錠するところがほとんどのようです。恐らくそこに居つく人がいるからなのでしょう。それを考えると、今路上にいる人たちって夜も路上にいるのでしょうか?
公園は鳩だらけです。こいつら人に慣れているようで、しゃがむと餌をくれるのだと思って近づいてきます。お前らに食わすエサなど無い!
ちなみにこいつらは非狩猟鳥獣です。捕まえられません。食べられません。
こちら、職業安定所です。ドヤ街の中心地のようなものです。もともと仕事をする人たちが集まる場所に簡易宿泊所ができ「ヤドのある街」ということでドヤ街になったわけです。つまりこの職安がここに住む人たちが求めている場所なわけです。公設ギルドってやつですかね。ギルドの周りには宿が出来、飲み屋が出来るわけです。
まだお昼ですが、すでにオープンしています。居酒屋兼スナック。
中からはカラオケが聞こえてきます。ドヤ街にあるカラオケ居酒屋ってやつですね。
他にも開いている店が結構あります。飲み屋街は一か所に集中している感じです。そのほとんどがカラオケありの若干スナック的な感じの店。でも日中は扉が開け放たれ、中の様子が見れるようになっております。そのためカラオケの音が漏れ聞こえるとかじゃなく普通に聞こえています。
その飲み屋がギルドマスターってことも。飲み屋さんや簡易宿泊所の入り口に求人募集の張り紙が貼ってあります。手配師なんだと思いますが、土方工事で9500円。経験者のみ。ちょっと厳しいところがありますね。
せっかくだからその場の雰囲気を味わいたいと思います。
こちらはカラオケの無い居酒屋感覚で使用できる店です。さすがに昼間っから、しかもドヤ街のスナックに入れる度胸はありません。
ビールを頼むものの、つまみを食べる気分にならず。食指が動きません。
別に店は清潔だし何の不都合もありません。若干日本じゃない雰囲気はありますがその程度です。でも気分的なところなんでしょうかね。こんなんじゃ海外の屋台とかで飯食えないでしょう。せっかく安全な日本で海外っぽさを味わえるのに。日本に居ながらにして海外の感覚が味わえる横浜寿町です。
大通りに面したお店に入りましたが、裏通りみたいなところにお店が結構あります。なんとなく漏れ聞こえる会話が日本じゃない感じです。言語はからっきしダメなので断定はできませんが、語尾が「ッセヨ」みたいな半島っぽい言葉が聞こえます。
こういう路地裏の感じ、海外だったら絶対近づきませんが、日本だから許されるところありますよね。狭い路地とかの中に入るのってワクワクしてしまいます。海外だとやばい人がいたり、スラムにつながってるなんてこともあるのでしょう。寿町がスラムだという点もまあありますが、海外とはちょっと違うわけです。
どうやら寿町はニホンゴ通じないみたいです。
なんとなくさっきの店もそんな感じがしたんです。そして路地から聞こえるアジアンの風。商魂は日本人よりも韓国人の方があるようで、基本的にお店を開いているのはあちらの方が多いようです。
ちなみにこの分厚いカーテンの奥からはファンファーレが聞こえてました。寿町の入り口のところに場外車券場がありましたが、寿町の中にも「民間の場外車券場」があるのです。いわゆるノミ屋という私設の投票所です。公設の投票所よりも少しだけ配当が高いわけです。それを利用する人も多いのでしょう。しかし摘発にあえば逮捕される恐れもあるわけです。ちょっと配当高いからという理由だけでそのリスクを背負うのはどうなんでしょうかね。手軽に買えるという点、お金をその場で借りれるという点など公設とは違ったサービスがあるのが魅力なんでしょうかね。ノミ屋さんに行くことはなさそうです。
労働者の街、寿町。職安やこのような労働プラザという施設もあります。とくにこのあたりに住んでいる人は生活保護を受給している人が多いです。若い人であれば力仕事ができますが、ある程度の年齢になるとその仕事もできません。仮に体力があるとしても年齢ではじかれてしまうわけです。そのため職に就きたくても就けない。その結果生活保護を受けることとなる。生活保護だとまともな住まいを持つのも難しい。その結果ドヤ住まいということになるのです。
貧困の問題もありますが、この街は老人問題を多く抱えております。西成でもそうでしたが、ドヤ街に滞在している人の多くが結構お年寄りなんです。年金ももらえない、もらえても2000万円を貯めなければならない。そんな世の中です。先日この2000万円の話は撤回となりましたが、では撤回になったから「2000万円なくても大丈夫なんだぁ」となるはずがありません。国としてそれを公言しないだけで年寄りの金銭問題は変わらずに残っているわけです。現時点で老人で溢れかえっている寿町ですが、10年後、20年後にはさらに増えることになるのでしょう。
スラム街があるのは国際社会では恥だからそれを無くしていこう。西成も山谷もそれにより浄化されつつあります。ドヤ街を浄化する?浄化なんてしたら行き倒れる人が多数出てしまいます。
必要なのはこれからの時代です。そのため簡易宿泊所の方々には頑張ってもらいたい。
恐らく私が最終的に行く場所はドヤ街なんだと思います。老後、年金だけでは足りない。そして2000万円なんてお金も持っていない。生活をするためにはこのような街で行き、たまの余暇をノミ屋とカラオケ居酒屋で過ごすのでしょう。
いつか、この街に住む日が来るかもしれません。それまでにちょっと慣れておいた方がよいですよね。先日新宿のドヤ街を巡りました。
その際に一軒気になる簡易宿泊所がありました。新宿であれば周りに何の店があるのかもわかる。一日くらいだったら別に何の不便もない。最悪ダメだったら朝まで飲み歩けばいいという気持ちから、簡易宿泊所に電話しましたが、あっさり満員と断られてしまいました。実際に宿泊所の利用者は長期の人が多いのでしょう。アパートみたいな使い方で誰かが出ていかない限りは部屋もあかないのでしょう。
寿町はコインランドリーもあるし、銭湯もあるし、飲み屋もノミ屋もあるんです。使い勝手のよさそうな街じゃないですか。山谷よりもこっちの方が住むのに適してそうです。
でも若干日本じゃないところが気になることろ。まさにスラムって感じのところも。これ日本じゃない感じですよね。どこかのアジアの国のような感じです。
それでも場所は横浜です。近くには中華街もあり、そしてその手の店も多くあります。お金がなければどちらにも行けませんがそういうのが揃っている街です。
西成には飛田新地が、山谷には吉原遊廓が、では横浜寿町は?ここに住むにしてもやはりその手の店は必要なんだと思います。食う寝る遊ぶの遊ぶの部分。果たして横浜寿町の近くには遊ぶの部分があるのでしょうか。やっぱり人間はそれが必要なんです。