山林生活

【釜ヶ崎】ホームレスタウン西成の現在の姿【あいりん地区】

【釜ヶ崎】ホームレスタウン西成の現在の姿【あいりん地区】

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本日は東京駅から大阪へ。いつもは駅弁屋で弁当を購入するのですが、東京駅には様々なお店があります。駅弁といっても種類が豊富です。ちょっと贅沢して鉄火巻を購入しました。

本マグロです。そして寿司ざんまいです。弁当如きに1000円以上かけるのは解せないのですが、高いものはしっかりとしています。見た目にやられてしまい手に取ってしまいました。わざわざ新幹線で食べる必要は無いのですがやっぱり旅の醍醐味ってやつを味わいたいものです。

本日の大阪入りは仕事も兼ねてですが、せっかくなんで色々なところを見て回ろうかと思います。前回は大阪の松島新地界隈を散策しました。初めて行った松島ですが、あの場所もいろんな意味で風情があってよかったです。治安などはどうなのか分かりませんが、中心地にも出やすい場所なんで住みやすいところなのでしょう。

本日は少しばかり住みづらそうな場所に行きました。

西成に来ております。

西成という言葉だけでパワーワードになっております。

大阪市西成区。政令指定都市である大阪市の一つの区です。しかしその名前はあまりにもイメージが悪いものとなり独り歩きをしております。治安が悪い、事件が多い、そんなイメージがありますが、本日はそのイメージを払拭するつもりで西成に来ました。

私は以前何度かこの地域を訪れております。初めて西成に行ったのは15年ほど前だったでしょうか。

大阪には日本一治安の悪いスラム街がある。

そんな一文を目にし、実際に見ておかなければということで西成の通称あいりん地区、俗称釜ヶ崎に行きました。しかもそれだけの目的のために新幹線でわざわざ大阪まで。

日雇い労働者の街、西成釜ヶ崎。いわゆるドヤ街と呼ばれる場所です。ドヤとは「宿(ヤド)」の倒語、隠語でヤドを反対から読んでるだけです。つまりは宿場町という扱いですが、一般的な宿場町とは違います。木賃宿といわれる簡易宿泊所のことで、木賃とは薪などの燃料代程度の金額で泊れる宿というところです。

日雇い労働者の街は関東にもあります。日本三大ドヤ街はこの西成と東京の山谷、横浜の寿町です。
ドヤ街が形成された理由は仕事がありつけるため。この街に来れば日銭が稼げたわけです。働きたい労働者、雇いたい雇用主。需要と供給がマッチしたため街は発展したのでしょう。このようなドヤ街のことを寄せ場とも言い、簡易宿泊所に泊まり、日雇いの仕事をして、そしてその日稼いだ銭はその日のうちに賭博や酒に消える。

このような形で街は発展したものの、労働法規問題や雇う側である企業のコンプライアンスの問題などがありドヤ街での需要と供給のバランスが崩れ、寿町も山谷もドヤ街としての機能は失われつつあります。ここ西成釜ヶ崎も同じようにドヤ街ではなくなりつつあります。

私が初めて訪れた時はまだその名残はありましたが、ドヤ街というよりはホームレスの街になっておりました。

仕事がなければ宿に泊まれない。そうなると路上で生活をするしかない。仕事にありつけることができればその日は泊まれるが、次の日仕事があるかどうかはわからない。年を取れば雇ってもらえず。かといってこの場から離れることができない。貧困スパイラルってやつです。結果的に高齢者の方は路上生活者となり、何とかこの付近で生きているという状態のようです。

以前は路上で商売をしている人も多くいました。違法DVDや処方箋がなければ買えない薬、片っぽの靴など、どこかしらから拾ってきたものを販売する「西成闇市(泥棒市)」というのがありました。明らかに盗品であり、違法な物品を扱っていたのでしょう。またその当時は「ドライブスルーで覚せい剤が買える」なんていう話もあったくらいです。そんな街だから治安もわるかったのでしょう。海外の日本の旅行雑誌には「母国ほどではないが治安が悪い」と書かれていました。

こんな感じで平和な日本とは少し違うような雰囲気が味わえる場所でしたが、今は大分変ってしまったようです。

まず闇市の規模が縮小していました。以前は南海本線のガード下にずらりと露店が並んでおりましたが、その場所は整備されていました。当然その当時は不当に路上を占有して商売をしていたのでしょう。それが現在は撤去されて駐車場に変わっております。

街中にはこんな看板も。電動工具の中古買取専門店が成り立つのは西成ならではといったところでしょうか。日雇い労働は建設業などの仕事も多いので電気工具を持っている人も多いのでしょう。その電気工具はいったいどこから入手したものなんでしょうか。ぜんぜん笑えないかもしれませんね。

酒と書かれた店に入るも、中は酒の自販機だけ。免許証がなければ買うことができません。身分を証明できる人が少ない街で成り立つのでしょうか。売っているものがチューハイが多いです。ビールといった高級なものはなく発泡酒です。最近自販機でお酒を買うことも少なくなってきました。ビジネスホテルの自販機で買うくらいでしょうか。それ以外であまり見なくなりましたからね。コンビニに行けば買えるので普通は不要なのでしょう。しかしコンビニに行けない人もいるわけです。釜ヶ崎にはそのような人が多いのでしょう。それとコンビニ自体が付近に少ないというのもあるのかもしれません。駅前には数軒見かけましたが、この中にはそのような店舗が見当たりませんでした。防犯上の関係など色々と理由があるのでしょう。しかし治安が悪いのに自販機がほかの地域よりも多く置いてあるというのは日本が安全だという証拠なのかもしれません。

また釜ヶ崎の象徴であった「あいりん総合センター」も閉鎖。建替えるため今後取り壊すようです。建て替えの理由は老朽化によるもの。たしかに見た目は大分古い感じです。
一部は付近の場所に移転しておりました。地元住民、いや住民ではなくそこに居ついている人は建て替えを良しとしない人がいるようです。反対の理由を調べるもとくにわかりません。慣れ親しんだ場所がなくなるというのが嫌という感じなのでしょうか。個人的には新しくなるのは良いことだと思うんですけどね。当然建て替えるために税金が投入されるわけで、そこに対して無駄遣いっていうのはわかるところもありますが、反対の理由はそういうのじゃない感じのようです。

あいりん総合センターは閉鎖されるものの、付近にはまだ路上に住んでいる人がたくさんいますがこれらも縮小傾向です。反対の理由は恐らくこれなんでしょう。以前は段ボールハウスが所狭しと軒を連ねてました。しかし建設工事のため強制退去させられたのでしょう。それがあったから反対運動があったんだと思います。

以前のように路上に“家”を作られないようにするため、道路上にはポールがあります。これが縮小した理由でもあるのでしょう。

現在は公園に一部家らしき建物があるくらい。ほとんどが再開発により撤去されたようです。そのためホームレスの数も減りつつあるのでしょう。しかし実際のところは数は減っていないのだと思います。このあたりの路上生活が厳しくなっただけであり、貧困は変わらず残っています。ネットカフェなどに寝泊まりをしたり、ここじゃない別の場所に移っただけなのでしょう。

貧困を救ったわけではなく、ただ追い出しただけという状態なんだと思います。

当然付近に住んでいる人からすれば、ホームレスの街と揶揄されるのは不快でしょう。西成という地名だけで治安が悪いというイメージが先行するわけですからね。地元住民は再開発を望み、地元住民ではない住民は今のままを望む。どちらを優先するか考えれば当然の形なんだと思います。とくに2025年に大阪万博があります。海外から色々な人が来るわけです。釜ヶ崎や飛田新地が大阪のイメージの一つになるのは印象も悪いでしょう。

見えないものには蓋をする。日本人的な考え方ではないでしょうか。

現在、釜ヶ崎は再開発中で、マンションを建てています。
このマンションがどのような使われ方をするのかは不明です。ただこういう建物が出来てくれば、ホームレスもいづらくなるのでしょう。

新宿にも以前ドヤ街がありました。場所はタカシマヤなどがある新宿四丁目あたりです。現在は数件の宿泊所があるのと場外馬券場があるくらいでその名残はほとんどありません。古くは明治通りあたりは日雇い労働者が一杯いたそうです。うちの親が子供のころはその地域は旭町と呼ばれており「あのあたりに行けば血を買ってくれる」ところだったそうです。現在は売血は禁止されていますが、当時は職にありつけなければ血を売る生活をしていた人もいたのでしょう。しかし今はそのような面影はありません。現在の新宿のホームレスの行先は都庁前です。恐らく釜ヶ崎もこんな感じで街が変わるのでしょう。

実際に釜ヶ崎は寄せ場の簡易宿泊所のある街から外国人のバックパッカー向けの街に少しずつ変わってきているようです。治安は悪いがそこまで悪いというわけではない。それでいて格安で泊れる施設があるわけです。バックパッカーからしてみれば安くとまれて大阪を観光できるということで重宝されているみたいです。特に関西は大阪だけでなく京都や神戸などの観光スポットが多いです。しかし観光地だけど宿泊施設がないという問題点があります。民泊なども増えているようですが、それでも外国人観光客を収容できるほどの数はありません。西成なら繁華街も近くにあり、京都に出るとしてもそこまで不便な場所でもない。関西国際空港にも近い。そんなわけで外国人観光客も多くなっているのでしょう。

実際に宿泊料金は800円~という格安料金です。新幹線で食べた弁当でおつりがくるわけです。
800円でどんなところに泊まれるのかは不明ですがネットの情報では一応部屋のような感じの所みたいです。

光熱費も含まれwifiも無料。風呂は共同だが入れる。それが一泊800円なんです。一カ月泊っても25000円以下です。
普通にアパートとかマンションとか借りて生活をすれば水道代が月に1200円、電気代が月に3000円、ネット代が5000円。これらを合わせると9200円になるわけです。宿泊代が25000円なのであれば、実質16000円で寝泊まりできるというわけです。これであれば生活保護受給者でも生活できそうな感じがします。実際に西成では4人に1人が生活保護受給者のようです。日本の生活保護受給率は1.67%、つまり1000人のうち17人が受給しているのに対し、西成区では23.7%、つまり1000人のうち237人が生活保護受給者ということです。貧困地区か富裕地区かで考えれば明らかに貧困地区なんでしょう。でも、それでも生活が出来る環境があるわけです。

国民年金の満額が65000円ですので4万円でやりくりすることもできるってわけですね。携帯代などを差っ引いても一日1200円くらいの余力が残せます。自炊は難しそうなので買い食いになりますが物価も安いので不自由なく生活できそうです。年間30万円で住まいも光熱費も用意できる。いいシステムではないでしょうか。釜ヶ崎こそセーフティーネットなんでしょう。

土地買って小屋建てて最低限の生活をするよりも釜ヶ崎の簡易宿泊所で長期滞在をするほうが私は性に合っているような感じがします。物価も安いし食べ物もおいしいですからね。

今のアフィリエイトの収益だとギリギリ簡易宿泊所に泊まれる程度。

もう少し収益が上がれば、ホテル暮らしも夢ではないということです。

悪くないですね。西成も。
もちろん治安が悪いという点は否めないんだと思います。身元不明の人も多く、指名手配されている人もいるなんてこともあります。またその手の組織の事務所も多く存在します。ただこの部分は川崎でも同じです。結局はどの町だとしても治安が悪いところは存在します。西成が特別というわけではないんです。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ不安要素がある程度なんでしょう。

個人的には以前の「日本じゃない感」があるところが好きでしたが、新しい釜ヶ崎もいい感じです。ただ半日いた程度では釜ヶ崎の一部分しかわかりません。やはりここは長期滞在してみるのが一番なんでしょう。一週間いても6000円でおつりがくるわけですからね。今度試してみたいと思います。

さて、今いるのは西成の釜ヶ崎。釜ヶ崎はどちらかというと男の労働者の街。そういえば西成には“おんなの労働者の街”がありましたね。せっかくここまで来たんだから行かなきゃ損です。そのお話はまた明日にでも。

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