【大阪五大新地】旅館街の信太山新地はほぼ世界遺産
信太山駅に到着しました。
ここに来るまで「しんたやま」だと思ってたのは内緒です。ぱっと見だと金太郎っぽく見えるじゃないですか。金太郎につられると「しんたやま」になるんです。正しい読みは「しのだやま」。地名って難しいですよね。
名前の通り信太山という山があるそうで、ちょっと高台になってるんだとか。
ほんとに「しのだやま」なの?駅の近くは「はかたちょう」です。
今回わざわざ夜行バスで大阪に来た理由は、ここ信太山に行きたかったからなんです。
「大阪には五大新地がある」
そんなのがあるなら行くべきじゃないですか。
私は松島、天橋立、宮島の日本三景に行きました。
偕楽園、兼六園、岡山後楽園の日本三名園も行きました。
吉原ピカソ、熊本ブルーシャトウ、雄琴フォーナインの...。
この三大○○とか五大○○とかは海外でも似たようなものがないわけではないそうですが日本人特有の考え方なんだとか。歴史の授業で世界四大文明っていうのを習ったと思いますが、あれは日本と中国だけしか通じないそうです。
もともと日本人は物事に順位をつけるのが好きなのでしょう。江戸時代にも様々なものに番付をつけていました。
私もなんだかんだで三大○○が好きなんです。
三大ドヤ街も行ったし、東京三大貧民窟も行きました。そんなわけなんで大阪五大新地も行っとくべきですよね。
この三大○○ってのは要は上位1~3位を上げたものです。
日本庭園の中で飛びぬけて美しいのが偕楽園、兼六園、岡山後楽園ってわけで他にも庭園はいくつもあるのです。
では大阪五大新地はどうでしょうか。
「五大」って言ってるけど現存するのが全部合わせて5カ所だけ。
昔はあったのでしょう。でも現在残っているのは5カ所だけです。
滝井新地なんてちょー小さいところでしたからね。五大新地の中で最弱でした。
五か所しかないんで大とか小とか関係ない。大阪五新地ってのが正しい表記です。
有名なところは飛田新地です。こちらは大阪だけでなく国内最大級の料亭街。この形式は日本独自のものだから世界最大級と言ってもよいのかもしれません。ユーチューバーが突撃して問題になったりしていますが、いまだに健在です。
次に大きいのが松島新地です。こちらも雰囲気がよかったです。
ちょっと異色だったのが今里新地。こちらは鶴橋が近いからなのか韓国化していました。韓国の中にちょんの間があるスタイルでした。
これらは大阪の中心地から比較的近かったので回れたんです。でも五か所目の信太山新地はちょっとだけ遠いんです。そのため行くタイミングがありませんでした。いつもであれば何かのついでに立ち寄っていたのですが、今回はわざわざ信太山新地を見に行くために大阪まで来たのです。夜行バスで。10時間かけて。
一刻も早く来たかった。それには理由があります。
その理由は2025年に開催される大阪万博です。
先日、大阪万博のマスコットキャラクターが決まりました。妖怪みたいな風貌のコロシテくんです。賛否あるものの個人的にあのキャラは好きです。「いのちの輝き」が今回の万博のコンセプトですが、キャラクターは躍動感があってコンセプト通りです。
そんなキャラのことは今回はどうでもいいんです。
問題は万博が大阪で行われることなんです。
今から50余年前、1970年に大阪で日本万国博覧会、通称大阪万博がありました。
終戦して25年。戦後の復興や朝鮮戦争の特需により高度経済成長を成し遂げ日本は経済大国となりました。敗戦国だった日本が大国と同等の技術、経済力を持ったのです。日本にとって万博は一大イベントだったのでしょう。入場者は6400万人。外国人も170万人来場したそうです。悪しき文化を諸外国には見せられないってわけで性風俗店への取り締まりがあったそうです。
時は経ち1990年。今度は国際花と緑の博覧会、通称大阪花博がありました。大阪万博も大阪花博もどちらも外に見せるための催しものです。より良い日本を見せるために悪しき部分は消さなけばなりません。そのため1990年にソープランドは禁止となり、大阪からソープランドがなくなりました。
日本は体面を気にして無きものにするのです。
2005年の横浜開港150周年の際に黄金町は壊滅しました。行きたかった三重の渡鹿野島も伊勢志摩サミットの際に取り締まりがあったそうです。去年のオリンピックの際も風俗店の取り締まりがあったそうです。
そんなわけなので2025年の大阪万博の際、この界隈は当然無傷ではいられないでしょう。
かんなみ新地が閉鎖されたのも、大阪の新地を潰す最初の一歩なのかもしれません。
つまり、いつなくなってもおかしくない状態なんです。まごまごしてたらなくなっちゃいましたーってのが一番嫌です。そんなわけで一秒でも早く信太山新地に行きたかったんです。
ってわけでこちらが信太山新地です。
入り口のところにある看板。
大阪の南側には和歌山があります。大阪の天満橋を基点に熊野参詣のために熊野街道が走っており、信太山新地の近くを通っています。その熊野街道ですが小栗街道とも呼ばれており、それが由来で「小栗の郷」となっているそうです。
そもそも信太山新地があるのは熊野参詣が理由なんだそう。
寺社巡礼の際は精進しなければならない。
熊野街道は参拝をするための道。お参りが終わるまでは肉や酒を断たなければなりません。また異性との接触も雑念なので避けなければなりません。今では気軽に神社仏閣に行ってますが、参詣とは本来我慢をしなければならなかったのです。ちなみに天満橋から紀伊田辺は180kmもあるそうです。そこからさらに伊勢まで行ったらかなり日数が必要ですね。その間は酒も経ち女も経つわけです。
家に帰るまでが遠足と言いますが、その当時は違ったようです。お参りしたらそこで終了。つまり仏閣を出た瞬間に全てを開放できるのです。肉も酒も食べ放題。精進落としってやつです。
我慢していたものを解消したい!という気持ちに応えるために信太山に遊郭があったそうなんです。
つまりこれはあれだ。熊野古道が世界遺産となっているってことは、ここはほぼ世界遺産ってわけです。
小栗の郷ってのはそういうのが由来なんです。
「憩いの町」
物は言いようですね。
大阪の他の新地は“料亭街”ですが、ここは“旅館街”となってます。
料亭ではないので飴は出ない。でもあとはほぼ一緒。
料亭と旅館。全く違う業種ですがどちらも仲居がいて、たまたま恋に落ちちゃうんだそう。
違いがあるとするならば信太山新地では顔見せをしていないってところでしょうか。
ちょんの間といえば飾り窓のようになっていて、外から働いている仲居の顔を見れます。しかし信太山新地はそのシステムを採用しておらず、全ては差配人に任せる形のようです。顔出ししないため身バレもない。そんなわけでここで働く人が多く、質が良いんだとか。逆に顔見せしないから値段も安くなっているそうです。
20歳未満の者、来所を禁ずると書かれた看板。
先日改正民法が施行され成人年齢が18歳に引き下げられました。アダルトビデオの出演がどうのとかでもめていますが、自分の進路を決めるのに責任を取れないやつに、国の進路を決めさせるなって話です。
風俗店の利用は以前から18歳も大丈夫でした。信太山新地が20歳としているのは自主規制的なヤツでしょうか。金銭トラブルとかになった場合、相手が未成年だと面倒ですからね。でも今回の法改正で18歳が成人となりました。近い将来、この看板は変わっているかもしれません。
白瀧八大龍王と書かれた社があります。
八大龍王は水の神様らしいです。これは「水商売」とかけてるんでしょうか。そういえば飛田新地の守り神も龍だった気がします。たぶん遊郭は火災が頻繁に起きていたのでそのために水の神様を祀っているのでしょう。
この寄付名簿。昭和55年となっています。
一番高額なのは5万円。3万円を支払っている人も多いですね。一番安くて3000円。一口3000円~って感じでしょうか。
現在時刻は午前10時過ぎ。夕方にならないと開かないと思っていたんですが、すでにオープンしている店がチラホラあり、店前を通ると声をかけられます。
やり手ババァ「お兄さん遊んでかない」「どんな子がいいの?いい子紹介するよ」
この声掛けシステムはどこの新地でも変わりないですね。
こちらの店はこの界隈で人気店なんだそう。郭の雰囲気があります。
飛田、松島、今里、滝井。そして今回信太山新地を巡りました。これで大阪五大新地制覇です。まぁ実際の制覇は店を利用しなければダメなのでしょう。それは追々ということで。
飛田新地は規模も大きく異色な街でしたが、信太山新地は雰囲気がよい感じでした。細路地の中にちょっと怪しい佇まいの店がある。その雰囲気が味わえるのはよいですね。
しかし記した通りこれらの街は消滅する恐れがあります。先日も尼崎のかんなみ新地が閉鎖となりました。大阪の新地もお取り潰しとなるかもしれません。
もし摘発となった時、「ごめんなさい」で許してもらえるのでしょうか。