中洲の端にある中洲南新地はなぜ“トクヨクの街”となったのか
博多に来ております。
こちらはキャナルシティ博多です。1996年に開業した複合商業施設でホテルもあって滞在に便利な場所。以前は博多駅から遠かったのですが2023年に七隈線の櫛田神社前駅が開業しました。ここを拠点にすれば博多駅前も天神も行きやすい。そして目の前には男の花園「中洲」があります。
中洲は東京の歌舞伎町、札幌のすすきのと並ぶ日本三大歓楽街の一つに数えられ、西日本で一番の歓楽街なんだそう。大阪のほうが栄えてそうなイメージですが、大阪は北新地や道頓堀など広範囲にわたっています。中洲は小さな島の中にギュッとつめられているんです。
狭いといっても結構な広さなんです。
歩いて一周はできますが、南北に1000m、東西に200mほど。東京ドーム5個分といったところでしょうか。その中に2000軒ほどの店があるようです。その大半はスナックやキャバクラなどの飲食店で中洲2丁目~5丁目に集まっています。全部回るのに6年かかる。でも三軒ハシゴすれば2年で回れます。
福岡の出張と言えば中洲で遊ぶことでしょう。地元の人以上に出張族が多い場所なんでしょう。まぁ遊びたくなる気持ちもわかります。福岡の中洲には九州の美人が一カ所に集まるわけですからね。そりゃ行くでしょ。
店は東京とほぼ同じですがなんか東京と雰囲気が違うし(やってること同じだけど)。せっかく福岡に来てるんです。
博多の風感じたいじゃないですか!
でも今日は飲み屋街のほうにはいきません。本日は国体道路の南側。中洲1丁目のほうにいきます。
こちら朱色の橋が架かっています。キャナルシティ博多から中洲へ渡る橋ですが、雰囲気が花街への架け橋のようです。キャナルシティは子供も遊べる商業施設ですが、橋の反対は大人が遊べるスポットになっています。なんとなくこの橋を渡ったら帰ってこれなさそうな感じ。
この橋の先が中洲一丁目になるのですが、このあたりは南新地と呼ばれているそうです。名称に新地と付くところは飲み屋街や風俗街のところが多い。大阪の北新地も飲み屋街。川崎にある二子新地も古くは置屋がある花街だったそうです。飛田新地もやはりその手の街です。他の新地同様に中洲一丁目も風俗街となっているようです。
いわゆる風俗街です。中洲一丁目には150軒ほどの性風俗店があり、ここに一カ所集中しているようです。ソープ街ってわけではなくトクヨクってジャンルの店が博多にはあります。トクヨクって特殊浴場の略称ですが、実態はファッションヘルス。特浴と漢字表記してしまうとソープと混同してしまうためカナ表記にしているんだとか。
こちらには大きな屋敷があります。
風俗街の中にある屋敷だとすると元妓楼とか料亭かと思ってしまいますがこちらは個人宅です。家の目の前がソープランドって願ったり叶ったりの立地ですが、風俗街の中に立派な屋敷があるのには理由があるのです。
かなり良さげなお屋敷。てっきりその筋の親分の家っぽい感じですがこちらは三世代県会議員を務める井上家の屋敷なんだとか。議員の家の前が性風俗街って「絶対に通うために誘致したやつ」って思ってしまいますがそうではありません。中洲のここが風俗街となったのはここに住む先々代の吉左衛門氏がきっかけのようです。
家の前に風俗店があるのは望ましくない。
私は川崎に住んでいた時、自宅前がソープランドでした。工事でお風呂が使えなかったときはお世話になりました。このように目の前に風呂屋があると何かと便利なんですが、それを好まない人が結構いるようで、ここ博多でも風俗街をどこにするかで悩んでいたそうです。
風俗店は必要悪、でも出来れば近くにない方がよい。そんなわけでどこの商店街も消極的で反対意見も多く風俗店の行き場が見つかりませんでした。このように悩んでいたところ名乗りを上げたのが中洲一丁目に住む井上吉左衛門でした。
吉左衛門氏「だったら俺んちの前でよくね!?」
他がダメならばうちの前を風俗街として指定すればよい。そうすれば不満も出ないし問題も解決するってことで吉左衛門氏が自宅前に誘致したんだとか。
受け入れたことで全てが丸く収まりました。このような経緯により中州一丁目に性風俗店が集まるようになりました。今では九州で随一の風俗街となり中洲南新地と呼ばれるようになりました。博多の名士 井上吉左衛門がいたから今の中洲があるのです。
「絶対に通うために誘致したやつ」
これは通うために誘致したんでしょう。表向きは博多市民のためって言ってるけど腹の底では何考えているかわかりません。私が同じ立場であれば同じことをしたはずです。その結果が今の南新地の姿。
結構激しめの看板が目立つ街並みとなってます。子供が近づいちゃダメな場所。
そもそも人が住むような場所ではないですからね。ちなみに南新地は9人住んでる人がいるようです。私が博多に引越す際は10人目の住人になるのでしょう。
この手の風俗街って比較的落ち着いているもんですが中洲の風俗街はトクヨクが多いからなのか看板が少し過激なものが多いです。
パロディー店はどこにでもありますね。こちらはトクヨクではなく普通のソープ店のようです。
多少激しめの看板が出せるってことは福岡県警が許している証拠です。
こちらはそのまま遊郭を名乗っている店があります。ソープランドはあくまでも入浴の介助をしているだけに過ぎません。その後恋愛感情が生まれるかもしれませんがそれについては気持ちの問題。でも遊郭って店名はアウトなんじゃないでしょうか。
っていうか街の質が悪い。
こちらもソープなんですが「ガクブル系ソープ」という新たなジャンルです。
入浴を介助するって前提を覆してる。
0.00ミリってことはNS店ってことですよね。入浴を介助するって前提を覆してます。
過激な店が多いのはトクヨクが多いからだと思っていましたがそうではなくそれが福岡では当然のようです。何も問題ないってことは福岡県警が認めているんでしょうね。
福岡県警「ここはお風呂屋さんです」
そう。ここはお風呂屋さんです。福岡市内には銭湯が少ないなーと思ってましたがこんな狭い地域に150軒もあったんです。風呂屋にしてはちょっと特殊な店もありますがやはりそれは特浴だから。
もうこれは湯に浸かるしかないですね。
中洲の飲み屋は全部回ると6年かかりますが南新地であれば5カ月で制覇できます。平均単価が3万円とした場合、450万あれば全店制覇できます。2000円のオプションをつけても480万円、体力的な問題もありますが飲み屋を回るより現実的ではないでしょうか。制覇には5カ月かかりますが二軒ハシゴすれば2カ月半で回り切れます。二軒ハシゴは生理学上無理っぽいですが短い期間で全店制覇ができるんです!
今回は福岡に三泊します。そんなわけで残りはあと141軒(一日三軒)。なかなか刺激的な南新地。はたして今日はどこに行きましょうか。