風俗なき松阪にある怪しい歓楽街「愛宕町歓楽街」
本日は三重県松阪市に来ております。
こちらはJR東海紀伊本線の松阪駅です。
わたしはずっと松阪のことを松坂だと思っていました。また読みも「まつざか」だと思っていたのですが正しくは「まつざか」ではなく「まつさか」なんだとか。
松阪の名の由来はお城があった松ヶ島の「松」と秀吉が統治していた大坂の「坂」の頭文字を使い「松坂」としたそうです。
当初は「まつざか」と濁音がはいっていましたが、大坂が1872年に大阪に改めたからでしょうか。松坂も1889年の町村合併により松阪に変わったようです。呼称は「まつざか」と「まつさか」の二通りありましたが平成の大合併の際に「まつさか」に統一されたそうです。
つまり松坂牛(まつざかぎゅう)は誤り。
正しくは松阪牛(まつさかうし)。
統一されたのが2005年。まだ20年程度しか経っていないんですね。昔の呼称が松坂なのであれば伝統を重んじ「松坂牛」にする方がよさそうですがそこは譲れない何かがあるのでしょう。
だから「まつざか」っていうと「まつさか」って地元の人に訂正されるのでしょう。住んでいる場所の名前を間違えられるのは嫌ですからね。松阪市民の郷土愛を感じられます。
ちなみに伊勢弁では松阪(まっつぁか)と言うそうです。
もう三重の地名は全部ひらがなにしてほしい。
松阪駅は松阪市の玄関口であり一番栄えている場所です。というわりには駅前はだいぶ静か。駅からまっすぐ伸びる新町通りは両側に店舗が軒を連ねておりますがシャッターが閉まっているところが多めです。
地方の駅前商店街はどの地域も似たようなものです。車社会のため駐車場が乏しい駅前よりも国道沿いの車でアクセスしやすい店が好まれる。郊外にショッピングモールができることで駅前は衰退したのでしょう。まさか三重の出世頭である四日市岡田家により造られたジャスコが商売敵となり商店街を潰されることになるとは思いもしなかったことでしょう。
現在イオンタウン松阪船江が改築中でもうじきオープンするそうです。ますますイオンが便利になるのでしょうね。
このように松阪駅前は同郷の民に滅ぼされたわけですが飲み屋まではイオンの力で潰せなかったようで現在も駅西側に飲み屋街が形成されています。場所は京町・愛宕町ってところ。
松阪には比較的大きな歓楽街があるようです。
そもそも松阪には古くから遊郭がありました。江戸時代にお伊勢参りが流行り伊勢街道沿いだった松阪は宿場町として発展したそうです。当然そっち系の店も多かったのでしょう。もともとはベルタウン付近に遊郭があったそうですが1700年頃に移設し二ヶ所に遊郭を作りました。
東の郭と西の郭と二つの遊郭を作り、現在の川井町が西の郭で愛宕町に東の郭がありました。なんとなく川崎の堀ノ内と南町に似た感じがします。松坂城の両脇に遊郭がありましたが西の郭だった川井町は現在住宅街になっています。愛宕町は現役で遊郭の流れを汲んでいるようです。
このあたりにはピンサロがあります。正式にはピンサロではなくキャンパスパブ。まつざかではなくまつさかと同じようにこの地域でピンサロって言うと地元の人に「キャンパブです」と訂正されるのでしょう。かよっている業種の呼称を間違えられるのは嫌ですからね。松阪市民の郷土愛を感じられます。
キャンパスパブはこの付近に6軒ほどあるのでしょうか。このようにキャンパブが飲み屋に紛れてあるのですがこれらはあくまでも飲食店。この界隈にはソープやヘルスといった性風俗店はありません。
松阪市、ソープはないがキャンパブはある。
どうやら三重県には表向きの性風俗店は少ないです。このように風俗過疎地となっているのには歴史があります。
普段は財布のひもを締めてるけど、旅先では緩くなるものでバンコクに行ったらゴーゴーバーに行き、ススキノに行ったらソープへ行く。このように旅行先で羽目を外すのはいつの時代も同じで江戸時代も旅先で女遊びをしたのでしょう。
江戸時代に流行ったお伊勢参りにより多くの人が往来した三重。県内には20カ所以上の遊郭があったそうです。それだけあっても潰れないってことは需要があったんでしょうね。
このように三重県はあっちこっちに小規模の遊郭がありましたが、神の国と呼ばれる三重。神のご加護なのでしょうか。キリスト教の団体が廃娼運動を訴えるようになります。
その運動が盛んとなり1939年には県内の妓楼が天に召されました。その後は私娼窟ができるも太平洋戦争時の空襲被害も酷かったようで、市街地は焼け野原となりました。このようにしてかつてあった色街は一掃されてしまったのです。
まさかキリスト教により遊郭は弾圧され、キリスト教国のアメリカにより私娼窟まで破壊される。
神に見放された場所だったのです。
ソープが県内に少ないのはこのような理由があるんですね。現在県内のソープは四日市と津だけ。松阪にもかつてはこのあたりにトルコ風呂があったようですがそれらは昭和の時代に消えてなくなりました。
このように時代の流れの中で唯一残ったのがキャンパブだったのでしょう。
でもキャンパブはごく普通の飲食店。ぜんぜん遊郭の流れを汲んでいないんです。
たまたま客の下半身に飲み物をこぼしたためおしぼりで拭いてキレイにするくらいのことはあるかもしれませんがその程度。松阪のそれは西川口の流れを汲むNK流の一派のようですが全然文化的じゃないんです。
そう、遊廓とは日本の文化なんです。遊郭は様々な文化を育んだ文化の集積地のような場所でした。遊郭があったからお伊勢参りも人気だったのでしょう。
しかし格式高い遊郭は低俗な店へ変わってしまいました。もう松阪には文化的な店はなくなってしまったのです。
でもこちらには映画館があります。松阪大映劇場。創業1940年。戦前からある映画館で80年以上続いているようです。
大映劇場の名の通り開業当時は大映映画専門の映画館でした。羅生門、座頭市物語、ガメラ。当時は様々な映画を放映し文化を育んだのでしょう。
松阪はピンサロ街じゃないんだ!まだまだ文化的な施設がちゃんとあるんです!
1970年に独立、成人映画専門になったようです。
これはある意味文化的な映画館。
かつては普通の映画館。でも普通じゃなくなってからの方が長く営業しています。普通の映画だけでは厳しいためエロに傾くのでしょう。
こちらの映画館は成人向けの映画館となっておりハッテン場なんだとか。
これはある意味文化的。
インターネットでエロ動画が気軽に見れる時代。エロだけじゃ経営を続けるのは難しいのでしょう。どこのポルノ映画館も行く末は似たような状態です。
このようにキャンパブと成人向け映画館がある松阪。遊郭だったこの場所は戦後赤線街となり現在は飲み屋街が形成されています。飲み屋の集合体のような場所。こちらはサロン的な店でしょうか。歴史がありそうな佇まいです。
鬼滅の刃にラブライブ。とりあえず人気アニメのポスター貼りました感が強い。とりあえず有名なキャラを掲げておけば安心感がでます。
こちらは天空の城。まさにスタジオジブリに乗っかろうとしている感が強いです。でも天空の城ってジブリだけのものではないんです。例えば兵庫にある竹田城は雲海に浮かぶ城として有名で天空の城と呼ばれています。また三重にある赤木城も天空城と言われているそうです。
天空の城って名詞は決してジブリの専売特許ではない。スナックがその名を冠しても何ら問題なんです。
これはバルス。
歴史ある飲み屋街。でも新陳代謝はされているようで新しい店も増えています。こちらは最近飲み屋で見かける熟女を称した店。
またほかの飲み屋街同様に外国人パブも多くあります。一見すると普通のパブっぽいですが、ブラクラクはタガログ語で「花」を意味する言葉。飲み屋を出入りするとバイリンガルになれる日が来そうです。
路地裏だけかと思ったら大通りまで飲み屋が漏れています。松阪の名物は牛肉だけではないようです。肉を食べて酒を飲む。伊勢参りは精進しなければなりませんが、そんなのお構いなしといったところ。
でもやっぱり松阪といったら肉ですよね。鳥の焼肉も有名ですが牛肉食べたいです!ってわけでこちらの店に行きました。一升びんってチェーン店なんですが、それの一号店のようです。外観はチェーン店っぽくありません。
おそらく松阪牛ではリーズナブルな価格で提供しているのだと思いますが気軽に食べられる価格ではありません。
部位によっては安い肉もあるようです。ホルモンとハラミを注文。こちらは松阪牛とは書かれていないためブランド牛ではないのでしょう。
こちらは松阪牛の切り落としです。肉質は柔らかく肉の旨味が強い松阪牛。味噌だれとの相性も良いです。焼肉店ってなかなか一人で入りづらいのですが、こちらであれば赤提灯感覚で入店できます。ここで一杯ひっかけてスナックに行くってのが松阪の楽しみ方なんでしょうね。
夜21時。もうすでに夜の街ははじまっています。歩いている人はそこまで多くありませんがネオン輝く夜の街愛宕町歓楽街。フィリピン、チャイナ、コリア、タイ。今宵はどこのアジアに行きましょうか。