山林生活

おっととっとナッツだぜ!自助の街「ピーナッツ八街」散策

おっととっとナッツだぜ!自助の街「ピーナッツ八街」散策

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本日は千葉県の八街市に来ております。八街という名称は明治期に徳川幕府の放牧地だった場所を開墾する際に8番目に着手したことからこの名がついたそうです。ちなみに船橋に三咲、柏に豊四季がありますが、その時に割り振られた数字のようです。

八街駅前には馬のオブジェがあります。こちらは放牧地だったことを指すものなのでしょう。

人口67000人の八街市。東京までは一時間なので通えない距離ではないが通いたくない距離。そんな千葉の田舎ですが、八街と言えばこれでしょう。

おっととっとナッツだぜ!

八街はピーナッツ、落花生が有名です。ちなみに落花生はナッツではなくピーナッツです。

千葉と言えば落花生が名産で、全国シェアは80%以上あります。そして千葉の中でも八街が一番多いんだとか。つまり八街は落花生の生産量日本一になります。
千葉に来るとお土産で落花生を買いたくなっちゃうんですよね。でも国産の落花生は値段が高いんです。日本で食される落花生のおよそ9割が外国産に頼っており、外国産は1kgあたり280円程度に対し国産は2000円近い金額。もうこれ、同じ落花生じゃないでしょう。今日は国産ピーナッツの出荷量全国一位の八街にいるんです。せっかくだから買って帰ります。

八街駅で栄えているのは南口側でしょうか。こちらは八街駅前商店街です。

「お買い物は駅前商店街へ」って言ってるわりにはシャッター街です。でも潰れているわけではなさそうです。昔はアーケード街だったような雰囲気があります。このような路地はあまり見かけなくなったので残してほしいですが、これらもいつかはなくなってしまうのでしょうね。

こちらは八街銀映です。
1952年に開館した映画館ですが1982年に閉館したようです。その後40年間このままになっているようです。戦後すぐの八街駅前は多くの人が往来する繁華街だったそうで、映画館もここ以外にもありました。

建物がそのまま残っています。このサイズの建物を取り壊すのはある程度の費用が必要です。接道義務も果たしており都内だったらこの規模の土地は引く手あまたですが、八街ではたとえ駅の最寄りだとしても建物の取り壊し費用と土地の売却益のつり合いが取れないのでしょう。そのためこのような形で残ってしまうようです。

築70年の建物。ちゃんとしていれば有形文化財に指定されそうですが、文化財と廃墟は紙一重ですね。

崩れた隙間から建物の中が見えます。広告ポスターが見えるのでこちらはかつては劇場だったのでしょう。

映画館の近くには飲食店だった店もありましたがこちらも廃墟になっていました。

こちらは旧劇場の近くにあった神社です。この神社の名前を見てスルーするわけにはいかないでしょう。

女体化神社、ではなく女化神社(おなばけ)です。助けられたキツネが女に化けて嫁いで恩返しした伝説があるからこの神社があるんだとか。

やっぱり女体化神社。

こちらは明治12年に茨城県の女化神社を勧請したんだそう。こちらの社殿は昭和49年に寄付金により建立されたそうです。

こちらはかつてあった社殿の残りでしょうか。

大正四年と書かれた石碑があります。

こちらの灯ろうは国防婦人會が寄贈しています。国防婦人會は1931年の満州事変が起きた翌年に大阪で結成された婦人団体。直接戦時にかかわっていませんが国内で雑務を請け負っていたようです。神社の灯ろうは専ら遊郭や妓楼が建てていますが、こういうのが残っていると歴史を感じられます。

現在の八街駅前はシャッター街となっています。かつてはこの辺りも多くの人が行き来していたのでしょう。

こちらは八街市の鳥瞰図で、描かれたのは昭和3年(1928年)に作成されたものです。そのため映画館はなくその当時は畑だったようです。

よく見るとカフェーって文字が見えます。
いわゆる風俗営業としてのカフェーは関東大震災の翌年(1924年以降)に増えだし、1933年には許認可制となりました。そのためここに書かれているカフェーは不純な喫茶として認識してよいでしょう。

鳥瞰図や古地図ってロマンがありますよね。同じ場所に同じ屋号の店があったりするとワクワクします。ちなみにかつてピンサロがあった場所は旅館でした。これは何か通ずるものがあります。でもそのピンサロはすでにありません。これはどこの地方でも同じこと。車社会の地方では狭路で駐車場も少なく利便性が悪い駅前よりも、ロードサイド型の店舗を利用する人が増えます。

飲み屋もロードサイド型へ。

着付けサロン、弁当屋、パブ、マッサージ、居酒屋、スナック、タイ料理にピンクサロン。ピンサロと着付けサロンの二つが同じ建物にあるから厄介。こちらは酒々井へ向かう県道沿いにある飲み屋長屋です。
駅の近くにピンサロがあったそうですがそちらはすでに閉店。性風俗無き八街の唯一のオアシス的スポット。こちらの店舗は駅前にあったピンサロが閉店したあとにできたそうなので駅前にあったその店がここに移転しただけなのかもしれません。風俗店もロードサイド型になったようです。

交通の便が悪い地域はこのように大通り沿いに店が移転するのは仕方がないことです。それにより駅前は寂れてしまうのでしょう。

かつては治安の悪い、スラムのような場所なんて言われていた八街ですが、そのような雰囲気はありませんでした。
そもそも人が少なくなっているため治安が悪化することもないのでしょう。ちなみに千葉県内で一番治安の悪い地域は千葉市中央区で一万人当たりの犯罪件数は八街の倍近いようです。八街市は犯罪件数は平均以下でした。突出している犯罪はオートバイの盗難と部品狙いなど窃盗事件と強盗事件のようです。

千葉の内陸部は金属スクラップヤードが多い地域です。鉄くずや銅線などを買い取ってくれる業者が複数あります。とくに感染症や戦争、物価高により金属類の買取価格は高騰し、2020年の初めの頃は1kgあたり20円程度の買取価格だったのが現在は50円を超えています。銅に関しても800円以下だったのが現在は1200円になっています。そのため最近では側溝のグレーチングを盗む人もいるようです。グレーチングの重さは40kgほど。1kgあたり50円なのであれば2000円になります。

ピーナッツとグレーチングの値段が一緒!

このように窃盗事件が多い八街市ですが、市内には警察署がなく、佐倉警察署が管轄しているそうです。かねてより警察署の設置を市民から切望されていますが、人口が減少傾向にある八街では財政事情から実現は厳しい状態のようです。

八街市には「八街市安全で安心なまちづくり条例」があり、この条例は治安悪化の対策を他人に依存するのではなく、自分の命や財産は自分自身で守れという条例です。盗まれるのは自衛を怠ったためで、自助努力が足りなかったのが原因。まずはカギ閉め、そして監視カメラの設置、警備会社と契約、盗難保険への加入。最低限これくらいの自助が必要なのでしょう。

これを見る限り、公助の期待はできず、八街市には警察署が建つのはまだ先のようです。
警察署がないため少し不安ですが、市民は自助と共助で治安を守っているようです。人口も減少傾向ですが多分大丈夫です。

だって八街にはピーナッツがあるから。

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