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【新宿四丁目】四谷旭町のドヤ街にノマド生活を夢見る【旧スラム】

【新宿四丁目】四谷旭町のドヤ街にノマド生活を夢見る【旧スラム】

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アジア最大の繁華街があり、乗降者数世界一のターミナル駅がある新宿。私の第二の故郷です。基本的に平日も人だかりとなっています。外国人観光客で溢れかえっており、道を尋ねられたりする頻度も高くなっております。当然英語なんてわからないので近くの地図掲示板のところまで連れていき、指差しで経路を伝えるだけのことしかしておりません。最近では外国人向けのキャバクラなんかもできており、夜に歌舞伎町を歩いているとキャッチが中国語で呼び込みをしている姿も。それだけ新宿もグローバル化しています。

関東に住んでいるため新宿で宿探しなどをしたことがありませんでした。
終電逃して帰れないときは朝まで飲むか、歩いて帰る、もしくはネットカフェで始発が出るまで待つという形でした。新宿の終電は深夜1時、始発は4時30分過ぎです、つまり4時間程度しか乗れない時間はありません。それであればもう一軒飲んでその後ラーメンでも食べれば電車が動き出すわけです。こんなわけなんでホテルに泊まることはありませんでした。でも地方から来ている人や外国人観光客にとっては宿泊施設というのが必要です。新宿には結構な数のホテルがあります。

ヒルトンやハイアット、京王プラザ、プリンスホテルといった高級路線のホテルから、アパホテルなどのビジネス向けのホテルまで。探せばかなりの数のホテルがあるような気がします。しかしそれでもホテル不足は解消されていないわけです。それだけ利用者が多いということなのでしょう。

せっかく東京に遊びに来たんだからよいホテルに泊まりたい。夜遊びしたいから歓楽街のそばに泊まりたい。このように目的にあったホテル選びができるとよいですが、欲望を満たすためには相応の代価が必要なわけです。お金がなければその分質を下げる、条件をなくすこととなるわけです。

現在、新宿四丁目の交差点付近にいます。
新宿二丁目はゲイタウン、三丁目は駅前、四丁目ってどこにあるかいまいちわからないところです。場所は御苑の西側、高島屋との中間にある区画です。元々この新宿四丁目はドヤ街と呼ばれていた地域でした。新宿四丁目、その昔は四谷旭町と呼ばれていたところです。新宿二丁目付近にあった内藤新宿は岡場所と呼ばれた幕府非公認の遊廓。吉原と同じように色街があればそのそばにその手の場所が出来上がるようです。ここ四谷旭町は新宿の山谷のような労働者の街だったそうです。

いわゆる貧民窟のようなところでこの場所にスラムが形成されていたとか。
戦後この場所はドヤ街となり安宿が建ち並んだそうです。またこのあたりに民間商業血液銀行があったそうで、ここに来れば血を買ってくれるということで低所得者の人が集まってきたそうです。その日の飲代、木賃代をどうにか用意するため自らの血を売っていたそうです。民間の血液買い取り業者のため本来採血の回数に制限があるにもかかわらずそういうのを無視して血液を集めていました。そして制限なしに採血してくれるためお金を手っ取り早く稼ぐ方法として低所得者の人たちがここに集まっていたそうです。採血のしすぎで赤血球量が減少している「黄色い血」というのが出回ったのも1960年頃といわれています。

そんなスラム街が新宿にあったわけです。「あったわけです」ということでこれは過去のお話です。当然売血は法律で禁止されています。そして風俗街も淘汰されてしまいました。そういったところで四谷旭町の役割はなくなったところがあります。南口側もバスタやニューマン、高島屋などができ、以前の南口とは大きく変わりました。

少し前までは場外馬券場があり、小汚いおっさんが集まっている。そして道端にはノミ屋が普通に商売しているようなあまり安全そうな場所ではありませんでしたが、最近はそういうのもなくなりました。場外馬券場は残っているもののクリーンな街、新宿四丁目と変わってきております。

でもまだ明治通りの内側、御苑に面したあたりには昔の面影が若干残るところがあります。

新宿駅より歩いて5分くらいの場所でしょうか。
人通りもなくお店もありません。路地から少しずれれば甲州街道と明治通りが走っています。車の往来も激しく人も多くいますが、道を逸れただけでこれだけ静かな場所となっています。

このあたりはまだ少しだけ簡易宿泊所が残っております。
唯一四谷旭町の歴史の流れを残しているところという感じでしょうか。

でもかなり建物が老朽化しています。
そして路地の広さを考えると恐らく立て直しはかなり厳しいのでしょう。つまり新宿最後の木賃宿というわけです。

こちらが最安値です。1800円で宿泊できます。この金額で宿泊できるというのはちょっと魅力的ですよね。新宿には漫画喫茶もネットカフェ、サウナもあります。24時間営業している喫茶店もあります。でも“宿”に泊まるということ、その泊るという行為が重要なんじゃないでしょうか。この金額でどのような部屋に泊まれるのかは定かではありません。そして私は恐らく泊まらないのでしょう。でも人生一度くらいは泊った方がよいですよね。

昔、木賃宿に泊ったことがあってだなぁ...。

これを言うだけだけに泊まるわけです。

そもそも私がこの四丁目界隈を知った理由は歌舞伎町に住む少し前でした。

歌舞伎町にある通称「ヤクザマンション」に住んでみて
歌舞伎町にある通称「ヤクザマンション」に住んでみて

新宿歌舞伎町には通称ヤクザマンションと呼ばれる建物があります。名前の通りその手の人たち、また組織が入居しています

結局歌舞伎町に部屋を借りてそこに住んでいたわけですが、その当時から自分の中で住居の存在意義というのが曖昧になっていたのです。
家に毎日帰って美味しいご飯を食べ、あったかい布団で眠るんだろうな。だから帰ろうおウチへ帰ろう。というのが住居を持つ存在意義だと思っていたのですが、仕事で帰れない日がある、長期出張で家を空けることがある。一カ月で10日くらいしか家に帰っていない。しかもその10日間も寝に帰るだけという生活です。はたしてそこに住まいがある必要があるんだろうか?家賃8万円の部屋に10日間しか帰っていないのであれば一日8000円も払うことになるのではないか?それならばいっそのことホテル暮らしでいいんじゃないか?家賃のこともあり、部屋を借りればなんだかんだで諸経費もかかる、光熱費は使わなくても発生する。そういうの考えたらネットカフェ難民的な生活でもよいかもしれないという気持ちになりました。とくに私は実家が近くにあるため住民票をそちらに置いとくことはできます。あとは着の身着のままその辺に寝泊まりするのが一番なんだろうと。

その際に出会ったのがこの新宿四丁目のドヤ街でした。一カ月寝泊まりしても6万円かからないわけです。記した通り新宿にいないときもあります。そして新宿にはスポーツジムもありお風呂に入れるわけです。安いアパートに住むよりもなんだか新鮮なんじゃね?と思ったのです。
しかし住所不定有職というのは色々と問題があるので仕方なく部屋を借りる形となったのですが、それから多少年月が経った今、もう一度そのようなその日暮らしをしてみるのもなんだかよさそうな気がしてきました。ノートパソコンを持ってカフェで仕事をする人を遊牧民という意味を込めてノマドワーカーと言いますが、部屋を持たなければまさにノマド生活、ジプシー生活になるんじゃないでしょうか。

それを皆さんホームレスと呼ぶんでしょうが。

それを目指すためにはまずは一度宿泊ですね。
そのため簡易宿泊所に電話をしてみました。

私「すみません。本日一泊宿泊したいんですけど?」
相手「あーっ。たぶん空いてないですねー」
私「たぶん?」
相手「たぶん空いてないと思います」

多分ってどういうことなんでしょうか?

あとあと気付いたのが宿泊費は1800円なのです。恐らく新宿で一泊するとなると安くても5000円ほど。一般的には1万円程度の宿泊費が必要なわけです。それを1800円という低価格で泊めてくださる施設です。その金額で泊れる施設に対し1万円のホテルと同等で見ること自体が間違っているのでしょう。日本人は何でも当然のように思っていますが、それらは全てサービスの範疇です。今回の電話対応は1円もかかってないわけです。お金がかかって無いのにも関わらずそれに苦言を呈するというのはお門違い。そんなわけで新宿に宿泊することは願いかなわずです。さて、簡易宿泊所に泊まるというのはどうしたもんだろうか...。

たぶん行かないんじゃないでしょうか。

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