【賭場と売女は江戸の華】十二階下の私娼窟「浅草六区」
浅草は何度か来ていますが雷門見て河童橋見て帰るだけでした。いつも決まったルートしか歩いていなかったためそこまで詳しくありません。そもそも私が詳しいのは浅草ではなく吉原のある千束でした。そちらは道案内も店案内もできます。
でも本日はせっかく浅草に宿泊してるんです。吉原を案内するのではなく、浅草を散歩します。
浅草寺の西側、つくばエクスプレスの浅草駅のある辺り。この辺りはかつて歓楽街だったそうで、今でもその名残があります。
ここ、ソープがあります。
結局ソープ案内。
こんなところにこんな店があるなんて知りませんでした。
浅草って吉原がその手のサービスを一任しているもんだと思っていましたが、あるところにはあるんですね。
とくに浅草にはストリップ劇場があります。気分が高揚して千束までは歩いていけない人のためのエマージェンシースポットってわけですね。浅草の治安を守ってる店ってことでしょうか。しかも駅前です。つくばエクスプレスが開業したのが2005年。おそらくこの店舗はそれ以前からここに存在していたのでしょう。まさかの駅前ソープになるとは思ってもいなかったのでしょう。
そんなわけで駅前に看板出しちゃいます。浅草はそんなところなんです。
現在はつくばエクスプレスの駅前ですが、かつては駅から少し離れた場所でした。そのため大人向けの飲み屋が点在しています。駅の入り口にあるビルなので駅ビルっていうべきでしょうか。そんなところにキャバクラがあるんです。なかなか駅直結型のキャバクラってないですよね。
そう。この辺りは古くから歓楽街だったのです。
浅草が歓楽街となったのは明治に入ってから。元々浅草寺のあたりは盛り場だったんですが、明治に入り外国文化が入ってくると、この界隈の都市計画が始まりました。浅草公園と名付け区画整備を始めたのです。都市公園をつくるため浅草を区分けし歓楽街を作りました。そしてこのあたりは6区と呼ばれていたそうです。
浅草にあるストリップ劇場「ロック座」のロックってROCKではなく6区だったんですね。
この六区は興行が盛んとなり芝居小屋や劇場、映画館がつくられました。未だに残ってる浅草演芸ホール。フランス座、そしてロック座もその流れを汲んでるのでしょう。
現在OKストアーになっていますがここには浅草の名所だった「凌雲閣」が建っていました。
雲を凌ぐほど高いという意味でついたその名。12階建て、52mと低いですがその当時は日本一高い建物で、凌雲閣の下のところは「十二階下」と呼んだそうです。
明治のころは高い建物もなかったので景色が良かったのでしょう。また逆に遠くからでもこの建物が見えたんだと思います。わかりやすい建物のため人も集まりやすく、いつしか12階下には私娼が集まる売春窟へと発展します。
この辺りには楊弓場という施設がありました。弓を射って的に当てる。的の当たり具合で景品が出る。今でいうパチンコと同じシステム。それが明治初期、このあたりにありました。
賭場と売女は江戸の華。
客寄せのため女性従業員を雇い、体を密着させたりなどセクキャバ的な少し過激な演出をしたところそれが人気となる。ほかの店も同様のサービスを提供するためさらに過激となる。結果、楊弓場は性的サービスを提供する店になりました。明治に入りその手の店は銘酒屋と呼ばれるお酒を提供していたらたまたま恋に落ちちゃう今でいうピンサロのような店に鞍替えしました。しかも銘酒屋は西川口の流れを汲むNK流の一派。
セクキャバからピンサロ、そして本サロへ。
浅草の凌雲閣の周りにはその手の店が増えたそうです。
近くに吉原があるのにわざわざ非合法の店へ行く客は多くいたようです。
NK流の源流はAK流だったようです。
お昼になりました。せっかく浅草にいるのでここでご当地グルメ食べたいです。いろいろ調べたところもんじゃ焼きが有名なんだとか。もんじゃ焼きって月島が有名ですが関西のお好み焼きを作るつもりが汁を多く入れたのが起源で、浅草近辺が発祥の地らしいです(諸説あり)。もんじゃ焼きは嫌いじゃないんですが、名物ってだけあってどこの店も混んでるんです。
そんなわけでネットで探してこちらの店に行きつきました。街の定食屋です。水口食堂は1950年創業の老舗。浅草六区で地元民に愛される定食屋なんだとか。なんとなく孤独のグルメで出てきそうな雰囲気のある店です。
歌舞伎町にあるつるかめ食堂と雰囲気が似ています。歓楽街は飲み屋が多くて定食屋が少ないためこの手の店は重宝します。食事だけ済ませたい人には嬉しい店です。
といいつつビールを注文。昼時でお店は混んでいます。そして結構の割合でお酒を注文しているお客さんがいます。郷に入っては郷に従うべきでしょう。流れでビールを注文しました。
こちらが水口食堂名物の「いり豚」です。カレー風味のソースで玉ねぎと豚肉の炒め料理です。ご飯の量が普通盛りですが多めです。
ソースとケチャップ炒めみたいな味がします。庶民の味がしますね。
夜の浅草です。時間は23時。まだ電車が走っている時間なので酔っぱらいが結構います。あと輩が浅草寺で騒いでいました。
人のいない仲見世も風情がありますね。
ほぼほぼ不夜城のような井出達のドン・キホーテ。ここにはかつて大勝館という映画館がありました。このキラキラした雰囲気は大勝館の当時のイメージにしてるんだとか。
明治大正の頃は歓楽街へ。昭和の頃廃れた時期はあったのでしょうが、それを経て新たな街に生まれ変わってます。
現在はこの通り普通の街となっています。
と思いましたがウインズがあるため普通の街じゃないし、ストリップ劇場があるのも普通ではないです。
でもこの街の雰囲気嫌いではありません。適度に飲み屋があるし寄席があるので落語も見れる。スーパーも駅前に何軒かあるので使い勝手が良い。困った時は駅前ソープが助けてくれる。つくばエクスプレスの使勝手はかなり悪いですが住みやすい環境ではないでしょうか。