セルフビルドで小屋を建てるための建築確認の要否について
10平米以下の建物であれば建築確認は不要。
ネットだとこのような書き込みがあり、私も漠然とこんな感じで思っていました。
やっぱミニマルな生活をするんだったら小屋は小さくだよねー。
10平米だと建築許可不要なんだってさ。
三坪建屋でセルフビルドな生活って憧れちゃう。
しかしどうやら違うようです。今回宅建の勉強をしてこのあたりがある程度理解できましたのでお話ししようと思います。
10平米以下の建物であれば建築確認は不要というのは間違いです。
建築基準法では建築物がルールに従って建てられるかどうかを事前に設計書などでチェックする建築確認をするというのが決まっております。
これが前提となりますが、その中で除外規定があります。以下は確認が必要な建築物となります。
■特殊建築物
学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物
これらが特殊建築物となっており、この特殊建築物の延べ面積が100平米を超えるものを新築する場合、10平米以上の増改築及び移転、大規模修繕、特殊工作物への用途変更。これらに該当するものは建築確認が必要となります。
■木造でその構造が階数3以上・延べ面積500平米超・軒高9メートル超のいずれかに該当するもの、もしくは階数2以上・延べ面積200平米超の木造以外の建築物で新築、10平米超の増改築・移転、大規模修繕については建築確認が必要となります。
■都市計画区域、準都市計画区域、準景観地区については規模に関係なく新築、10平米超の増改築・移転は建築確認が必要となります。
恐らく「10平米以下であれば建築確認が不要」というのは「10平米超の増改築・移転」という部分を見た人がそのように言い出したのでしょう。しかしこの部分は増築の話で、土地を開拓して小屋を建てるというのは新築になります。つまりここは関係のないところです。
このように都市計画区域で建築する上での話となっていますが、そもそも山林というのは人の出入りが無いような場所です。そのため都市計画区域や準都市計画区域にあたるような場所ではありません。また映画館をつくるわけでもないので、山で小屋を建てるのであれば二つ目の木造建築に規模に関するところが建築確認が必要か否かの部分に該当するのでしょう。
延べ面積500平米って結構大きいですよね。270畳の家をセルフビルドでは建てられないですよね。そんなの建てられたら大工になれます。
階数三階以上、高さ13メートルっていうものも作れそうにありません。仮に鉄筋コンクリート造にしたとしても200平米、100畳です。
私の技術ではそんなものが作れるはずがありません。
つまり、太陽が西から昇ろうが建築確認は不要ということです。
前のオーナーは「黙ってこんなの作っちゃったんだよなー」って思っていたのですが、どうやら私の勘違いでした。
これについては役所にも電話をして確認しました。
役所の建築指導と書かれたページには「カーポートや資材小屋でも10平米を超える場合は建築確認が必要です!」と大々的に書かれており、さらには防火・準防火地域であれば10平米以下でも建築確認が必要ですと書かれていました。そのため、直接電話で聞いたところ、上記のように「都市計画区域外であり規模内であれば建築確認は不要」と話していました。
行政は法律家ではないため、どこまで信用してよいかは悩ましいところですが、一応建築確認をするところからこのような回答を得たので、特に不要ということなのでしょう。ただ記した通り、これは都市計画区域外での話です。都市計画区域内であればやはり建築確認が必要で、市街化調整区域に至っては確認ではなく許可が必要となります。また市町村の条例(景観条例など)や他の法律(森林法など)で建築の届け出や審査が必要なところもあります。それに比べると何の指定もされてないところって優遇されていますね。不動産屋が「何してもよい」と言っていた理由がやっと理解できました。山暮らし、小屋暮らしを考えている人はその土地の規制がどうなっているかという部分をしっかりと持た方が良いと思います。買ったは良いが市街化調整区域でなにも建てられないとか、保安林で木すら伐採できない土地だったとか、貧乏クジを引かないように気を付けてください。
これらは建築確認についてのお話で、家が建てばまた別の問題も出てくるでしょう。一応不動産になるわけですからね。
不動産だと権利が発生するだけでなく義務も発生します。建てた家を不動産にしないために10平米以下で建てたりとか、家にタイヤ付けたりとかしてるみたいです。このあたりはまた別の機会にお話ししようと思います。