【台北にあるリトルビルマ】ミャンマー華人が作った南洋觀光美食街
こちらは中和新蘆線の終点駅「南勢角駅」です。終着駅ってかなり遠い場所のような印象がりますが実際は台北駅から20分ほどなのでそこまで遠くありません。でも中心地から外れた場所なのでローカル感が強め。ここに来る観光客は少ないのでしょう。
駅を降りてすぐのところに中和観光興南夜市があります。夜市っていうくらいだから夜しか営業してなさそうですがここは日中も営業している店があるようです。いわゆる住宅地そばにある商店街のようなところ。
終着駅のわりに結構栄えています。着いた時間が早かったので営業していない店が多いです。
台湾で感じたことはけっこうゲームセンターが多め。そしてUFOキャッチャーが多いです。ギャンブルが禁止の台湾。UFOキャッチャーはギャンブル要素がありますが禁止されていないため街中に溢れているのでしょうね。
どっかで見たキャラクター。
本日この街に訪れた理由は、近くにミャンマー人街があるため。そのミャンマー人街がこちらになります。南洋觀光美食街ってところ。中和ミャンマー街とも呼ばれ、こちらはリトルビルマとなっているようです。
ミャンマーはタイの北西、インドに近い場所にあるため台湾と何ら関係ないのですが、台湾にミャンマー人街が出来たのには理由があります。
ミャンマーはインドシナ西部、タイ、ラオス、インド、バングラデシュ、そして中国と接している国です。
ミャンマーと中国の関係は古く、漢の時代、紀元前の頃から経済的な交流があり10世紀ころにはミャンマーに華僑が定住し始めたそうです。以後もミャンマーへの華僑移住が続きましたが一気に増えたのは19世紀になってから。イギリス統治時代に労働者確保のため多くの華僑が訪れたそうで人口の1.5%ほど華僑がミャンマーにいたそうです。
このように古くから深い関わり合いのあった中国とミャンマー。1960年には中国ビルマ間で友好相互不可侵条約が締結されました。
しかしその二年後、ミャンマーは軍事政権となりさらには中国で文化大革命が起ったことで関係は悪化しました。ミャンマー華人にも毛沢東思想が蔓延していたためミャンマーでは排華運動が盛んとなり、1967年にはミャンマーにて排華事件が起きました。華僑に対するアタリは強くなる一方で、華人はミャンマーから去る決断を強いられました。隣接する中国やタイ、また海を渡ったインドネシアなど近隣諸国に逃げ出す人もいましたが、一番多かったのが台湾でした。
遠方なのになぜか台湾に移住することに。その理由は台湾はミャンマー華人を「帰国」という形で受け入れたのです。
その当時の台湾は国民党。中国共産党との内戦に敗れ台湾にて中華民国を立ち上げました。中華民国が本当の中国としたかったのでしょう。移住してきたミャンマー華人に中華民国国籍を付与しました。要は政治に利用された感じでしょうか。それでも安息の地が与えられたのです。
現在台湾に住むミャンマー華僑の数は14万人。そのうち4万人がリトルビルマのある永和区、中和区に住んでいるようです。
ミャンマー華僑が多い街ですが、同じ中国人でも出自が少し異なります。海を渡りミャンマーの旧首都ヤンゴンに住み着いた福建広東系の華僑、ミャンマー北部と接する雲南省からミャンマーに移り住んだ華僑、イスラム教徒の雲南ムスリム。このように出自が違うため食文化も違います。ムスリムはハラル料理、雲南料理は四川料理に近いのでしょうか。それらとミャンマー料理が混ざり合い、そして台湾ナイズされた多国籍料理が食べられるんです。
ここでしか食べられないビルマ料理食べたいですよね!ってことでこちらの店に立ち寄りました。
メニュー表はミャンマー語と中国語。かろうじて中国語は読めるがミャンマー語はさっぱりわかりません。ほぼファンタジーの世界の言語。
立ち寄った店は雲南省系華僑の店。シャン州料理でしょうか。
見た感じだと米粉麺が多いです。ベトナムのブンに近い感じ。
なんとなくそれっぽいのを注文。米粉麺に半熟ゆで卵をトッピングしました。85台湾ドル。およそ400円くらい。
味は濃いめです。ナッツの味が強いですがなんとなく中華料理っぽい味付けです。濃いめの味付けがかなりおいしい。ミャンマーってカレーのイメージでしたがそんなことありませんでした。これなら毎日食べられそうです。
付け合わせの高菜っぽいヤツ、ほぼ辛子高菜でした。これも相性が良い。ミャンマーなら生きていけそうです。
ちなみにミャンマーと言えばお茶なんだそう。
ミャンマーはイギリスに統治されていた時代があり紅茶を飲む文化があるようです。ミャンマーでは古くから茶葉が栽培されており、イギリス植民地時代には紅茶栽培も広まりました。
ミャンマーに接しているインド北西部はアッサムやシッキムなど茶葉の産地があります。インドと言えばチャイ。でもチャイとミャンマーミルクティーは少し異なるようです。
インドのマサラチャイは香辛料と新鮮な牛乳にたっぷり砂糖を入れた激甘紅茶ですが、ミャンマーミルクティーは香辛料を使いません。また当時は新鮮なミルクが手に入らなかったためクリーミングパウダーを使用していたんだとか。そしてたっぷりと練乳をいれる。
結局激甘。
そんな激甘紅茶飲みたいじゃないですか!でもこちらの店では紅茶を扱っていないようです。そのため別の店に移動します。
町内にはミャンマー料理を扱う店が多くありますが、ミャンマー語が読めないため何が書いてあるかわからない。唯一中国語が漢字なのでそれを頼りにするしかありません。
おそらくミャンマーミルクティー店って書かれてあるのでしょうか。
このポップはおそらくお菓子のことが書かれてあるのでしょう。英国式手作りハチミツタマゴケーキでしょうか。なんとなく中国語が理解できるのは台湾はありがたいです。もしこれがミャンマー語だけだったら確実に詰んでいた。
そんな中、こちらの店に。
明らかにインド。インドの餅と紅茶って字が書いてあるし。でもここはリトルビルマ。ミャンマーのはずです。
雲南って書いてあるし。
ハラルの文字があります。おそらくこの店は雲南ムスリムの店。感じで書いてあるのがありがたい。
餅類、麺類、飲み物に分類されており、餅類はおそらくクレープ的なヤツ。麺類はカレー鶏麺でしょうか。飲み物はインド紅茶、コーヒー、あとは謎の飲み物が続きます。
インド紅茶って書いてある通り、ここはインドの店。
まぁインド寄りのミャンマー近くの中国ってことなのでしょう。せっかくミャンマー紅茶飲めるんです。アテも注文しましょう。
奶油蛋餅ってやつを注文しました。奶油はバターで蛋は中国語で卵を意味します。要はバター餅。
バター餅ではありませんが、卵と小麦粉を混ぜたものをバターで焼いた味がします。かなり脂っぽいけどこの味付けが紅茶に合います。
こちらが紅茶です。インドのマサラチャイみたいな香辛料ゴリゴリに効いたやつではなくロイヤルミルクティーっぽい味です。
ミャンマーいいですよね。私は2019年にミャンマーに行きましたが3日しか滞在しておらずミャンマーの風をあまり感じられませんでした。再度行くにしても政治的な不安があるためなかなか行けそうにない。行くのは当分先になりそうなのでこのようにリトルヤンゴンでミャンマー要素を得られるのはよいですよね。
ここは台湾にあるリトルヤンゴン。ヤンゴンにはディスコや置屋が街中にあります。ってことはこの街にもそういった店があるはずです。まだ日は高いですが、探せば見つかるはず。これより探索したいと思います。