淡水河に浮かぶ忘れ去られた無人島「中興台北島」
こちらは淡水河にかかる中興橋です。台北の中心地と三重をつなぐ橋で出来たのは1958年。1955年以前は台北橋しかなかったのがこちらの橋ができて三重区の利便性がよくなりました。
全長約1kmの橋。私は三重のホテルに滞在していますがこの橋があるおかげで中心地までバスで5分程度で行けます。歩いても20分あれば中心地に出れます。ってわけで橋を歩いて渡っているのですが、今回歩いている理由は少し気になった場所があったから。
ホテルと台北市内を行き来する際にバスでこの橋を通るのですが、川の中腹に中洲があるのを見ることができます。通るたびにちょっと気になっていたんですがよく見ると耕されているんです。日本でも河川敷に畑があるのを見かけます。占有者がいるケースもあれば不法に占有し畑を耕しているケースも。また河川敷に住んでいる人もいます。
多摩川、荒川、隅田川。都心に近い河川敷は社会福祉から漏れた人たちが集まるコミュニティが形成されています。かつては多くのホームレスがいましたが近年は無料宿泊所によって是正されつつあります。しかしそれでも河川敷に住む人はいます。台湾でもホームレスがいるので河川敷に住んでいてもおかしくない。
でも中洲って川の真ん中にあるから中洲なんです。つまりそこに行くためには船が必要です。農業を生業にしている人であれば船で渡るってのは考えられますが路上生活者が船を持っているはずがありません。たぶん普通の畑があるだけなんだろうなって思っていたのですが、橋の途中にバイクが駐車されているのを発見。そして脇に階段があるんです。
中洲、どうやら橋からアクセスできるみたい。
ってわけで歩いて橋を渡っています。
中洲は通称「台北島」と呼ばれており正式名称は中興中洲です。管轄する行政区は三重区。島の周りを流れる淡水河は暴れ川のため住宅を建てることはできないようです。また台風の際は水没するんだとか。
こちらが橋の中腹です。バイクが置いてあります。
中州へのアクセスはこちらの階段です。わざわざ階段が用意されています。これから冒険が始まります。
こちらは鳥の骨でしょうか。足と頭だけ残っています。人間が食べたわけではなさそう。
こちらは鳥の骨じゃなさそう。なんだったら人間の骨の可能性もあります。
島の出だしからクライマックス!
たぶん人の骨じゃないはず。おそらくこの骨は犬の骨です。どうやらこの島には野犬が住み着いているそうでそいつらの骨なのでしょう。
狂犬病待ったなし!
野犬はいるそうですが大丈夫みたいです(なんの根拠もないですが...)。
階段下、島の入り口には自転車やバイクがあります。中洲といっても幅は広く面積は30ヘクタール。端から端まで歩くと結構な距離です。島の移動手段のため車両が置いてあるのでしょう。ほぼほぼ治外法権のような場所。バイクにはナンバーがありません。
雰囲気が良いですね。都会の喧騒から逃れてこのような場所でのんびり過ごすのもよいもんです。
この中洲は古くからあり、日本が統治していたころに人が住みだしたようです。住宅地として認識され売買されていたんだとか。しかし1956年の台風の洪水被害で住民は強制的に移住させられたそうです。建物の建設が禁止されたためその後は土地所有者が畑を耕すだけとなったようです。現在の島には地権者が20人ほどおり畑を貸し出しているんだとか。
日本でも近年レンタル畑が人気となっていた時期がありました。コロナで外出できない日々が続いた際にアウトドアや山林生活に興味を持つ人が増えたようです。土地を買うのは予算的にオーバーするけどレンタルであれば気軽に始められます。都市部に近い畑が貸し出されていました。
この台北島も中心地からアクセスしやすいところにあります。車では行けませんがバイクなら駐車できるようです。都心部だと土を触る気概が減りますが土地を貸し出してくれるならば気軽に土いじりができます。
遊園地建設計画もありましたがその話も頓挫したようです。個人的にはこのまま農地として活用するのがよさそうです。
島内を歩いていると農作業をしている人を見かけます。放置されているのではなくちゃんと整備されているようです。てっきりホームレスが不法に占拠している中洲だと思っていましたがそんなことはありませんでした。
わざわざ台湾にきてこんなところに行く日本人は少ないと思いますが、台北の街に疲れた際は一度足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに橋の入り口はホームレスが住んでいます。