デリー南部のムスリム居住区「ジャミア・ナガー」
本日はデリー南東地区にあるナムヤー川沿いのオクラに来ております。こちらはデリーメトロマゼンダラインのオクラヴィハール駅です。
同駅は2017年にできた比較的新しい駅のようですがその割にはだいぶくたびれた感じです。たった8年でだいぶ汚くなってます。
デリーに地下鉄ができたのは20年ほど前から。
延伸工事は続きデリー都市部を網羅しており、メトロはかなり使えるようになったようです。特にデリーの中心地の渋滞は酷く、歩いたほうが早いなんてこともあります。それに比べるとメトロは渋滞がありません。時刻表はないですが遅れることなく移動できます。少し値段が高いからかバスのような混雑もありません。デリーの公共交通は変わっていくのでしょう。ちなみに私はオクラヴィハールメトロ駅にバスで来てます(メトロの説明してるのに電車乗ってねぇ)。
電車だと乗り換えがあるし少し高いんです。
それと宿泊しているホテルが駅から遠いんです。バスだとホテル前から一直線で来れるし、この時間帯ならば渋滞を気にせずに移動できます。ニューデリーから普段なら1時間かかるようですが20分で到着しました。
早朝6時。まだ街は寝静まりこれから起きようとする時間帯。駅前には大量の犬がいます。
人よりも犬の方が怖いインド。
インドは世界で最も狂犬病の死者が多いエリアで狂犬病死亡者の3割がインドなんだとか。
致死率100%の狂犬病。一応ワクチンは摂取してますが犬に噛まれたら追加でワクチンを打たなければなりません。
一番の予防は犬に近づかないこと。
でもそこら中に野犬がいるため避けて通るのはまず不可能なんです。そうなると犬を刺激しないようにするしかありません。
目線を合わせず犬を意識しないようにすれば襲われる確率はかなり下がります。
それと夜道を歩かないことでしょうか。
日が出てない中を街歩きするのは危険なため夜間は外出しない。
ってわけで日が出るまで駅で待機です。
本日のデリーの天候は晴れの予報です。
晴れてはいますが大気汚染のため真っ白。デリーのは世界で一番空気が汚れているんだとか。
とくに雨の降らない時期は大気汚染が悪化するそうで視界不良により交通事故が増えるそうです。実際に霧がかかったような景色です。
これ霧じゃなくてスモッグなんだとか。
日が出てきたのでこれより散歩します。
まだそこまで明るくない!
野犬に襲われるレベルの暗さ!これも大気汚染のせい。もうすでにデリーは日の出時間を過ぎてます。
ウエルカムとかかれた街の入り口があります。
おそらく町内にある飲食店の紹介がされています。ヒンディー語以外にアラビア語がが目立ちますがこの界隈はムスリムが多く住む地域なんだとか。
インド人といえばヒンズー教徒が多い地域でインド国内のヒンズー教徒の割合は80%ほど。
8割の人がヒンズー教徒のヒンズー国家なんです。
ちなみに日本の宗教割合で多いのが神道。神道の信者数は70%ほどなんだとか。次いで仏教徒が69%。
日本国民130%超え!
神道も信じているし仏教も信じている。
二つを同時に信仰するという諸外国では理解されないスタイル。多神教ならではなのでしょう。
ヒンズー教は仏教の親戚のようなものでヒンズー教を家系ラーメンで例えるならば吉村家、仏教は本牧家あたりでしょうか。
ヒンズー教と仏教は別の宗教ではありますが、ヒンズー教からすると仏教は同じ教えを持つヒンズー教の一派の扱いなんだとか。そもそもがヒンズー教も仏教も源流はバラモン教。つまりバラモン教を家系ラーメンで例えるならラーメンショップになるのでしょう。
ヒンズー教は多神教のイメージがありますが宗派によってかなり異なるようで、シヴァを唯一神とする一神教の考え方の宗派や無神論の考えを持つ宗派など様々。キリスト教やイスラム教のように預言者がおらず決まった経典を持たないヒンズー教は信仰というよりは風習や生活習慣のようなもので一神教のイスラム教とは相容れないのでしょう。
お伝えした通りヒンズー教の割合は80%ほど。かなり多いですがインドの人口は14億人なので残りの20%でも3億人近くいるんです。そしてヒンズー教の次に多いのがイスラム教で14%で、2億人もいるようです。イスラム教はラーメンで例えるなら二郎系。
ジロリアンが2億人もいると脅威。
創業者山田拓美を開祖とし、三田本店を聖地として崇めているジロリアン。中には三田本店を唯一と考える原理主義者もいます。当然そんなジロリアンとは相容れないわけです。ヒンズー教もイスラム教とは相容れないためトラブルの火種になってるんだとか。そんなわけでムスリムの人たちは一カ所に集まりコミュニティーを作っているのです。
こちらはジャミア・ナガーと呼ばれる地域でこの界隈がムスリムタウンとなっておりムスリムの大半がこの界隈に住んでいるようです。
ちなみに一つ隣の駅のそばにはジャミア・ミリア・イスラーミア大学があります。イスラーミアの名の通りイスラム系の大学でこの大学もムスリムが集まった理由の一つです。
こちらは隣接するシャヒーンバグって地域です。
もともと農地だったところを80年代に宅地化。その土地をアラブ人が購入したんだとか。
当初はインフラも整っていない土地でしたが1992年にムスリムが集まって街が形成されました。
ムスリムが増えた理由はとある事件があったため。
1992年にヒンズー教徒とムスリム教徒の間で宗教間の対立事件が起きました。
北インドにあるウッタルプラデーシュ州アヨーディヤーはヒンズー教の神ラーマの生誕地として有名でヒンズー教徒の聖地なんだとか。
そんなヒンズー教の聖地ですがムガール帝国時代に建てられたモスクがあります。モスクなのでイスラム教の礼拝堂。そのモスクをヒンズー教徒が襲撃したそうです。
襲撃の理由はそのモスクのあった場所が元々ラーマ寺院があったところだったんだとか。このモスク破壊が火種となり各地で紛争が勃発。イスラム教徒を中心に1000人以上の死者が出たそうです。この事件によりムスリムとヒンズー教徒の溝は深まり二郎と家系は袂を分かつことになりました。
ラーメン関係ないけど!
ちなみに壊されたモスクの跡地にはヒンズー教の寺院が建てられたそうです。
この事件で逃げてきた人がこの界隈に住み着き今の街ができたようです。
中流階級の人が多いとのことでしたが街は基本的に汚いです。インドの街並みは大体こんな感じなのでしょう。
おそらく工事中なのでしょうがだいぶ雑です。
こちらは40フィート通りです。
北インドの主食は小麦が多いってことでしたがムスリムが食べる主食は米が多いのでしょう。ビリヤニ料理屋が軒を連ねています。この界隈もムスリム向けの店が多くあるようです。オールドデリーにムスリム街がありますが本場のイスラム料理を食べるなら南デリーの方が選択肢があるそうです。
早朝のためかまだ営業していない店が多いです。
この街は朝じゃなくて昼に来ればよかったです。そうすればイスラム料理が食べれたはずです。
日本でもハラル料理屋はあります。でもせっかくインドに来てるんだから食べるべきじゃないですか!
いやインド料理食べろよ!
ちなみにこのムスリムタウンに訪れたのはインド到着の翌日でした。
インド旅行で手始めに行く場所じゃねぇ!
シャヒーンバグの北側には大通りがあります。
東側にはヤムナー川が流れており橋がありますがヤムナー川に架かる橋は少なく橋があるのは北側には5km、南側は30kmも先になります。この道はデリー郊外とを結ぶ要衝なのでしょう。
ここで2019年末に抗議活動が行われました。
抗議内容は主にムスリムの権利に関するものです。インドで2019年に市民権法が改正されました。改正法の内容は2014年末以前に入国したアフガニスタン、バングラデシュ、パキスタン、これら出身の移民で宗教的迫害を受けた者に対し市民権を認めるというもの。
多くの国に隣接するインド。そのため多くの人がインドにやってくるようです。その人らに権利を与えようってのがこの法律です。
しかしこの改正法には問題があり、ヒンズー教、シク教、仏教、ジャイナ教、パールシー教、キリスト教、その他の少数宗教、これらの宗教に属する個人に限られています。つまりムスリムはその中に含まれないようです。
アフガニスタン、バングラデシュ、パキスタンはイスラム教国教のためムスリムは迫害されづらいってのがイスラム教を含まない理由のようですが、イスラム教弾圧のための法律のような感じです。そもそもインドではイスラム教に対し厳しい態度を取ってます。
両宗教は元々仲は悪くなかったそうですがイギリス統治時代に宗教による分割統治を行ったため、それにより対立関係ができたようです。つまり1800年以降にできた対立のようです。隣国のパキスタンと仲が悪いのもこれが理由です。
イギリス、いろんなところに火種残しすぎ問題。
インドは政教分離だし信教の自由は保障されてますが、それは建前で実際はヒンズー教にどっぷりです。政教分離といえど8割がヒンズー教なのでヒンズー教に偏った政策になるのは当然です。改正市民権法はまさに偏った政策なのでしょう。そんなわけでムスリムによる抗議活動が勃発しました。
抗議活動は2020年になっても続きました。
デモ参加者は日に日に増え続け15万人に達し、人が集まったことで通行できなくなりました。この場所はデリー郊外とを結ぶ重要な幹線道路。川を渡る手段が限られているためデリーでは交通渋滞が酷くなったそうです。警察が排除しようとするもデモ参加者は15万人。警察官1000人を動員するも対処できませんでした。
しかし2020年といえばちょうど感染症蔓延時。
インドでも3月にロックダウンが実施されました。それにより抗議活動は禁止されることとなり、101日続いたデモは終えんを迎えたそうです。
日本でも、とある宗教への献金問題や政教分離ができているのか微妙な政党がある問題。全く宗教問題を抱えていないわけではありません。実際に宗教法人が非課税なのは政教分離ができていない証でしょう。宗教トラブルがなさそうな日本ですが、日本では絶対に起きない問題とはいえないですね。とくに今は日本でも移民問題を抱えています。もしかしたら近い将来、都内にムスリムタウンができるかもしれません。
本日はムスリムタウンを巡りました。
ただ横切っただけですが日本にはない雰囲気が味わえます。街並みは汚いですが雰囲気はよい感じです。
インドにはいくつか外国人コミュニティーがあります。
こちらはアフガン人が多くいるラジパットナガーの街角にあるチャイ屋さんです。今回の旅ではじめて飲んだチャイがこちらでした。
1杯10ルピーのチャイ。生姜が強めで好きな味です。
インドにあるムスリム街にあるチャイ屋で、何人かわからない人とチャイを飲みながら会話をする。
日本人とわかるとスゲー話しかけてきます。でも異国を感じるのはいいですね。
インドという異国でインドとは違う異国を味わう。そういう楽しみ方もインド旅行の一つです。
こちらはアフガニスタン料理屋さんです。
ここで昼食を取るつもりでしたがめちゃくちゃ混んでるしめちゃくちゃムスリムなんです。週末は家族で団らんをするそうで家族連れのムスリムが多くいて入店できませんでした。ここのプラオが凄い美味しそうなんですよね。
次回があるのかわかりませんが次のデリー滞在の際は必ず訪れます。ラジパットナガーに来たのはアフガン人街だから。本当はこの街を散策する予定でしたがお店に行けなかったのでまた今度にします。
ちなみにラジパットナガー駅の近くには立ちんぼがいるんだとか。
訪れた理由なんか違うっぽい!