治安の悪かった新宿四丁目 感染症により淘汰されたドヤ街「新宿四谷旭町」
本日は新宿に来ております。
アジア最大の繁華街があり乗降者数世界一のターミナル駅がある新宿。オフィス街もあるので働いている人もいるし歓楽街があるので遊びに来ている人も多い新宿。最近は外国人がかなり多いです。以前から多い地域ではありましたが感染症明けと円安によりさらに訪日外国人が増加。平日の昼間は外国人観光客だらけとなってます。そして外国人が多い新宿はホテル代が高騰。週末はビジホでも一泊2万円以上もするのです。こうなる以前は5000円で泊まれましたがもう新宿には気軽に泊まれなくなりました。
気軽に泊まれなくなった新宿ですが、そもそも私は新宿に泊まったことがありません。電車で一本で帰れる場所に住んでいたし新宿に住んでいた時期もありました。このように都内近郊に住んでいる人であれば新宿に泊ったことがないのではないでしょうか。
新宿の終電は深夜1時、始発は4時30分です。つまり4時間程度しか乗れない時間はありません。もう一軒をハシゴして〆のラーメンを食べる。そのころには電車が動き出すんです。終電逃して帰れないときは朝まで飲むかネカフェで時間を潰す感じでしょうか。あとはRESTって書かれたとこに泊まるくらい(それはホテルではなくラブホ)。
このように泊まる機会のない新宿のホテルですが地方から来ている人や外国人観光客には必要です。
新宿には結構な数のホテルがあります。
ヒルトン、ハイアット、京王、プリンスホテル。このような高級路線のホテルからアパホテルなどのビジネス向けのホテルまで最近では民泊も増えているようです。このように多くのホテルが新宿にはありますがそれでもホテル不足は解消されてません。それだけ利用者が多いのでしょう。
新宿、渋谷、浅草は訪日外国人の人気スポット。とくに利便性の高い新宿は宿泊地に選ばれます。需要が高いためホテル代が高騰してるのでしょう。外国人は自国と比べると安いのでしょうが地方から来る出張族にとっては辛いです。東京に来たんだからよいホテルに泊まりたいと思ってもよいホテルに泊まれないんです。会社の旅費規程内で宿泊できるホテルがなく下手したら都内に泊まれずに埼玉や千葉に泊まらなければならないことも。
せっかく東京に来たのに泊まるのは柏。
せっかく東京に来たのに泊まるのは町田。
どちらも良い街だし都心まで30分ででれるけどぜんぜん東京っぽくない。そもそも柏は東京じゃないし町田は神奈川の領土だから東京じゃない。仕事で来ているけどせっかくの東京出張、夜遊びしたいじゃないですか!
そのためには都心に泊まらなきゃならないけどホテル代が高くて泊まれない。このようなジレンマに陥るのです。
東京に来たら銀座のクラブに行きたいし、六本木のクラブに遊びに行きたい。新宿のクラブに行きたいし、渋谷のクラブにも遊びに行きたい。吉原にも行きたいし、五反田のM性感にも行きたい。あとは駒込のソープとか大井町のソープとか、亀有のソープとか府中のソープ。
行きたいとこの後半、だいぶニッチ。
このように東京には行きたい場所が山ほどあるんです。
そう。行きたい場所が山ほどある。しかし都心のホテル代は高い。インバウンドで訪日外国人が増えた結果、このように出張族を悩ませているんです。でもここ新宿にはその悩みを解消してくれるところがあるのです。
こちらは明治通りと甲州街道の交差点、新宿四丁目交差点です。
新宿1丁目は新宿御苑駅のあるあたり。
新宿二丁目は皆さんご存知のゲイタウン。
新宿三丁目は新宿東口駅前や伊勢丹のあたり。
新宿四丁目って場所がいまいちわからないですが新宿御苑の西側、新宿高島屋の東側、明治通りが通るあたりが新宿四丁目になります。
甲州街道のガード先、現在はバスターミナルやニューマンがありますがかつては治安のよい場所ではありませんでした。
新宿四丁目はかつてドヤ街でした。ドヤ街だった歴史は遥か昔、江戸の頃に遡ります。
新宿は甲州街道と青梅街道の宿場町で現在の新宿二丁目あたりが宿場の中心でした。当時の日本には遊郭はあったものの気軽に町人が利用できない価格でした。その代わりに非公認の私娼窟が宿場にありました。非公認だけど摘発されない赤線のような場所。新宿にも岡場所と呼ばれる私娼窟がありました。
新宿の発展は私娼窟があったから。やはりエロの力は偉大です。
気軽に遊べる私娼窟は利用者が多かったそうです。近代化以降も新宿の私娼窟は人気スポットでした。私娼窟が繁盛してるってことはそれに付随した商売も多くあったのでしょう。新宿には多くの仕事がありました。そのため労働者の集まる街がここにはありました。
明治になり安宿が集まるエリアとなりました。いわゆるドヤ街です。中心地のそばにはスラム街が形成されるもの。新宿二丁目のあたりは江戸時代から続く私娼窟。明治以降も二丁目は街娼が多くいるエリアでした。二丁目から徒歩数分のこの場所は街娼が寝泊まりする街でした。そんなわけで治安の悪いエリアだったそうです。
戦後もあまり良い地域ではなかったようです。
戦後赤線が廃止されるまで二丁目の北側は青線街となっており街娼が多くいたそうです。
二丁目に隣接する新宿四丁目。宿泊所があったこの地域は連れ込み宿となりいわゆる売春窟になっていたそうです。売春防止法施行後は落ち着いたのでしょうか。しかしその後も質の悪い人が出入りするエリアでした。安宿が集まるエリアだったため、それを根城にする人がこの界隈に集まり日雇い労働者が住むエリアとなったようです。高度経済成長期のころこの街はかなり荒れていたのでしょう。
こちらは新宿WINSです。ここに場外馬券場ができたのは需要があったからなのでしょう。新宿に場外馬券場ができたのは1949年、新宿三丁目に開設されました。4年後の1953年に新宿西口へ移設、その後1965年に現在の場所に移設されました。
江戸っ子は宵越しの金をもたない。その日稼いだ銭はその日のうちに使う。
その日暮らしをしている人と相性がよいのはやはり博打なんでしょう。ドヤ街のそばに場外馬券場があればそりゃ人気スポットとなったんでしょうね。
東日本大震災の影響で建て替えはしたものの移設して60年間未だに人気スポットのようです。それもこれもここがドヤ街だったからでしょう。
ドヤ街の中心に場外馬券場を作りその日暮らしの人から金品をかすめ取るJRA。
ないところから取る鬼畜の所業。さすがは賭場の元締め。
今でこそキレイな街並みとなりましたが新宿駅の南側は開発が遅れた地域でした。甲州街道があるのと線路を跨ぐ地域のため工事が難しかったのも理由の一つですが新宿駅東南口のあたりは闇市のあった場所で土地の収用に時間がかかったのでしょう。再開発が始まったのはバブル崩壊後でした。高島屋ができたのは1996年。そのころもこの界隈は不穏な空気が流れてました。
ガード近くには私設の場外馬券場がありカタギとは思えない人が道端でノミ行為をしていたのです。ガード下にホームレスがいたし環境は最悪でした。でも現在はそっち系の人も減ったしホームレスも少なくなりました(いるにはいる)。
このようにドヤ街の雰囲気はなくなりましたが明治通りを渡った先、まだドヤ街の雰囲気が残っているようです。
新宿駅より徒歩5分くらいでしょうか。すごい利便性の良い場所です。周りは高層ビルやデパートがあるのですがこの一画だけ住宅地となっています。店もなく開発から取り残された地域みたいな感じで閑静な住宅街です。
現在の住所表記は新宿四丁目ですが以前は四谷旭町と呼ばれていました。電柱に旭町の文字が伺えます。戦後に新宿四丁目となりました。
このあたりにまだドヤの名残りがあります。こちらはアパートメントホテルでしょうか。私のイメージするドヤとは少し様子が異なります。
そうなんです。
ドヤ街の名残りといってもホテル街なだけ。山谷と同じように簡易宿泊所ではなく現在は訪日外国人向けの宿泊所がある感じです。何軒かホテルがありますが普通のホテルです。でも数年前まではドヤ街の雰囲気がありました。私はこの街に2019年に訪れています。
こちらはすえひろって簡易宿泊所がありましたがどうやら廃業したようです。
その隣に中田屋って簡易宿泊所がありましたがそちらも廃業したようです。中田屋は戦後当時のままの佇まいで値段は1泊1800円。ぜひ泊まってみたいと思い電話予約をしましたが満室ってことで断られました。結局泊まることができず簡易宿泊所はなくなってしまいました。
こちらの旅館やまとも現在休業中。
こちらの旅館は当時から休業中だったかも。
5年前はもう少し旅館街の雰囲気がありましたが今営業しているのはビジホが三軒だけのようです。
新宿四丁目ビジネス旅館街とかかれた看板。しかし旅館街の雰囲気はもうありません。これも感染症の影響でしょうか。
この5年間はこれまでと状況が違い過ぎました。
その余波はドヤ街にも影響したのでしょう。リモートワークで出張はなくなり渡航制限で観光客も来ない。観光需要を喚起させるために行った国策も元々安い簡易宿泊所は恩恵を受けられませんでした。かなり厳しい状態だったのでしょう。建物の老朽化などもあったのでしょうが泊まる人がいなければ商売にならないですからね。江戸時代から続く労働者が集まる四谷旭町。明治、大正、昭和、平成と生き続けるも感染症蔓延によりその歴史は途絶えたようです。四谷旭町の宿は数える程度になってしまいました。
こちらはドヤ街そばにある雷電稲荷神社です。ご祭神は保食神。保食神は食物をつかさどる女神でご利益は五穀豊穣や商売繁盛なんだそう。同社は1928年に花園神社に合祀されましたが今の社はそれ以降に再建されたそうです。
こちらに昭和5年と書いてあります。
2年後の1930年に再建されたのでしょう。ドヤ街の入り口にあるお稲荷さん。商売繁盛を願ったのでしょう。その思いは神様にとどいたのでしょうか。
四谷旭町ドヤ街。
新宿の中で比較的安く泊まれるスポットでしたがもうドヤを必要としなくなったのでしょう。そもそも安く泊まるならネカフェにいきます。新宿は現代版の簡易宿泊所がたくさんあるんです。でもネカフェも最近は値上がりしており12時間パックで5000円くらいするんです。
ちなみに四丁目にあるビジネスホテル街には5000円台で泊まれるホテルもあるんです。でも門限があったり色々と制約があります。やはり新宿で泊まるのであれば歌舞伎町でしょう。目の前は歓楽街だし夜遊びし放題です。そしてホテルに呼ぶこともできるんです。おススメのホテル入り口ところにRESTとSTAYって書いてあるところです。それはホテルじゃなくラブホ。