変わりゆく薔薇色の世界!新宿なにある日本最大の虹色の街「新宿二丁目」
35億、35億という言葉を覚えていますでしょうか?
2017年頃お笑い芸人が発したワードです。世界の人口は70億人、その半分は男だから地球上に35億の男がいる。要は恋愛対象が35億人いるってわけです。選択肢が35億もあるんだから選び放題。振られたとしても選択肢はまだあるし振っても選択肢がまだある。それは男性にも言えること。地球上の女性の数は35億。つまり選び放題なんです。
そう。選び放題。
選び放題なのになぜ選ばせてくれないんですか。選択肢が与えられない人がいるのはなぜですか。選択できないから振ることも振られることもない。私が選べるのはパネルからだけ。ひと時の恋愛感情!
そうなんです。
選択肢は35億もあるんです。
人生80年、約3万日あるので毎日1万人相手してもとっかえひっかえなんです。想像ができない数値です。でも逆に考えれば人口が70億人もいるのに選択肢が半分の35億って少なすぎですよね?私はこの真理に近づいてしまったのです。
なぜ、性別にこだわるんだい??
その垣根を越えれば70億じゃないか!
まさに真理。
急なカミングアウト!
そう。私が気付いたのはまだ60億のころでしょうか。ふいにその理に気付いてしまったのです。性別にこだわらなければ選択肢が倍になるじゃん。オレ、あたまいい!
近年では多様性と叫ばれるようになりましたが私は誰よりも早く多様性を享受しようとしました。しました(過去形)。多様性を受け入れるためには私自身の器の大きさを知らなければならない。
私はそれを確かめるためとある店のドアを開けたのです。
こちらは都道305号線、通称御苑通りです。明治通りのバイパスとして工事をしてましたが御苑があるためずっと放置されたままでした。開通したのは2022年。御苑を避ける形でバイパスができました。開通により御苑通りの車の往来は多くなりました。新宿駅から御苑通りを渡った先は新宿二丁目となります。
ご存知の通り新宿二丁目は日本屈指。
いや世界的にも有名なゲイタウンです。新宿二丁目のあたりは江戸時代のころ宿場だったところでした。宿場には飯盛女という私娼がおり新宿は大盛況だったそうです。明治以降も私娼窟として新宿は名を馳せますが戦後売春防止法により私娼窟は解体。それにより空き店舗が増えたそうです。
そこに入居したのがゲイの人たち。徐々にコミュニティーが形成され現在のゲイタウンとなったようです。ノンケの人があまり立ち寄らない場所。この御苑通りはアッチの世界とこっちの世界の境界線のような場所です。ある意味三途の川のようなところです。
渡ったら最後、元には戻れない。
行った先は極楽浄土なのか、それとも魑魅魍魎の魔物が住む世界なのか。
ちなみに二丁目にある太宗寺には閻魔様がいます。やっぱり二丁目はあの世で間違いない!
こちらは二丁目を東西に走る道は花園通りです。なんか花園の楽園がありそうな名前の道ですがこちらは新宿花園神社の旧参道だったようです。現在の花園神社は靖国通りの北側にありますが以前は伊勢丹のあたりにあったそうです。その名残りで名前が残ってるんでしょうね。
こちらは花園通りと仲通りの交差点です。ゲイタウンの中心地です。同性愛のHIV感染率が高いためその手の広告が多くあります。
ここを中心にゲイ関連の店が500軒ほどあるいわゆる飲食エリア。飲食エリアといっても夜間飲食店なので昼間は開いている店が少ないです。
二丁目ってゲイタウンの印象が強いですが実際はオフィス街としての側面もあるんです。
むしろゲイタウンは一部だけであとはオフィス街。とくに副都心線開通後は利便性が高まったことでビジネスマンを多く見かけます。新宿御苑駅のあたりはオフィス街になっています。二丁目は決してゲイタウンではないんです。
いやゲイタウンじゃない要素がゼロ。やっぱ普通の街じゃない!
まぁその手の店はあるんです。
アダルトビデオ店もその手の商品を扱っています。またバイト募集の広告はゲイバーなんでしょう。モデルの仕事もあるようですがアダルトビデオとかそういうやつなんでしょうね。
こちらはウリセンの看板広告。
歓楽街なので風俗系の看板が避けられませんが普通の街ではまず見かけません。景観を考えてなのか看板は控え目です。
ゲイタウンと呼ばれていますが近年はLGBTタウンと呼ばれ別のセクシャリティーの店も増えているようです。L字に曲がった路地がありますがこちらは百合の小道と呼ばれるところです。百合なのでレズビアンが集まる場所でしょうか。Lロードとも呼ばれているそうで路地がL字だからそう呼ばれてるのかそれともLESBIANだからなのか。百合なので私が近づかない小路なのは確か。
でも、これはどっちの店なのでしょう。
アダルト、それは日本語訳すると大人。でも日本人の解釈は少し異なります。こちらはスナックのようですがどんな大人が見れるのでしょう。二丁目にある飲み屋の看板って私好きなんです。店の屋号はその店をあらわす顔です。かっこいいものや雰囲気の良いものを選びたい。でも二丁目の看板はギャグ路線が多いというか。突き抜けている感じがしてよいんです。印象に残したもん勝ちなんでしょう。
明らかにゲイの店ってのが分かるようになってるノンケにもわかりやすい店名のところもあります。これはノンケが来ないようにするためのゲイタウンの処世術なんでしょう。
このようにゲイ要素が強めの二丁目ですが近年はレインボータウンと呼ばれているようです。
ゲイ・プライド。
同性愛は恥ずかしいことじゃない、みんなに理解してもらおう、メディアでもそんな感じで取り上げられ誰でも行ける二丁目という形で街を宣伝してます。異性愛、同性愛、両性愛者、トランスジェンダー、トランスジェンダーの同性愛者、同性愛者が好きな異性愛者、クィア Xジェンダー...。
性指向だけでなく性別や性の価値観は多種多様で様々な人が世の中にはいます。多様性を享受する寛容な社会。差別なく皆を受け入れる垣根のない社会。確かに素晴らしい言葉です。しかし皆が皆受け入れて欲しいのでしょうか?
法的には差別なく受け入れるべきことですが文化的な部分は垣根が必要な人もいるでしょう。だから自分たちのコミュニティーがあるのです。でも多様性を受け入れなきゃならないという一方的な価値観の押し付けにより当事者の居場所が失われている気がするんです。
もう二丁目はゲイタウンじゃないよ。
垣根なんか必要ない、グラデーションだった虹色は一色にすべき。だから誰でも受け入れようみたいな考えに偏っているんです。せっかく二丁目に作り出したユートピアが勝手に改変されていくんです。店に行けばそこにいる人は全員ゲイだったのにノンケが出入りするようになったのです。最近はミックスバーを名乗る店が増えています。性自認性指向に関係なく誰でも利用できる店、分け隔てなく受け入れるという体制でしょうか。それとも収益の関係で間口を広げたのでしょうか。まだまだ日本屈指のゲイタウンではあるけれどゲイカルチャーの街ではなくなりました。このまま時間の経過とともに二丁目は普通の街になっていくのでしょう。
こちらには新千鳥街という雑居ビルがあります。このあたりは赤線があった場所でしたがそのようなところにある飲み屋ビル。スナックが多い飲み屋街で私は何度か訪れてます。そうここは普通の飲み屋ビルなんです。
この辺りにクサヤを出してくれる店がありました。なかなか都内でクサヤを食べれる店は少ないし匂いの問題があるので自宅で調理も難しい。そんなわけでよく通っていました。もうその店はゴールデン街に移転しました。八丈島のクサヤを食べてスナックへハシゴする。普通の飲み屋街にあるべき光景です。このように二丁目はゲイの街ではないんです。
かつてはスナックが多い飲み屋ビルでしたが近年はゲイ関連の店が増えてきているんだとか。
ゲイの店減ったと思ってたけど全然残ってる。
店の入れ替わりが激しいだけ。どうやら二丁目、まだ安泰のようです。二丁目案外悪くないですよね。
かつてのゲイタウンとは変わったようですがそれでも一応棲み分けはできているようです。ゲイオンリーの店もあれば誰でも行ける店もある。ミックスバーならノンケも行けます。この街に訪れれば何か見つかるかもしれません。訪れる際はお互い尊重しながら楽しみましょう。
ちなみに冒頭でした私の話の続きですが30億を60億にするダイバーシティ&インクルージョン。男女の隔たる壁を越え、まだ見ぬ世界へ行くため新宿にあるニューハーフヘルスに行ったんです。そこではありありとかありなしとかがありまして。