山林生活

ホーチミンからプノンペンへ。バスで行く国境の旅

ホーチミンからプノンペンへ。バスで行く国境の旅

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朝八時。今日はこれよりカンボジアに向かいます。朝食を食べるためにキッチンに行くと日本人客がいました。これよりハノイに行くそうです。こっちはハノイから来た口だと伝え、どうやって行くのか聞いたところ自転車で一カ月ほど期間をかけてベトナムを北上するんだそう。

私の旅とは全く違い、これぞ旅といった感じ。長時間列車に揺られあーでもないこーでもない言っているのが恥ずかしくなりました。たかだか30時間程度です。オレは30時間も必死に頑張った。これは褒められるべき内容だと思っていたのですが、所詮は電車に揺られていただけです。小学生にもできることをただやっただけです。それを“旅”と言っちゃう自分が浅ましく恥ずかしいです。
私の旅は高齢でも気軽にアジアを陸路で渡れる旅という方針でした。でもその日本人は私よりも高齢っぽいです。結局は体力とかやる気次第なんです。そのためこの旅の基本的部分を変更したいと思います。

やる気も体力もない人がなんとなくアジアを西の方に向かう旅。

これが正しいんでしょうね。年配だとしても体力があれば自転車で旅ができます。若くても体力が無ければ何もできないわけです。年増で体力がない私は負担の少ない方法を選んでいるだけです。

11時30分に出発ということでホテルをチェックアウトして11時過ぎにバス停があると思われる地域に向かいました。バスが止まるであろう場所の前にオフィスがありました。

チケットをちらつかせながら近づくと、中に入って座ってろという指示が出ます。15分ほど待つこととなりました。このあたりはバックパッカーの宿が多くあり、そして旅行会社やバス会社が複数あります。チケットの色と看板の色が一緒だったので分かりやすかったです。

出発の時間。乗客は私とアジア人男性(中国人)の二人だけです。
時間通り出発します。途中ホテルの前で停車すると欧米人が四名(うち一人ドイツ人)乗ってきました。ピックアップして走り出します。その後も二か所ほど道端にとまり現地の人が乗車してきました。

古い車両ですがとくに不都合はありません。エアコンガンガンですが風の向きや風量の調整が可能。電源はありません。後部座席には大量の荷物が積んでありました。高速バス兼輸送車なんでしょうね。

本日は雨模様です。市街地を抜けたあたりから雷も鳴り豪雨となっています。雨量が多いため道路は冠水しています。天気予報を見るとずっと雨マーク。スコールが毎日あるのはわかるのですが、雨マークだとずっと雨降っているような感じになってしまいます。

がっつり中央分離帯にぶつかっているトラックも。ぶつかりそうになりタイヤロックしている人が結構いました。このトラックもそんな感じでぶつかったんでしょうね。結構ツルツルのタイヤで走っている車が多いです。雨の降り具合が台風のそれに近い雨量なので運転するのは怖いですね。ベトナムでは50㏄バイクは免許なしで乗れるんだとか。バイクのレンタルもありましたが、あの交通事情を見る限りでは数分で事故る自信があります。

以前バンコクで車に乗ろうと思って国際免許を取得しましたが結局怖くて乗らずじまいでした。まぁ乗らなくて正解でした。恐らく日本以外で車は乗らないのでしょうね。

少しカンボジアに近づくと雨はやみました。できればこのままやんでいてほしいです。
道中、バスの添乗員がパスポートを集めていきます。カンボジア入国の手続きはバスの添乗員が代理で行ってくれるそうです。ビザが無い場合はビザ費用もその際に渡します。ほかの方の情報ではビザ費用が30ドル、バス会社への代行手数料が5ドルの計35ドルということでしたが請求されたのは36ドルでした。まぁ面倒な出国入国手続きを対応してくれるわけです。あの作業1000円でも頼みたいくらいです。
私は事前にドル紙幣を持ってきております。日本円は強いといわれておりますが、結局はドルやユーロには知名度は敵わないのです。とくに地方であれば日本円は両替対応していないがドルであれば対応しているってことも。そんなわけでドルは多めに持ってきています。それとカンボジアはリエルだかリアルだかいう現地通貨があるようですが、通貨自体に信用性が無く流通しているのは米ドルなんだとか。入国の際にも36ドルが必要。そして100ドル紙幣は受け取ってくれないことが多いため50ドルと20ドルしか持ってきておりません。そのためこの入国費用も20ドル2枚を渡して4ドルお釣りをもらいました。

となりの中国人男性、入国の勝手がわかっていなかったようです。ビザで36ドル必要だと添乗員に言われて100ドル紙幣を渡そうとします。しかし添乗員は受け取りを拒否。このままではこの人は入国できなくなってしまいます。

徳を積めば来世は幸せになれる。

私は財布の中から50ドルを二枚取り出し「break」と伝え100ドル札と交換します。これで中国人も問題なくカンボジアに入国できるようになりました。しかし、その中国人はずっと渡したもう一枚の50ドル札を見ています。そしておそらくスマホでこの紙幣が本物かどうかを調べているのでしょう。そうなるのも当然です。もしその中国人の立場が私だった場合、見ず知らずの人が突然50ドル札を出して「両替してあげる」と言われたら「ゼッタイこいつ騙すやつやん!」ってなります。悪いやつは困っている人を陥れようとするわけです。そんな感じで出されてもゼッタイ拒否します。私の考えが間違っていました。中途半端な善意というのは相手を困らせるだけなのでしょう。

国境に到着しました。まずは出国手続きです。パスポートは添乗員が預かっています。そのため乗客の私たちはバスを降りてゲートのところまで行くだけです。

検査官はとくに私たちを見ることはありません。ただ前を通り過ぎるだけです。通り過ぎた後一度パスポートが返却されます。これでベトナムの出国は完了です。手荷物の検査なども一切ありません。

そしてバスに乗りちょっとだけ走ったところで今度はカンボジアへの入国ゲートです。こちらでも添乗員にパスポートを渡します。
私たちは出国手続きをしている最中、そのまま出国します。出国した先でパスポートの書類作成が終わるのを待つという形です。何の検査もありません。荷物なんてバスに積んだままです。そして出国手続きが済んでいないのに出国しているわけです。なんだったら北京の地下鉄の方が検査が厳しいんじゃないかと思うくらいです。かなり緩いゲートです。入国審査とか出国審査とかせずに通れそうな感じです。

中国とベトナムの国境越えて一度止められてからあまり国境越えに良い印象が持てなくなってしまいましたが、この緩すぎるのもどうかと思います。でもこれでまた一歩前に進むことができました。カンボジア入国です。

残す国境越えはカンボジア→タイランド、タイランド→ミャンマー、ミャンマー→インド、そしてインド→日本です。ミャンマーは現在緩いらしいです。インドはビザがあるため問題なさそうです。日本もとくに不都合ないでしょう。この中だと次のカンボジア→タイランドでしょうかね。

これで今回五か国目のカンボジアです。これまですべて初めての国です。
カンボジアといったらアンコールワットでしょうかね。アンコールワットといえば戦場カメラマン、一ノ瀬泰造のイメージが強くあります。それで興味を持ったといっても間違いありません。でもカンボジアにはアンコールワットがあるというぐらいしかわかっておらず、あとは戦争のこと、クメールルージュの話などです。ベトナム同様にあまり明るい内容のものはないのでしょう。
東南アジアは基本的に暗い話ばかりです。しかしそれも受け入れていかなければなりませんね。カンボジアを抜ければ微笑みの国が待っている。いまは耐えがたきを堪え、忍びがたきを忍ぶ時です。これよりカンボジア。一体何が待っているのでしょうか。

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