【宅建試験】最後の山場、宅建業法について
まさかの一番重要である宅建業法が二日前となりました。恐らく宅建業が試験で一番重要なポイントなのに二日前にそこを勉強することとなりました。もう時間はありませんが頑張っていきましょう。
宅建業とは
宅地建物取引業とは宅地または建物の取引を業として行うことをいう。これに当てはまるものは免許が必要で、宅地ではない山林などの取引は免許が必要ない。
宅地とは現在建物が経っている土地、建物を建てる目的で取引する土地、都市計画法で定められている用途地域内の土地が該当する。ただし現在、道路・水路・公園・河川広場である土地は宅地ではない。用途地域内の道路予定地は現在道路では無いので宅地になる。
この土地取引に関して以前逮捕された方がいらっしゃいましたね。当サイトでも記事にしましたが、不起訴となったということで本人から連絡があり記事は削除しました。山林であれば免許はいらないわけですが、その山林も宅地にするつもりがあるのであれば免許が必要ってことですね。結局は免許がないと取引は面倒ですね。
建物とは建物の種類を問わず、例えばマンションの〇号室なども建物に該当する。
取引とは
自己所有の土地や建物を売買、交換をすること。自己所有の貸しビルの賃貸(自ら貸借)は取引に該当しない。自ら売買ということは買主になる場合も含まれる。したがって転売目的で反復継続して宅地建物購入する場合には免許が必要となる。
売買・交換・貸借を代理で行うこと。
売買・交換貸借の媒介を行うこと
業として行うことは不特定多数に反復継続して行うこと。なお、自社の従業員に対して宅地を販売することは特定多数になるため業として行っていないことになる。
例外的に免許が不要な者
一定の信託会社や信託銀行は宅建業法のうちの免許に関する規定が適用されない。ただし信託会社などが宅建業を営む場合はその旨を国土交通大臣に届ける必要がある。国や地方公共団体、独立行政法人都市開発機構、地方住宅供給公社などの公の機関には宅建業法の規定が適用されない。
免許権者とは
事務所が一つの都道府県にある場合はその都道府県知事。
事務所は複数の都道府県にある場合は国土交通大臣。
事務所とは
事務所とは本店、宅建業を営む支店をいう。本店は宅建業を行ってなくても事務所扱い。これに対し支店は宅建業を営んでいる場合のも事務所扱いとなる。
免許の更新手続き
免許申請の際、都道府県知事に申請する場合はその都道府県知事に直接、国土交通大臣に申請する場合は主たる事務所の所在地の都道府県知事を経由して申請する。
免許欠格
・成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者。ただし該当する状態でなくなればその翌日から免許が受けられる。
・禁固または懲役刑に処せられ、その刑の執行が終わり、または刑の執行を受けることがなくなった被から五年を経過しない者。刑の全部の執行猶予付きの場合は執行猶予期間が過ぎると刑に処せられるわけではないのでその翌日から免許を受けることができる。刑の一部執行猶予付きの場合は執行が猶予されなかった部分の期間の懲役が先に執行され、その部分の期間が終わった日または執行を受けることがなくなった日から執行猶予の期間を起算する。したがって執行猶予期間が満了しても刑の執行が終わった日から五年経過していなければ免許を受けることができない。
・宅建業法違反、暴力的犯罪、背任罪を犯し、罰金刑に処せられその刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者。
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条6号に規定する暴力団員または当該暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者。
・免許申請前5年以内に宅建業に関し不正または著しく不当な行為をした者。
・不正手段で免許取得、業務停止処分に該当し情状が特に重い、業務停止処分に違反、以上三つの理由のいずれかにより免許を取り消され、その取消の日から五年を経過しない者。
・不正手段で免許取得、業務停止処分に該当し情状が特に重い、業務停止処分に違反、以上三つの理由のいずれかに該当するとして免許を取り消された者が法人である場合において、免許取り消し処分の聴聞期日・場所の公示前60日以内にその法人の役員であった者で取消の日から五年を経過していない者。
・不正手段で免許取得、業務停止処分に該当し情状が特に重い、業務停止処分に違反、の三つの理由のいずれかに該当するとして免許取り消し処分の聴聞期日・場所が公示された日から処分をするかしないかを決定するまでの間に解散・廃業の届け出をした者で届け出日から五年を経過しない者。
・不正手段で免許取得、業務停止処分に該当し情状が特に重い、業務停止処分に違反、の三つの理由のいずれかに該当するとして聴聞期日・場所が公示された日から処分をするかしないかを決定するまでの間に合併により消滅した法人又は解散廃業の届け出をした法人の聴聞期日・場所の公示前60日以内に役員であった者でその消滅又は解散廃業の届け出の日から5年を経過しない者
・営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記の欠格事由に該当する者。
・法人でその役員または政令で定める使用人が上記欠格事由のいずれかに該当する者。
・個人でその政令で定める使用人が上記欠格事由のいずれかに該当する者。
・暴力団員等がその事業活動を支配する者
・事務所ごとに法定数の成年者である専任の宅地建物取引士を置いていない者。
・免許申請書の重要な事項について虚偽の記載があり、もしくは重要な事実の記載が書けている場合。
この欠格事由は比較的どのような免許でもテンプレートのような感じで書いてあることは一緒です。暴力団には相変わらず人権というものがないですね。
免許証の交付と宅地建物取引業者名簿
免許権者は免許をしたときは免許証を交付しなければならない。また免許権者には宅地建物取引業者名簿が備えれら、免許権者はこの名簿に以下を登載しなければならない。
・免許証番号・免許の年月日
・称号又は名称
・役員の氏名
・政令で定める使用人の氏名
・事務所の名称・所在地
・事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引氏の氏名
・指示処分や業務停止処分があった時はその年月日と内容
・宅建業以外の事業を行っているときはその事業の種類
変更の届出
・称号又は名称
・役員の氏名
・政令で定める使用人の氏名
・事務所の名称
・事務所ごとに置かれている専任の宅地建物取引氏の氏名
・事務所の所在地
これらに変更があった場合は30日以内に免許権者に届出をしなければならない。
免許の効力
宅建業者はどの免許を受けた場合でも全国で宅建業を行うことができる。
免許の有効期間・更新手続き
免許の有効期間は五年。免許を更新する場合、免許の有効期間満了の日の90日前から30日前までに更新の申請書を提出しなければならない。
免許換え
事務所の廃止・移転・新設などにより現在受けている免許が不適当となる場合、免許を受けなおすことを免許換えという。免許換え後の免許は新たな免許となるため新規五年となる。
廃業等の届け出
廃業をする場合は30日以内に届出が必要。法人の合併は消滅会社の代表役員が届け出をする。個人の場合は本人。宅建業者は死亡した場合、相続人が届け出義務者となる。個人が死亡した際に取引予定だった業務に関しては相続人がみなし宅建業者となり「やりかけの取引を決了する」ことができる。なお、新たに宅地の取引はできない。
宅地建物取引士
・宅地建物取引士資格試験
宅地建物取引士資格試験とは今回受ける試験のこと。宅建氏になるためにはこの試験に合格しなければならない。合格すれば一生有効だが不正手段により受けた者は取り消され、また三年以内の期間を定めて受験が禁止されている。
・宅地建物取引士資格登録
試験に合格した者は都道府県知事の登録を受けることができる。登録は試験を行った都道府県知事に申請する。登録の削除を求めない限りは有効。登録をするためには二年以上の実務経験があること、または国土交通大臣の登録を受けた講習を修了していることが必要。
・宅地建物取引士証の交付
登録を受けた者は登録している都道府県自治から宅建士証の交付を受けることができる。宅建士証を交付を受けるためには受け付けている都道府県知事が指定する講習で交付申請前六カ月以内に行われるものを受講しなければならない。ただし試験合格から一年以内に交付を受けようとする者はこの講習を受ける必要は無い。宅建士証の有効期間は五年。
宅地建物取引士の事務
宅建士のできることは、重要事項の説明、重要事項説明書に記名捺印、37条書面に記名捺印すること。
この三つの作業をするだけに高い金を払い、無駄な時間を過ごしているわけです。
宅地建物取引士の業務処理の原則
宅建士は宅建業の業務に従事するときは宅地建物の取引の専門家として購入者の利益の保護及び円滑な宅地建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅建業に関す売る業務に従事するものとの連携に努めなければならない。
・信用失墜行為の禁止
宅建士は宅建士の信用または品位を害するような行為をしてはならない。
私は果たして品位を害するような行為はしていないのでしょうか。。。
・知識及び能力の維持向上
宅建士は宅地建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない。
登録の基準(欠格事由)
・成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者。
・禁固または懲役刑に処せられ、その刑の執行が終わり、または刑の執行を受けることがなくなった被から五年を経過しない者。刑の全部の執行猶予付きの場合は執行猶予期間が過ぎると刑に処せられるわけではないのでその翌日から免許を受けることができる。刑の一部執行猶予付きの場合は執行が猶予されなかった部分の期間の懲役が先に執行され、その部分の期間が終わった日または執行を受けることがなくなった日から執行猶予の期間を起算する。したがって執行猶予期間が満了しても刑の執行が終わった日から五年経過していない者。
・宅建業法違反、暴力的犯罪、背任罪を犯し、罰金刑に処せられその刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者。
・不正手段で免許取得、業務停止処分に該当し情状が特に重い、業務停止処分に違反、以上三つの理由のいずれかに該当するとして免許を取り消された者。
・不正手段で免許取得、業務停止処分に該当し情状が特に重い、業務停止処分に違反、以上三つの理由のいずれかに該当するとして免許を取り消された者が法人である場合において、免許取り消し処分の聴聞期日・場所の公示前60日以内にその法人の役員であった者で取消の日から五年を経過していない者。
・不正手段で免許取得、業務停止処分に該当し情状が特に重い、業務停止処分に違反、の三つの理由のいずれかに該当するとして免許取り消し処分の聴聞期日・場所が公示された日から処分をするかしないかを決定するまでの間に解散・廃業の届け出をした者で届け出日から五年を経過しない者。
・不正手段で免許取得、業務停止処分に該当し情状が特に重い、業務停止処分に違反、の三つの理由のいずれかに該当するとして聴聞期日・場所が公示された日から処分をするかしないかを決定するまでの間に合併により消滅した法人又は解散廃業の届け出をした法人の聴聞期日・場所の公示前60日以内に役員であった者でその消滅又は解散廃業の届け出の日から5年を経過しない者。
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条6号に規定する暴力団員または当該暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者。
・営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。
・不正登録等の理由により登録の消除処分を受け、その処分を受けた日から五年を経過しない者。
・不正登録等に該当するとして登録の消除の処分の聴聞の公示後、処分をするかどうかを決定するまでの間に登録消除の申請をした者で、その登録が消除された日から五年を経過しない者。
・事務禁止処分を受け、その禁止期間中に本人の申請により登録の消除がなされ、また禁止期間が満了していない者。
変更の登録
登録を受けている者は次の事項に変更があった時は遅滞なく変更の登録の申請をしなければならない。
氏名・住所・本籍・称号又は名称・免許証番号
登録の移転
登録を受けている者は登録先以外の都道府県に所在する宅建業者の事務所で業務に従事し、または従事しようとするときは登録の移転の申請をすることができる。
登録の移転の申請は現に登録を受けている都道府県知事を経由して移転先の都道府県知事に対して行う。
登録の移転の申請は事務禁止期間中はできない。
死亡等の届け出
死亡した時は相続人が届け出をする。
成年被後見人になった時は成年後見人が届け出をする。
被保佐人になった時は保佐人が届け出をする。
破産者で復権を得ない者になった時は本人が届け出をする。
死亡等の届け出は届出事由発生の日(死亡の場合は相続人がそれを知った時から)30日以内に行わなければならない。
死亡等の届出という言い方は成年被後見人などに対して失礼ですよね。まるで死んだのと同等といった感じになってしまっています。
宅地建物取引士証の書き換え交付
氏名または住所に変更があった時は変更の登録と合わせて書換え交付を申請しなければならない。
マイナンバーができ、ナンバーで管理できるのに、いまだに名前にこだわるのは何なんでしょう。結婚すれば氏名が変わり、それで届出の変更をしなければならない。夫婦別姓は認められない。そして利用されないマイナンバー。国が管理するものは全て番号にすればこんな面倒な手続きがなくなるのに何でしないのでしょうか。
宅地建物取引士証の提示・提出・返納
取引先の関係者から請求があった時、宅地建物取引士証の提示をしなければならない。
重要事項の説明をするときは請求が無くても宅地建物取引士証の提示しなければならない(罰則あり)。
事務禁止処分があったときは宅建士証の交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。
登録消除処分を受けた時、宅建士証の効力がなくなった時は宅建士証の交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。
登録の移転と宅地建物取引士証
登録の移転があった時は従前の宅建士証の効力を失う。
登録の移転とともに、宅建士証の交付申請があった時は移転後の都道府県知事は従前の宅建士証の存続期間を有効期間とする宅建士証を交付しなければならない。
登録の移転とともに宅建士証を交付申請する場合は、法定講習を受講する必要がない。
登録の移転後の宅建士証は、従前の宅建士証と引き換えに交付される。
成年者である専任の宅建士の設置義務
重要事項説明などの三つの事務は宅建士しか行うことができない。そこで宅建業者の事務所には一定数の専任の宅建士を設置しなければならない。
・専任の宅建士を設置すべき場所及び人数
宅建業者の事務所には、その事務所の従業員五名に一名以上の割合で専任の宅建士を置かなければならない。また契約の締結や申し込みを受ける案内所に一名以上の専任の宅建士を置かなければならない。契約の締結も申し込みも行わない単なる展示場には設置義務は無い。しかし契約の締結や申し込みを受けるのであれば自社物件の案内所のみならず、他社物件の分譲を代理媒介するために設置する案内所においても一名以上の専任の宅建士を置かなければならない。
・設置義務違反
専任の宅建士が退職したり、従業員が増加などして専任の宅建士に不足が生じた場合、二週間以内に必要な措置を取らなければならない。この措置を取らなかった場合は100万円以下の罰金に処せられる。
・専任の宅建士とは
専任の宅建士はその事務所に常勤していることが必要。そして原則として満20歳以上の者でなければならない。ただし20歳未満でも婚姻歴があれば成年者としてみなされる。これに対し営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者は宅建士になれるが原則として専任の宅建士になることはできない。
営業補償金制度
宅建業は免許を受けても開業できない。宅地は高額商品のためある程度の保証ができる体制でなければならない。そこでいざというときに備えて一定額を供託所に預けておかなければならない。これを営業保証金制度という。
営業保証金制度の全体
免許を受けた宅建業者は開業前に供託所に営業保証金を預けなければならない。これを供託という。そして供託した旨を免許権者に届出して開業することができる。
取引により損害を受けたお客さんは供託所から営業保証金の弁済を受けることができる。これを還付という。宅建業者が廃業したり免許取り消し処分を受けたりした場合は、供託所から返してもらうことができる。これを取り戻しという。
営業保証金の額と供託場所
営業保証金は主たる事務所と従たる事務所の合計額を一括して、主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。主たる事務所は1000万円、従たる事務所は事務所一か所につき500万円。
供託物
営業保証金は金銭以外でも有価証券で供託することができる。両者の併用も可能。しかし手形、小切手、株券による供託はできない。有価証券については信用度に応じて評価額が異なる。国債証券額面通り、地方債証券・政府保証債証券は90%、その他は80%の評価額となる。
営業保証金と事業の開始
宅建業者は供託した旨を免許賢者に届け出た後でなければ全ての事務所で事業の開始はできない。違反した場合は罰則あり。
供託した旨の届け出がない場合
免許をした日から三カ月以内に届出がない時は免許権者は催告しなければならない。
催告が到達した日から一カ月以内に届出がない場合、免許権者は免許を取り消すことができる、
事務所を新設した場合
新設した事務所一か所につき500万円の営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ新設した事務所で営業を開始できない。違反した者には罰則あり。なお、新たに支店を増設するのと同時に同数の支店を廃止した場合事務所の数に変動はないため営業保証金の供託は不要。
営業保証金の保管換えなど
・金銭のみで営業保証金を供託している場合
金銭のみの場合は、遅滞なく費用を読農して営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に保管替えを請求しなければならない。
・有価証券を利用して営業保証金を供託している場合
有価証券を供託している場合は遅滞なく、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。その上で従前の供託所に供託している営業保証金を取り戻す。つまり従前の供託所と新たな供託所に一時的に二重供託の状態にしてから従前の供託所から取り戻す形となる、
営業保証金の還付
・還付請求権者
宅建業者と取引し、その取引により生じた債権を有する者(宅建業者を除く)は営業保証金から弁済を受けることができる。これを還付という。
・還付の手続きと還付額
還付額は営業保証金の範囲内。
還付後の補充手続き
・宅建業者は免許権者から不足額を供託すべき旨の通知を送付された日から二週間以内に不足額を供託しなければならない。
・供託から二週間以内に免許権者に、その旨を届け出なければならない。
営業保証金の取戻し
営業保証金の取戻しは原則として公告が必要。
還付金請求権者に対し六カ月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内に申出が無かった場合でなければ取り戻しはできない。
ただし、主たる事務所の移転により移転後の最寄りの供託所に新たに供託したとき、保証協会の社員になった時、取り戻し事由が発生してから10年経過した時はその限りではない。
営業保証金の取戻し自由と広告の要否
・免許が取り消されたときは公告が必要。
・免許の有効期間の満了により免許効力を失ったときは公告が必要。
・廃業の届け出により免許効力を失ったときは公告が必要。
・一部の事務所の廃止により超過額が生じた時は公告が必要。
・主たる事務所の移転により移転後の最寄りの供託所に供託した時は公告は不要。
・保証協会の社員となった時は公告は不要。
取り戻しのための公告をしたときは、遅滞なくその旨を免許権者に届け出なければならない。
弁済業務保証金
営業保証金の100分の6で開業できる方法が保証協会に加盟するという形。例えば事務所一つで開業するのであれば60万円の弁済業務保証分担金を保証協会に納付すればよい。この60万円を保証協会が弁済業務保証金として供託所に供託する。そして保証協会に加盟している業者との取引により損害を受けた人はこの弁済業務保証金から弁済を受けることができる。
弁済業務保証金制度の全体
営業補償制度では宅建業者、供託所、消費者だが、この場合は保証協会が加わる。宅建業者は弁済業務保証金を保証協会に納付し、保証協会が弁済業務保証金を供託する。そして供託した旨の届け出は供託した保証協会が行う。保証協会に加盟している宅建業者との取引により損害を受けた人(宅建業者を除く)が弁済業務保証金の還付を受ける場合にはまず保証協会の認証を受け、それから供託所から還付を受けることとなる。弁済業務保証金の取戻しや公告は保証協会が行い、取り戻した額に相当する額の弁済業務保証金分担金を社員である宅建業者に変換する。
保証協会とは
保証協会とは一般社団法人であり、その社員が宅建業者であることを要件のもと、国土交通大臣の指定を受けたものをいう。
一つの保証協会の社員の宅建業者は同時にほかの保証協会の社員になれない。
保証協会は新たに社員が加入し、または社員がその地位を失ったときは直ちに社員である宅建業者の免許権者に報告しなければならない。
保証協会の社員になると営業保証金の供託が免除され、公告をせずに取戻しが可能となる。
弁済業務保証金分担金と弁済業務保証金
・弁済業務保証金分担金
弁済業務保証金制度を利用する場合、保証協会の社員となる必要がある。そして保証協会の社員となるためには保証協会に加盟しようとする日までに劣らる事務所の場合60万円、従たる事務所の場合30万円を金銭で納付しなければならない。事務所を新設した場合は二週間以内に事務所一か所につき30万円を金銭で納付しなければならない。
・弁済業務保証金
保証協会は宅建業者から弁済業務保証金の納付を受けた日から一週間以内に納付額に相当する弁済業務保証金を法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に供託しなければならない。この場合は金銭以外の有価証券でも供託できる。保証協会は事務所新設の分担金の納付を受けた場合は一週間以内に納付を受けた分担金の額に相当する額を金銭又は有価証券で供託しなければならない。
弁済業務保証金の還付
還付請求権者は社員である宅建業者と宅建業に関し取引をし、その取引のより生じた債権を有する者(宅建業者を除く)。
還付額は社員である宅建業者が社員でないとしたならば供託すべき営業保証金の範囲。
還付手続きは還付を受けようとする者は保証協会の認証を受けなければならず、この認証を受けた後供託所に請求する。
還付後の補充手続き
・供託所は国土交通大臣に還付通知書を二通送付する。
・供託所から還付通知書二通を受け取った国土交通大臣はそのうち一通を保証協会に送付する。
・保証協会は宅建業者に対し当該還付額に相当する額の還付充当金を保証協会に納付すべきと通知する。
・この通知を受けた宅建業者は二週間以内に還付充当金を納付する。期間内に納付しなければ社員としての地位を失う。
弁済業務保証金の取戻し
・社員である宅建業者が社員でなくなった時、公告をすることで取り戻すことができる。
・社員である宅建業者がその一部の事務所を廃止した時は公告無しで取り戻すことができる。
弁済業務保証金の準備金・特別弁済業務保証金の分担金
弁済業務保証金準備金とは社員から還付充当金の納付が無かった場合に備えて保証協会が積み立てている金銭。特別弁済業務保証金分担金とは不足額の供託において弁済業務保証金分担金を当ててもなお不足する場合にその不足額に充てるため、保証協会が社員に対し納付している弁済業務保証金分担金の額に応じて納付を命ずる金銭をいう。この場合納付すべき旨の通知を受けた社員はその通知から一か月位階に特別弁済業務保証金分担金を納めなければならない。これを怠った時は社員としての地位を失う。
保証協会の業務
必須業務
・苦情の解決
・研修
・弁済業務
任意業務
・一般保証業務
・手付金等保証業務
・宅建業の健全な発達を図るために必要な業務
・宅建士等に対する研修の実施に要する助成
媒介契約・代理契約
・売主と宅建業者の間で取り交わされる契約を媒介契約とよび、宅建業者は購入希望者を見つけ売買契約の成立に至れば売主から報酬をもらうことができる。媒介契約を結ぶと宅建業者は契約の成立に向けて購入希望者を探し現地を案内したりするわけだが売主に変わって売買契約を締結する権原まではない。これに対し依頼者に変わって売買契約の締結まで行うのが代理契約である。
媒介契約の種類
・一般媒介契約
他の宅建業者に重ねて依頼ができる媒介契約で明示型と非明示型にわかれる。
・専任媒介契約
他の宅建業者に重ねて依頼ができない媒介契約で専任媒介契約と専属専任媒介契約がある。専任媒介契約はほかの宅建業者に重ねて依頼はできないが、売主自ら探した相手方と取引することが認められている。専属専任媒介契約の場合、自己発見取引も禁止されているタイプで、例え友人が購入したいとなっても宅建業者を通さなければならない。
媒介契約の種類に応じた規制
一般媒介契約に関しては有効期間や業務処理状況の報告義務などの規制はないが、専任媒介契約の場合有効期間は三カ月以内で更新後も三カ月以内。更新には依頼者の申し出が必要で自動更新という形は不可となっている。また業務処理状況の報告義務に関しても課せられ、報告は二週間に一回以上、口頭またはメールで報告しなければならず、指定流通機構への登録義務も契約締結日から七日以内(休業日を除く)に登録しなければならない。専属専任媒介契約についても有効期間は三カ月以内で更新後も三カ月以内。更新には依頼者の申し出が必要で自動更新という形は不可となっている。また業務処理状況の報告義務に関しても課せられ、報告は一週間に一回以上、口頭またはメールで報告しなければならず、指定流通機構への登録義務も契約締結日から五日以内(休業日を除く)に登録しなければならない。
指定流通機構への登録事項については宅地建物の所在、規模、形質、売買すべき価格、都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なもの、専属専任媒介契約の場合はその旨を登録する。
指定流通機構への制約通知は、登録した宅地建物の売買・交換契約が成立したとき、宅建業者は遅滞なく登録番号、取引価格、契約成立年月日を指定流通機構に通知しなければならない。
媒介契約書面の作成
宅建業者は売買・交換の媒介契約を締結した時は遅滞なく媒介契約書面(34条の2書面)を作成し、記名捺印した上で依頼者に交付しなければならない。
媒介契約書面の記載事項
・書面の交付
主旨:媒介契約を巡るトラブル防止のため
交付相手方:売買・交換の媒介の依頼者
交付時期:売買・交換の媒介契約締結後遅滞なく
方法:宅建業者の記名捺印
交付場所:規制無し
・媒介契約書面の記載事項
宅地建物を特定するために必要な表示
宅地建物の売買価額または評価額(意見を述べるときは請求がなくても根拠を明らかにしなければならない。※口頭でも可)
媒介契約の種類
既存建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあsっせんに関する事項
媒介契約の有効期間及び解除に関する事項
報酬に関する事項
依頼者が媒介契約に違反して契約を成立させた場合の措置
指定流通機構への登録に関する事項(一般媒介契約でも記載が必要)
標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別(標準媒介契約約款に基づかなくても記載必要
広告等に関する規制
宅建業者は業務に関して広告をするときは次の8項目について著しく事実の相違する表示または実際の者よりも著しく優良または有利であると誤認させるような表示(誇大広告等)をしてはならない。
・宅地建物の所在(地番など)
・宅地建物の規模(地積・床面積など)
・宅地建物の形質(地目、公共設備の供給施設の整備状況、新築や中古の別、用途など)
・現在、将来の利用制限(建築基準法による用途制限などの公益上の制限、地役権などの私法上の制限)
・現在、将来の環境(付近の商店、学校、病院などの状況、公共施設の設備状況、景観など)
・現在、将来の交通その他の利便(通勤に利用する交通機関の種類、所要時間、新設予定駅など)
・代金、借賃等の対価の額、支払い方法(代金や借賃、権利金などをどのような支払い方法で行うのか)
・代金、交換差金に関する金銭の貸借あっせん(ローン条件など)
顧客にほかの物件を買わせるために存在しない物件、存在はするが取引の対象となりえない物件、存在はするが取引する意思の無い物件を公告する場合(おとり広告)も誇大広告等の禁止の対象となる誇大広告等を行えば、現実に購入者らが誤認する等の被害が生じなくても宅建業法違反となり罰則がある。
広告開始時期の制限
都市計画法の開発許可などを受けていない段階では物件が想定通りに完成するとは限らない。この段階で広告をすると購入予定者に不利益を受ける恐れがある。そのため宅建業者は宅地造成や建物建築の工事完了前は開発許可などの処分があった後でなければその工事に係る宅地建物すべての取引態様に関する広告をしてはならないとされている。
取引態様の明示
・宅建業者は広告をするときは取引態様の別を明示しなければならない。
・宅建業者は注文を受けた時は遅滞なく取引態様の別を明示しなければならない。
・取引態様の明示は口頭でもよい。
・取引態様の明示義務に違反した場合、罰則無し。
宅地建物取引業者の業務処理の原則等
・宅建業者は取引の関係者に対し、審議を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない(宅地建物取引業者の業務処理の原則)
・宅建業者はその従業員に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならない(従業員の教育)
重要事項の説明
宅建業者は物件を買おうとしている者、あるいは借りようとしている者に対して契約が成立するまでの間に契約するかどうかの判断材料を提供するため、物件についての重要事項を説明しなければならない。
重要事項の説明方法・説明時期
重要事項の説明は契約をするかどうかの判断材料を提供するためのもの。したがって説明はこれから権利を取得しようとする者、具体的には売買契約の買主、交換の両当事者、賃借の貸主に対して行う。売主や貸主に対して説明する必要は無い。また説明は契約が成立するまでに行う。
実際に重要事項の説明を行うのは宅建士であるが、説明義務があるのは宅建業者になる。宅建業者は宅建士に重要事項の説明をさせる義務がある。重要事項の説明をする宅建士は専任の宅建士である必要は無く、アルバイトでも構わない。
重要事項の説明をするときは宅建士が記名捺印した重要事項説明書(35条書面)を交付して宅建士が説明する。その際請求がなくても必ず宅建士証を提示しなければならない。複数の宅建業者が取引にかかわっている場合、全ての宅建業者に重要事項の説明義務がある。この場合、重要事項説明書の内容・記載事項に誤りがあるときは関係した宅建業者は合同して責任を負うこととなる。
なお、改正により買主・貸主らが宅建業者の場合、重要事項説明書面の交付のみで足り、説明は不要となった。また宅地建物の貸借の代理媒介の重要事項の説明についてはテレビ会議システムなどのITの活用を行うことにより可能になった。
重要事項の説明内容(35条書面の記載事項)
・登記された権利の種類・内容・登記名義人、登記簿の表題部の所有者の氏名(法人の場合は名称)
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令が定めるものに関する事項の概要
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、説明義務がある。建物の貸借は原則説明不要だが必要な時もある。
・私道負担に関する事項
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借で説明義務がある。
・飲用水・電気・ガスの供給設備の設備状況。これらの設備が整備されていない場合は設備の見通し。設備についての特別の負担に関する事項
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・宅地造成等規制法第20条第1項により指定された造成宅地防災区域内にあるときはその旨
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・土砂災害警戒区域における土砂災害防止対策の推進に関する法律第7条第1項により指定された土砂災害警戒区域内にあるときはその旨
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・津波防災地域づくりに関する法律第53条第1項により指定された津波災害警戒区域内にあるときはその旨
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・石綿の使用の有無の調査結果が記載されているときはその旨
建物の売買・交換、建物の貸借で説明義務がある。
・当該建物(昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手した者を除く)が建築物の耐震改修の促進に関する法律第4条第1項に基づく一定の者が行う住宅性能評価を受けた新築住宅であるときはその旨
建物の売買・交換、建物の貸借で説明義務がある。
・代金、交換差金および借賃以外に授受される金銭の額・目的
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・契約の解除に関する事項
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・損害賠償額の予定・違約金に関する事項
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・瑕疵担保責任の履行に関する措置を講ずるかどうか、および講ずる場合の措置の概要(特約の内容は説明不要)
宅地の売買・交換、建物の売買・交換で説明義務がある。
・代金、交換差金に関する金銭の貸借のあっせんの内容、あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
宅地の売買・交換、建物の売買・交換で説明義務がある。
・手付金等の保全措置の概要(自ら売主の場合)
宅地の売買・交換、建物の売買・交換で説明義務がある。
・支払い金または預り金を受領する場合において、保全措置を講ずるかどうか及び講ずる場合の措置の概要
宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・工事完了時における形状、構造(造成の工事の完了時における当該宅地に接する道路の構造、幅員)
宅地の売買・交換、宅地の貸借で説明義務がある。
・工事完了時における形状、構造(工事完了時における建物の主要構造部、内装、外装の構造、仕上げ、設備の設置と構造)
建物の売買・交換、建物の貸借で説明義務がある。
・台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の設備状況
建物の貸借で説明義務がある。
・契約期間、契約の更新に関する事項
宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・借地借家法に規定する借地権を設定しようとするときはその旨
宅地の貸借で説明義務がある。
・借地借家法に規定する定期建物賃貸借を設定しようとするとき、また高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく終身建物賃貸借であるときはその旨
建物の貸借で説明義務がある。
・当該宅地または建物の用途その他の利用制限に関する事項(区分所有建物を除く)
宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において清算することとされている金銭の清算に関する事項
宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・宅地建物(区分所有建物を除く)の管理が委託されているときは管理受託者の氏名、住所(法人の場合は称号又は名称・主たる事務所の所在地)
宅地の貸借、建物の貸借で説明義務がある。
・契約終了時における当該宅地上の建物の取り壊しに関する事項を定めようとするときはその旨
宅地の貸借で説明義務がある。
・当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容
建物の売買・交換で説明義務がある。
・共用部分に関する規約の定め(その案を含む)があるときはその内容
建物の売買・交換で説明義務がある。
・専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(その案を含む)があるときはその内容
建物の売買・交換、建物の貸借で説明義務がある。
・一棟の建物またはその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨(専用使用権)の規約の定め(その案を含む)があるときはその内容
建物の売買・交換で説明義務がある。
・一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他の当該建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の定め(その案を含む)があるときはその内容
建物の売買・交換で説明義務がある。
・一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う者(計画修繕積立金)の規約の定め(その案を含む)があるときはその内容及びすでに積み立てられている額
建物の売買・交換で説明義務がある。
・通常の管理費用の額
建物の売買・交換で説明義務がある。
・一棟の建物およびその敷地の管理が委託されているときは、管理受託者の氏名、住所(法人の場合は称号又は名称、主たる事務所の所在地)
建物の売買・交換、建物の貸借で説明義務がある。
・一棟の建物の維持修繕の実施状況が記載されているときはその内容
建物の売買・交換で説明義務がある。
・建物状況調査(実施後一年を経過していないものに限る)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要
建物の売買・交換、建物の貸借で説明義務がある。
・設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況
建物の売買・交換で説明義務がある。
・現金販売価格
宅地の売買・交換、建物の売買・交換で説明義務がある。
・月賦販売価格
宅地の売買・交換、建物の売買・交換で説明義務がある。
・引っ越しまでの金銭と月賦金の額・支払時期・方法
宅地の売買・交換、建物の売買・交換で説明義務がある。
供託等に関する説明
主旨:取引の相手方が営業保証金・弁済業務保証金の還付を受ける際の供託所等に関する情報の提供
説明時期:契約が成立するまでの間
説明方法:宅建士が説明する必要は無く、口頭による説明でも可能
説明の相手方:取引の相手方(相手方が宅建業者の場合は説明不要)
宅建業者が保証協会の社員でない場合の説明内容:営業保証金の供託所とその所在地
宅建業者が保証協会の社員の場合の説明内容:保証協会の社員である旨、保証協会の名称・住所・事務所の所在地、弁済業務保証金の供託所とその所在地
重要な事実の不告知等の禁止
宅建業者は相手方等に対し契約の勧誘の際または申し込みの撤回・契約の解除・債権の行使を妨げるため、次の四項目について故意に事実を告げずまたは不実のことを告げる行為をしてはならない。
・35条書面の記載事項
・供託所に関する説明事項
・37条書面の記載事項
・その他、相手方等の判断に重要な影響を及ぼす事項
37条書面
宅建業者は契約内容を書面に記載して契約の当事者に交付しなければならない。この契約内容を記載した書面を37条書面という。
宅建業者は契約の当事者らに契約締結後遅滞なく一定事項を記載した宅建士の記名捺印のある書面を交付しなければならない。複数の宅建業者が取引にかかわっている場合、全ての宅建業者に37条書面の作成義務があり、それらの宅建士に記名捺印させなければならない。
37条書面の記載事項
37条書面の記載事項は必ず記載しなければならない事項(必要的記載事項)と当事者間で定めがあるときにだけ必ず記載しなければならない事項(任的記載事項)がある。
・売買・交換の必要的記載事項
当事者の氏名・住所
宅地建物を特定するために必要な表示
代金・交換差金の額・支払時期・支払方法
物件の引き渡し時期
移転登記の申請時期
既存建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当会社の双方が確認した事項
・賃借の必要的記載事項
当事者の氏名・住所
宅地建物を特定するために必要な表示
賃貸の額・支払時期・支払方法
物件の引き渡し時期
・売買・交換の任意的記載事項
解除の定めがあるときはその内容
損害賠償額の予定・違約金に関する定めがあるときはその内容
天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがあるときはその内容
代金・交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときはその額・授受時期・授受目的
代金・交換差金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがあるときはそのあっせんが成立しないときの措置
瑕疵担保責任について定めがあるときはその内容
瑕疵担保責任の履行に関して講ずべき補償保険特約の締結その他の措置について定めがあるときはその内容
租税公課の負担に関する定めがあるときはその内容
・賃貸の任意的記載事項
解除の定めがあるときはその内容
損害賠償額の予定・違約金に関する定めがあるときはその内容
天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがあるときはその内容
賃貸以外の金銭の授受に関する定めがあるときはその額・授受時期・授受目的
8種制限
宅建業者が自己の持ち物件を一般消費者に売る場合は宅建業者に対して特別な規制をする必要がある。この規制が8種制限というものになる。
クーリング・オフ
・宅建業者が自ら売主として宅建業者でない買主との間で締結する売買契約について買主は原則といてクーリングオフができる。
・例外的にクーリングオフができない場所
一般消費者が通常であれば冷静な判断ができると思われる場所での買受の申し込みや契約の締結をした場合はクーリングオフはできない。
クーリングオフができない場所として、事務所、専任の宅建士の設置義務のある案内所、現地出張所、催物会場、相手方から申し出た場合の相手方の自宅や勤務先など。
・例外的にクーリングオフができない期間
書面で告げられた日から起算して8日経過するとクーリングオフはできなくなる。
・例外的にクーリングオフができない場合
物件の引き渡しを受け、かつ代金全額を支払うとクーリングオフができなくなる。
・クーリングオフの方法・効果・特約の効力
クーリングオフは書面で行わなければならない。そして書面を発した時にクーリングオフの効力が生ずる。クーリングオフは無条件白紙撤回である。したがって支払った手付金などを返してもらえる。またクーリングオフを理由にした損害賠償や違約金を請求されても支払う必要は無い。
クーリングオフの規定に反する特約で買受の申込者、買主に不利な特約は無効。
手付金等の保全措置
宅建業者が自ら売主となる売買契約では、宅建業者は銀行の保証や保険などによっていざというときには買主から受け取ったお金を確実に返せる措置を講じておかなければならない。これが手付金等の保全措置の制度である。
・手付金とは、契約締結後、引き渡し前に支払われるもの、代金に充当されるものの二つの要素を満たす金銭のこと。
・宅建業者が自ら売主として、宅建業者以外の買主との間で売買契約を締結するときは、保全措置を講じた後でなければ手付金等を受領してはならない。
・買主が所有権の登記をしたときか、未完成物件の場合は代金が5%以下かつ1000万円以下のもの、完成物件の場合は代金が10%以下または1000万円以下のものであれば保全措置は不要となる。
・未完成物件の保全措置は銀行等との保証委託契約または保険事業者との保証保険契約、完成物件は銀行等との保証委託契約または保険事業者との保証保険契約、指定保管機関との手付金等委託契約となる。
手付の性質・額の制限
・手付金は常に解約手付として扱われる。相手方が履行に着手するまで、買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を償還して契約の解除ができる。これらの取り決めで買主に不利な特約は無効となる。
・代金の額の10分の2まで(超える部分は無効)
自己所有に属さない物件の契約制限
・宅建業者は原則として自己の所有に属さない物件(他人物・未完成物件)について、自ら売主となる売買契約を締結してはならない。
・宅建業者は物件を取得する契約(予約を含む)を締結しているときは例外的に他人物売買契約が可能である。
・宅建業者が手付金等の保全措置を講じているときは、例外的に未完成物件の売買契約が可能である。
損害賠償額の予定等の制限
・損害賠償額の予定または違約金を定める時は、合算して代金の10分の2まで制限される。
・10分の2を超える額の取り決めをした場合、超える部分は無効。
割賦販売契約の解除等の制限
民法上では代金の支払いが遅れた場合、売主が相当の期間を定めた催告をし、その期間内に履行されなければ契約の解除ができる。8種制限においては期間を30日以上の相当期間年、催告は書面で行わなければならない。なお、この制限に反する特約は無効となる。
所有権留保等の禁止
原則として宅建業者は買主に対して引き渡しまで登記を移転しなければならない。
ただし、割賦金の支払いが代金の10分の3を超えていないとき、割賦金の支払いが代金の10分の3をこえているときでも買主が残代金について抵当権、保証人等の担保措置を講ずる見込みがない時は引渡後も登記の留保が可能となる。
瑕疵担保責任の特約と制限
原則として民法よりも買主に不利な特約は無効になる。特約が無効の場合民法の原則にのっとります。
ただし引き渡しからニ年以上の責任追及期間を定めた特約は有効である。
住宅瑕疵担保責任履行法
民法上の瑕疵担保責任の追及期間は買主が瑕疵を知った時から一年間。しかし新築の売買契約はこの責任追及期間は充分と言えない。そこで品確法では新築住宅のうち構造耐力上主要な部分または雨水の侵入を防止する部分の瑕疵について、責任追及期間を引渡から10年間とし、この規定に反する特約で買主に不利なものは無効としている。なお、この品確法上の瑕疵担保責任では損害賠償の請求、契約の解除に加え瑕疵修補請求も認められている。
住宅瑕疵担保履行法(資力確保措置)
・宅建業者が自ら売主となって宅建業者でない買主に新築住宅を販売する場合、売主である宅建業者に対して、住宅販売瑕疵担保責任保険への加入、住宅販売瑕疵担保保証金の供託のいずれかの資力確保措置が義務付けられる。
・資力確保措置の状況の届け出
新築住宅を引き渡した宅建業者は基準日(毎年3月31日および9月30日)ごとに、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結状況について免許権者に届け出なければならない。
・新たな売買契約の締結制限
売主である宅建業者は資力保全措置の状況の届け出をしなければ、基準日の翌日から起算して50日を経過したい後においては新たに売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。
・住宅販売瑕疵担保責任保険契約が資力確保措置と認められるための要件
売主の宅建業者が保険料を支払うものであること
売主である宅建業者が特定住宅販売瑕疵担保責任を履行した時に、宅建業者の請求に基づき、その履行によって生じた宅建業者の損害を補填すること
売主である宅建業者が相当の期間を経過してもなお当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行しないときに、買主の請求に基づき、その隠れた瑕疵によって生じた買主の損害を補填すること
損害の補填するための保険金額が2000万円以上であること
新築住宅の引渡から10年以上の期間にわたって有効であること
国土交通大臣が認証を受けた場合を除き、変更・解除が出来ないこと
・住宅瑕疵担保保証金の供託
売主である宅建業者は各基準日において当該基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅の合計戸数を基礎として、隠れた瑕疵があった場合に生ずる損害の状況を勘案して算出する額以上の額の保証金を主たる事務所最寄りの供託所に供託しなければならない。なお供託は金銭のほか国際証券、地方債証券等の有価証券で行うことも可能。また売主である宅建業者は引渡から10年間は住宅販売瑕疵担保保証金を取り戻すことができない。
・資力確保措置の状況の届出
新築住宅を引き渡した宅建業者は基準日ごとに当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託の状況について免許権者に届け出なければならない。この届出は基準日から三週間以内に行う必要がある。
・新たな売買契約の締結制限
売主である宅建業者は資力確保措置の状況の届出をしなければ基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結できない。
・不足額の供託・届出
売主である宅建業者は、補償金の還付により供託額が基準額に不足することとなった時には国土交通大臣から還付があった旨の通知の賞を受けた日から二週間以内に不足額を供託しなければならない。
・住宅販売瑕疵担保保証金の取戻し
売主である宅建業者、宅建業者であった者、またはその承継人で住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしているというものは、基準日において住宅販売瑕疵担保保証金の額が基準を超えることとなった時は、その超過額を取り戻すことができる。取戻しを受けるためには免許権者の承認が必要。
・供託所の所在地等に関する説明
宅建業者は自ら売主となる新築住宅の買主に対し、売買契約を締結するまでに住宅販売瑕疵担保保証金を供託している供託所の所在地について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
・保管替え等
主たる事務所の移転先のもよりの供託所に住宅販売瑕疵担保保証金を移す手続きは金銭のみの場合は保管替え請求、有価証券、有価証券と金銭の場合は移転後の供託所に新たに供託した後従前の供託所から取り戻すという形。
報酬に関する規制
売買の媒介の依頼者の一方から受け取れることのできる報酬額の上限(消費税を考慮せず)
【速算法】
200万円以下:代金の5%
200万円超400万円以下:代金の4%+2万円
400万円超:代金の3%+5万円以下
売買の媒介
・宅建業者Aが売主甲から宅地売買の媒介を依頼され、買主乙との間に代金1000万円の契約を成立させた
Aが甲から受け取れる報酬額は1000万円×3%+6万円=36万円
・宅建業者Aが売主甲、買主乙両方から媒介の依頼を受け、甲所有の宅地について甲乙間に代金1000万円の売買契約を成立させた。
Aが甲から受け取れる報酬額は1000万円×3%+6万円=36万円
Aが乙から受け取れる報酬額は1000万円×3%+6万円=36万円
Aが甲乙から受け取れる額の合計金額は72万円
売買の代理
・宅建業者Aが売主甲から宅地の代理を依頼され、買主乙との間に代金1000万円の契約を成立させた。
代理の場合は媒介の依頼者の一方から受け取れる報酬限度額の二倍まで受け取ることができる。(1000万円×3%+6万円)×2=72万円
・宅建業者Aが売主甲、買主乙両方から代理の依頼を受け、甲所有の宅地について甲乙間に代金1000万円の売買契約を成立させた
双方代理は原則禁止されているが、売主甲、買主乙双方が同意していれば認められる。Aは甲から72万円を限度に、乙から72万円を限度に報酬を受け取ることができる。ただし144万円を受け取ることはできず、上限は2倍の72万円まで、
一方から代理の依頼を他方から媒介の依頼を受けた場合
例)宅建業者Aが売主甲から代理を受け買主乙からは媒介の依頼を受け1000万円の売買契約を成立させた。
Aは甲から72万円を限度に、乙から36万円を限度に報酬を受けることができる。ただし上限は合計で72万円まで。
交換の媒介・代理
交換物件の高い方の金額をもとに、売買と同じように計算する。
複数の宅建業者が関与する場合
例)宅建業者Aが甲から代理の依頼を、宅建業者Bは乙から媒介の依頼を受け、甲所有の1000万円の宅地と乙所有の800万円の宅地とを交換する契約を成立させた。交換については高い方の金額を基準にするため1000万円が基準となる。
Aは甲から72万円を限度にBは乙から36万円を限度に受けることができる。ただしAとBの報酬の合計は72万円が限度となる。
複数の宅建業者が関与した場合、関与した宅建業者全員が受け取れる報酬の限度額は、媒介の依頼者一方からは受け取れる報酬限度額の2倍まで。なおBは乙からは36万円を超える報酬は受け取れない。また甲からは一切報酬を受け取ることができない。Bにとっては甲は依頼者ではないから。同様にAは乙から報酬を受け取ることはできない。
売買・交換の媒介・代理と消費税の計算
・報酬計算の最初に問題となる消費税
報酬計算は消費税を抜いた価格をもとに行う。宅地の売買は消費税が課せられないしかし建物の売買には消費税が課せられる。
例)
土地付き建物の代金6360万円(うち土地代金4200万円)で消費税及び地方消費税を含むものとする。
建物の代金:6360万円‐4200万円=2160万円(消費税を含む)
建物の本体価格:2160万円÷1.08=2000万円(税抜き建物価格)
・報酬計算の最後に問題となる消費税
宅建業者が消費税の課税事業者であれば消費税分8%を上乗せした額を請求することができる。また消費税の免税事業者でもみなし消費税分(3.2%)を上乗せした額を請求することができる。
例)宅建業者A(消費税課税事業者)が甲から代理の依頼を、宅建業者B(消費税免税事業者)は乙から媒介の依頼を受け、甲所有の建物について甲乙間に代金1080万円の売買契約を成立させた。
1080万円÷1.08=1000万円(税抜き価格)
Aが受け取れる報酬限度:(1000万円×3%+6万円)×2=72万円
Bが受け取れる報酬限度:1000万円×3%+6万円=36万円
Aが受け取れる報酬に8%の消費税分を、Bには3.2%のみなし消費税分を上乗せ。
Aが受け取れる報酬限度は777600円
Bが受け取れる報酬限度は371520円
ABが受け取れる報酬限度額の上限は777600円
低廉な空き家等の売買・交換の媒介・代理における特例
・宅建業者A(課税事業者)が売主甲、買主乙両方から媒介の依頼を受け、甲所有の宅地について甲乙間に代金200万円の契約を成立させた。宅地の調査費用は54000円(税込み)とする。
Aが甲から受け取れる特別報酬限度額
200万円×0.05×1.08=108000円
108000円+54000円(調査費用)=162000円
162000円<194400円
Aが乙から受け取れる報酬限度額
200万円×0.05×1.08=108000円
Aが甲乙から受け取れる報酬の合計金額は27万円
・宅建業者A(課税事業者)が売主甲、買主乙両方から代理の依頼を受け、甲所有の宅地について甲乙間に代金200万円の契約を成立させた。宅地の捜査費用は108000円(税込み)とする。
Aが甲から受け取れる特別報酬額
200万円×0.05×1.08=108000円
108000円+108000円(調査費用)=216000円
216000円≧194400円
108000円+194400円=302400円
Aが乙から受け取れる報酬額
200万円×0.05×1.08×2=216000円
Aが甲乙から受け取れる報酬額の上限
3024000円
交換媒介の場合・複数宅建業者が関与する場合
・宅建業者Aが甲及び乙から媒介の依頼を受け、甲所有の評価額200万円の宅地と乙所有の評価額180万円の宅地の交換契約を成立させた。甲所有の宅地の調査費用は108000円、乙所有の宅地の調査費用は54000円とする。
Aが甲から受け取れる特別報酬限度額
200万円×0.05×1.08=108000円
108000円+108000円(調査費用)=216000円
216000円≧194400円
194400円
Aが乙から受け取れる特別報酬限度額
200万円×0.05×1.08=108000円
108000円+54000円(調査費用)=162000円
162000円<194400円
162000円
Aが甲乙から受け取れる報酬額の合計金額
356400円
・宅建業者Aが甲から売買の代理の依頼を受け、宅建業者Bが乙から売買の媒介の依頼を受け、甲所有の宅地について甲乙間に代金200万円の売買契約を成立させた。宅地の調査費用は54000円とする。
Aが甲から受け取れる特別報酬限度額
200万円×0.05×1.08=108000円
108000円+54000円(調査費用)=162000円
162000円<194400円
162000円+108000円=27万円
Bが乙から受け取れる報酬額の上限
200万円×0.05×1.08=108000円
Aが甲から、Bが乙から受け取れる報酬額の上限は27万円
賃貸の媒介・代理
・居住用建物の媒介
貸主・借主から受け取れる報酬の合計限度額はあわせて賃料の一か月分以内
貸主・借主からどのような内訳で報酬を受け取れるかは、媒介の依頼を受けるにあたって、その依頼者の承諾を得ていなければ賃料の二分の一か月分までしか受け取れない。
・居住用建物の代理
貸主・借主から受け取れる合計限度額はあわせて賃料の一か月分以内
貸主・借主からどのような内訳で報酬を受け取れるかは、合計して賃料の一か月分の範囲であれば借主・貸主からどのような内訳で受け取っても構わない。
・居住用建物以外の媒介・代理
居住用建物以外の媒介・代理は賃料を基準に報酬限度額を求める方法と。権利金の授受がある場合はその権利金を売買代金とみなして報酬額を求める方法がある。この権利金とは名称を問わず、権利設定の対価として支払われる金銭で返還されないものをいう。
例)宅建業者Aが貸主甲から代理を受け、借主乙から媒介の依頼を受け甲所有宅地を乙に賃料月額50万円、権利金1000万円で賃貸する契約を成立させた。
賃料規準:50万円
権利金基準:72万円
高い方が報酬限度額となる。
賃借の媒介・代理と消費税の計算
・住居用建物の賃料は消費税が課税されない。
・住居用以外の建物の賃料・権利金には消費税が課税される。
・土地の賃料は消費税が課税されない。
・報酬額について課税業者は8%の消費税が課せられる。
・報酬額について免税業者は3.2%の消費税が課せられる。
必要経費請求
原則、報酬限度額を超える報酬を受け取ることはできない。それを怠れば罰則あり。
例外として特別の広告費や遠隔地における現地調査の費用等は依頼者の特別の依頼があれば報酬とは別に受領することができる。
不当に高額の報酬の要求禁止
不当に高額の報酬を要求してはならない。報酬を受け取らなかったとしても要求したこと自体が宅建業法違反となる。
報酬額の提示
宅建業者は事務所ごとに見やすい場所に報酬額を提示しなければならない。
契約締結時の制限
宅建業者は宅地造成または建築に関する工事の完了前は、その工事に必要な許可または確認があった後でなければ自ら売主としてまたは当事者を代理して売買・交換の契約を締結してはならない。また売買・交換の媒介をしてはならない。
手付貸与等の禁止
宅建業者は手付を貸し付けるという条件を持ち出したり、手付払いを後日でよいという条件を持ち出したりして契約の締結を誘引してはならない。
断定的判断の提供の禁止
宅建業者は宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際して、利益を生ずることが確実であると誤認させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。故意過失にかかわらず断定的判断を提供した場合宅建業法違反となる。また契約が不成立でも断定的判断の提供だけで業法違反となる。
威迫行為等の禁止
宅建業者は契約を締結させるため、または申し込みの撤回・契約の解除を妨げるため相手方等を威迫する行為をしてはならない。
相手方等の保護に欠ける行為の禁止
・宅建業者は宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際して、相手方等に次の行為をしてはならない。
契約の目的物である宅地建物の将来の環境または交通その他の利便性について誤認させるべき断定的判断を提供すること。
正当な理由なく、契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと。
勧誘に先立って宅建業者の称号・名称、勧誘を行う者の氏名。契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うこと。
お客さんが契約を締結しない旨の意思を表示したのにもかかわらず、当該勧誘を継続すること。
迷惑を覚えさせるような時間に電話し、または訪問すること。
深夜または長時間の勧誘その他私生活・業務の平穏を害すような方法によりその者を困惑させること。
・宅建業者の相手方等が契約の申し込みの撤回を行うに際し、すでに受領した預り金を返還することを拒んではならない。
・宅建業者の相手方等が手付を放棄して契約の解除を行うに際し、正当な理由なく、当該契約の解除を拒み、または妨げてはならない。
不当な履行遅延の禁止
宅建業者はその業務に関してなすべき宅地・建物の登記・引渡、または取引に係る対価の支払いを不当に遅延する行為をしてはならない。
守秘義務
宅建業者は正当な理由なくして、業務上知り得た秘密をほかに漏らしてはならない。宅建業を辞めた後、従業員が退職した後も同様。
従業者名簿・従業者証明書
・宅建業者はその事務所ごとに従業者名簿を備え、下記の一定事項を記載しなければならない。また保存期間は10年間とする。
従業者の氏名・生年月日
主たる職務内容
宅建士であるか否かの別
当該事務所の従業者となった年月日
当該事務所の従業者でなくなった時はその年月日
従業者証明書の番号
・宅建業者は取引の関係者から請求があった時は、従業者名簿をその者に閲覧に供しなければならない。
・宅建業者は従業者に従業者証明書の携帯をさせなければ、その者を業務に従事させてはならない。
・従業者は取引の関係者の請求があった時は、その携帯する証明書を提示しなければならない。
帳簿の備付け
・宅建業者はその事務所ごとに業務に関する帳簿を備え、宅建業に関し取引があった都度、その取引内容等を記載しなければならない。記載事項は取引年月日、物件の所在・面積など。保存期間は原則各事業年度の年末に閉鎖し、その閉鎖後五年間。例外として宅建業者が自ら売主となる新築住宅に係るものについては閉鎖後10年間。なお、これらに違反した者は罰則あり。
標識の掲示
・宅建業者は事務所ごとに公衆飲みやすい場所に、一定の標識を掲示しなければならない。
・標識の啓示が必要な場所とは、事務所、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所での事務所以外のもの、自社物件を分譲する際の案内所、他社物件を媒介・代理して分譲する際の媒介・代理業者の案内所。展覧会などの催し物を実施する場所、分譲する宅地・建物が所在する場所。
案内所等の届出
宅建業者は契約を締結しまたは申し込みを受ける案内所等(専任の宅建士が一名以上設置すべき案内所)を設置するときは、業務を開始する10日前までに一定事項を免許権者と案内所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
監督処分・罰則
・宅建業者に対する監督処分は指示処分、業務停止処分、免許取り消し処分の三種類ある。
・業務停止処分は一年以内の期間を定めて、業務の全部の停止または一部に限定して停止が認められる。
・指示処分・業務停止処分は免許権者のほか、原則として業務地を管轄とする都道府県知事も行うことができるが、免許取り消し処分は免許権者しか行うことができない。
・国土交通大臣または都道府県知事は、業務停止処分又は免許取り消し処分をしたときは公告をしなければならないが、指示処分をしたときは公告をする必要はない。
宅建士に関する処分
・宅建士に対する監督処分は、指示処分、事務禁止処分、登録消除処分の三種類ある。
・事務禁止処分は一年以内の期間を定めて、宅建士としてすべき事務を行うことを禁止する処分をいう。
・指示処分、事務禁止処分は登録を受けた都道府県知事のほか、処分対象行為が行われた場所を管轄する都道府県知事も行うことができるが、登録消除処分は、登録を受けた都道府県知事しか行うことができない。
聴聞
原則として国土交通大臣または都道府県知事は監督処分をする前は原則として公開による聴聞を行わなければならない。ただし宅建業者の事務所の所在地を確知できないことを理由に免許を取り消す場合、または宅建業者の所在を確知できないことを理由に免許を取り消す場合はその限りではない。
罰則
いろいろあります。
一度にすべてのことを書くとこんなに長くなってしまいました。時間に余裕があれば分けて記入するわけですが、もう明後日が試験です。そのため一挙に書きました。また罰則については覚える気もありませんのでとばしました。あとは五点免除問題という不動産屋で働いている人は免除される問題があるのですが、範囲が広いため書くのをやめようと思います。つまりは宅建の勉強は終了。本来、この時点でマスターしているわけで、5点問題を除けば、45点取れるはずなんです。つまりは合格ということですね。これで来年からは不動産屋で働けるってことになるんですね。