荒川の向こうのアフリカ キャプ翼の聖地「四ツ木」にある小さなエチオピア
四ツ木駅に来ています。四ツ木は首都高速を利用する際に頻繁に通っています。首都高6号向島線から四ツ木ジャンクションを通って常磐道へ。柏とか水戸方面に行く際はこのルートを良く通っていました。四ツ木ジャンクションってごちゃごちゃしているんですよね。首都高速中央環状線ができたことでだいぶスムーズになりましたが以前は渋滞ポイントでした。
でも、四ツ木ジャンクションなんてねーし。
四ツ木ジャンクションって言ってるのは堀切ジャンクションと小菅ジャンクションのところ。なんとなくあのあたりを「四ツ木」って呼んでただけ。近くの降り口が四ツ木にあるだけだし。でもそこまで四ツ木は近くありませんでした。
そんな首都高速そばにある四ツ木ですが、この駅の状態をスルーするわけにはいかないでしょう。
アイツの噂でチャンバも走る~♪
四ツ木はキャプテン翼の聖地です。キャプテン翼の作者・高橋陽一さんは四ツ木出身のようでそれにあやかり駅がボールひとつにキリキリ舞いになっているようです。
キャプテン翼はサッカー界に大きく貢献したそうで多くのサッカー選手が影響を受けておりJリーグの基礎をつくったといっても過言ではなく、また国内だけでなくジダンやデルピエロ、トッティ、メッシなど多くの選手がキャプテン翼の影響でサッカーを始めたんだとか。
世界の有名サッカー選手からしてみれば四ツ木は聖地のような場所です。サッカー選手は四ツ木に集まるのでしょう。
それにつけても「チャンバ」って何!?
駅じゃなくてなんか別物みたいな様子。こんだけエキナカが豪華だったら駅前も豪華かと思いきや、けっこう寂しい駅前です。
こちらは渋江商店街です。居酒屋、薬局、理髪店、インド料理屋。店はありますがかなり小規模な商店街です。四ツ木のあたりは住宅地ではなくどちらかというと工業地帯。蒲田の工業地帯に似た雰囲気があります。
私が四ツ木によったのはキャプテン翼の聖地だからではありません。どうやら四ツ木にはエチオピア人が住む、リトルエチオピアがあるんだとか。
皆さんご存知のアフリカの内陸国エチオピアです。
知っての通り首都はアディスアベバ、言語はアムハラ語とオモロ語です。こんなのはその辺の小学生でも知ってる情報です。
主食はテフです。テフを使って作るインジェラが食べられているそうです。皆さんご存知のインジェラですよ。学校の給食で出るやつ。有名な食べ物はワット、クックル、トゥプスでしょうか。
そんな皆さんご存知のエチオピアがここ四ツ木で味わえるんです。
四ツ木にエチオピア人が集まるようになった理由は町工場があるから。川口にクルド人が集まるようになったのと同じ理由でしょう。習得の難しい日本語。日本語が話せなければサービス業には従事できません。そのため工場などの接客をしない業種で働く人が多いのでしょう。四ツ木はエチオピア人を受け入れる土壌がありました。また工場地帯なので家賃も他に比べると安いです。
現在の在日エチオピア人は全国で450人ほど。その内の180人が都内に住んでおり、その内の80人以上が四ツ木に住んでいるんだとか。
つまりここはリトルアディスアベバなんです。
そんなリトルエチオピアでエチオピア料理食べたいじゃないですか!
ってことでこちらの店に行きました。
名前はずばり「リトルエチオピア」です。店名の通りここであればエチオピア料理が食べられそうです。
とりあえずビールを注文します。アフリカでも中東寄りなのでイスラム教徒が多い地域かと思いきや国民の半数以上がキリスト教なんだとか。キリスト教といってもエチオピアのはエチオピア正教会という独自で発展したもの。エチオピア正教会では断食すべき日が180日もあるんだとか。断食といっても一切食べないのではなく動物性たんぱくを取らないってだけ。実際そこまで厳密ではない感じです。お酒に関しても寛容なようです。
こちらのビールはセントジョージビール。エチオピアの守護神セントジョージの名を冠するビール。エチオピアでもっとも有名で古い歴史のあるビールなんだとか。味はだいぶ軽め。南国ビールっぽいです。
度数は5%。麦芽とホップのみってことですが別の穀物の雑味がします。
料理を何頼むか悩んでいると店主が一つずつ説明してくれます。牛肉のカレー、野菜のカレー。それにカレーとカレー、そしてカレー。
カレーって言葉の汎用性の高さ。
このドロワットってやつが現地でも人気なんだとか。骨付き肉とゆで卵、ニンニクの聞いたカレーです。
こちらがドロワット。ドロッとしたワット。ドロはチキン、ワットは煮物って意味なんだそう。カレーというより玉ねぎをあめ色まで炒めた料理に近いです。見た目がちょっとアレですが、スパイシーだけど玉ねぎの甘みがあり美味しいです。
下に敷いてあるのがインジェラっていうエチオピアの主食。日本でいう白飯の立ち位置。食感は使い古した濡れてるスポンジでねちょっとしてます(スポンジ食べたことないけど)。味は少し酸っぱいです。酸味は乳酸発酵によるもので保存性を高めるのと味に変化を出しているのでしょう。
この酸っぱいパンが苦手って人もいるのでしょうが、不快ではなくさわやかな酸っぱさなので嫌いじゃないです。当然発酵が進めば酸味が強くなるのでしょう。
こちらはエチオピアンウーゾってお酒。ウーゾはギリシャ原産のお酒ですがエチオピアにも伝来したようです。ブドウの搾りかすを原料にした蒸留酒で香草で風味付けされています。ウーゾの源流はトルコのラキです。ラキ同様にアニスが入ってるため水に入れると白濁します。ラキに比べると少し甘いです。アニスが苦手な人にはダメでしょうが私は好きな味。おそらくメーカーによって味の違いもあるのでしょう。本場のウーゾを飲むためにはエチオピアに行かなきゃダメなようです。
でもエチオピアはなかなか行きづらいですよね。往復15万円ほどで、韓国経由のエチオピア航空がありますが、片道17時間もかかるようです。そもそも治安が悪そうな気がします。エチオピアは内戦が続き難民も多く輩出しており、四ツ木にいるエチオピア人の中には難民として逃げてきた人もいるそうです。
治安、どうなのかな?と思いグーグルで調べてみると、
「重大な犯罪や暴力的な犯罪はほとんどありません。エチオピアの都市は、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスなどの大都市よりも安全です。」
との回答。それなら安全でいいですね。一応外務省の危険情報を見てみましょう。
白い部分が湖のところだけ!
首都はギリギリレベル1。左半分は戦場になっているようです。国の縁取りは本来は黒い線ですがエチオピアは赤い線。隣国との戦争が絶えないようです。
アフリカは難易度高そうですね。
以前私は黄熱ワクチンを接種しました。エチオピアの入国は黄熱ワクチン接種は必須です。
ビザはネットで取得できる、航空機にも空きがある、そして黄熱ワクチンも接種済み。これは神のお導きではないでしょうか。
エチオピアちょっと行きたくなってきた!
でも東南アジアの危険とは少し違う感じです。これまでぬるい旅しかしてないのでなかなか一歩が踏み出せません。
アフリカに行ってみたさはあるけれど旅費だけでなく治安の問題もあります。行くのは当分先になりそうです。
アフリカに行かずとも四ツ木に来れば本場のエチオピアが味わえます。またエチオピア料理以外にも都内にはアフリカ料理を提供する店があります。
都内にいながらアフリカ旅行ってのもいいのではないでしょうか。
とりあえず都内にある近場のケニアでも行ってみます。