ホームレスの多い萬華にあるスラムクリアランスで出来た台湾国民住宅
本日は台湾に来ております。
こちらは肉粥という料理です。価格は15台湾ドル、日本円で70円くらいでしょうか。お粥ってそんなに食べませんが台湾の朝食では一般的なんだとか。
台湾のお粥は北部と南部で違いがあり南部は魚介出汁ですが北部は豚骨です。肉粥の名の通り具材に肉が入ってるはずですがこちらの店は具材がほぼ入っていません。店で食べると300円くらいとられるようですが、こちらではチープなお粥が食べられます。
若干残飯っぽい感じ。
鍋のあとに食べる雑炊に近い感じです。
あまり衛生的ではない街並み。こちらは台北市内にある萬華です。萬華は若者の街「西門町」もある台北市の中心地。輝かしい町並みが見れる場所ですが、輝きが強いところは影も濃くなります。このあたりは台北の影があるところです。
こちらは龍山寺前にある艋舺公園です。台湾政府が開発した民族公園で多民族国家台湾を象徴させる彫刻が展示されています。一見するとごく普通の公園。
公園には高齢者が多くいます。いわゆるリタイア組の人たち。日中に公園に集まり青空の下でのんびり過ごす。そういった老後生活もいいですね。と思ったのですがどうも公園でのんびり過ごしている老人って様子はありません。どうやらここにいる人たちは社会からリタイアした人たち、ホームレスのようです。
ここにホームレスがいるのには理由があります。
艋舺公園のある萬華地区は大漢渓、新店渓、淡水河の三つが交わるところに位置します。川の上流から木材を運び萬華地区に集める物資の集積地だったところです。萬華の名前の由来も台湾北部に住むケタガラン族の言葉で「丸木舟」を意味する「ヴァンカア」に由来します。つまり萬華地区は川の港だった場所のようです。
港町と言えば沖仲仕。萬華地区には港湾労働者が多く住んでいたのです。港湾労働は日雇いのため不安定な業種。仕事がなければ稼ぎがない。その結果路上生活者となる人も多くいたのでしょう。このあたりは台北にある山谷のような場所でしょうか。
浅草も浅草寺が光ならば北側にある山谷は闇。どこの国も似たようなもので観光客で賑わうそばにはそれにあやかろうと路上生活者が集まるエリアができるようです。
公園でのんびり将棋でもしているのかと思ったらどうやら賭け事をしている様子。雰囲気は私設の場外馬券場、いわゆるノミ屋っぽい様子。周りには少し怪しげな雰囲気の人が監視しています。
台湾では公営ギャンブルってのはなく競馬も競輪もありません。唯一あるのが宝くじでしょうか。市内には宝くじ売り場があります。公営ギャンブルは宝くじしかありませんが、台湾には少し怪しい店があります。
こちらは桃園市にあるゲームセンターっぽいけど日本で見る10円ポーカーの店にあるやつと同じ筐体のビデオゲームがあります。大の大人が脱衣麻雀以外でこんな薄暗い店でカードゲームをするはずがありません。同店も入り口には社会から少し外れているっぽい人が監視していました。おそらく賭博開帳しているのでしょう。
公園のはもろオープンで賭け事をしています。台湾でも賭け事は犯罪ですが公然と行われそれが当然となっているようです。
ギャンブルで息抜きをさせないと治安が悪化する恐れがある。野放しにしているのはこれが理由なのでしょう。日本でも賭け麻雀は賭博罪ですが、元検事長が点ピンレートで麻雀をしていたのに起訴されませんでした。上級国民だったってのも理由の一つでしょうが多少の賭け事は目をつぶるってことなのでしょう。台湾も同じように息抜きのために放置しているようです。でもそのせいで公園の周りは治安が悪すぎです。この界隈にはホームレスが集まり、街が形成されているようです。
こちらには香香澡堂ってところがありますが、いわゆるホームレスの支援センターのようなところ。芒草心ってホームレス支援の非営利団体が運営されているようでここではシャワーも浴びれて食事もとれるようです。まさに西成釜ヶ崎のような場所。龍山寺の近くにはこのような施設や簡易宿泊所が多くあるようです。
とくに万華区と中正区は台湾市内では最も収入が低いと言われるエリアで路上生活者だけでなく低収入の人が集まるエリアでもあるそうです。
こちらは中正区にある南機場夜市です。
南機場夜市がある場所は日本統治時代は飛行場でした。松山空港よりも南にあるため台北南飛行場となったそうです。その名残りから南機場と名がついた夜市。終戦後は公団住宅が建設され軍人の住居として供されていたそうです。中心地から少しズレた場所にあるため観光客は少なく地元の人が多い所。
こちらは南機場夜市の北側に隣接する団地「南機場公寓國民住宅」です。1964年に作られた団地で当初はキレイで先進的な集合住宅だったそうです。
記した通りこのあたりは日本統治時代は飛行場として利用されていましたが戦後はこの付近に違法バラックが軒を連ねていたそうです。そのため当時の台湾政府は違法バラックを取り壊し、そこに住んでいる人たちを収容しました。要はスラムクリアランス事業で出来た団地です。その当時近代的でモダンなレンガ造りだった集合住宅ですが、居住者の民度が低ければキレイを維持することは難しく60年の間に違法建築で継ぎ足され当時の様子は見れなくなりました。台湾のスラムと揶揄されるこの場所ですが治安の悪さはさほど感じません。むしろ日本の市営住宅と同じように高齢者が多めです。
こちらには食物銀行があります。
低所得者が多く住む地域だからなんでしょう。
螺旋階段が美しいです。このように雰囲気のよい建物ですが、古い団地を壊して建て替えているようです。
南機場公寓國民住宅も築60年。そろそろ建て替えの時期なのでこの姿は見れなくなるでしょう。
こちらは南機場夜市の南側に隣接する団地「國盛國宅」です。1980年に作られた団地でこちらも貧困層の救済目的で建てられました。
南機場公寓國民住宅よりも生活感が強め。建物の作りは日本の市営住宅っぽい感じ。こちらも高齢者が多い団地のようでがこっちの方が治安が悪いんだとか。
こちらには青年国宅社区という団地があります。こちらも公営住宅なのでしょうか。若い世代もいますが青年と冠している割には高齢者が多め。まさに高齢化社会台湾っていった感じです。
青年住宅を抜けた先には雙和市場という市場があります。地元密着型の市場でフルーツや野菜を扱っている露店が多くあります。
その裏手に団地があります。この付近は台北の中心地から近くて便利な場所で駅まではそこまで離れていないし市内はバスが発達しているので交通難民になることはありません。住みやすい場所だから人気なのでしょう。なんとなく下町の雰囲気があります。
こちらは萬華区にある福民平宅です。
ただの団地巡り。
福民平宅は現在新しく建て替えられているようです。こちらの団地もスラムクリアランス事業により建てられました。以前まではスラム街のような場所だったため疎外されていた地域でした。そのイメージを払しょくさせるため17階建てのマンションを建設しているんだそう。出来上がるのは2026年の予定なんだとか。
団地巡りってクソみたいな観光ですが、日本ではなかなか味わえない建物が見れました。
日本とはちょっと違った作りの団地を見れるのはよいですよね。台湾の住宅には鉄格子で囲われたベランダのようなのをよく見かけますが、あれは違法建築で作られたもののようです。この生活感があるのは団地でしか味わえないです。
日本と同じように戦後に増えた公営団地。もともとはスラムクリアランスで建てられたわけですがその役目を終え日本と同じように高齢化社会に向けた団地づくりになっていくのでしょう。