同性婚が認められた虹色の街 哈日族が多い台湾の渋谷「西門町」
本日は台北市万華区にある商業地、西門町に来ております。日本統治時代に歓楽街として整備された西門町。その当時は浅草のような場所だったようで映画館などの娯楽施設が複数あったそうです。
現在の西門町も10軒ほど映画館が残る電影街。
戦後も映画館が増え続けましたがデパートや商業施設が増え現在の繁華街になりました。今は台湾で一番有名な歓楽街となっており、台北の渋谷や原宿と呼ばれるようになりました。
いわゆる若者の街で文化の発信地になっているようです。
ちょうどこの辺りが中心地。渋谷の駅前を小さくした感じです。
日本語を結構見かけます。雰囲気は渋谷というよりどちらかというと池袋要素が強めです。どうやら西門町は哈日族って人たちの聖地となっているようです。
哈日族とは日本の大衆文化を好む人たちのことを指すようで、服装だけでなく音楽やアイドル、アニメなどの日本の流行に興味を持つ若者世代を指す言葉なんだとか。要はジャニオタ、ドルオタ、アニオタ。
私はそんなことを一度も思ったことないですが、社会一般的にはキモイと言われる人たち。そんなキモオタ系の人たちが集まる場所なのでしょう。
街中には二次元のキャラクターが描かれています。アニオタが好きそうなキャラクターが描かれていますが、こちら神様を二次元化したようです。林黙娘ってのは海運の神様である媽祖様の別名。
左側の女子高生は日本の漫画「ばくおん!!」のメインキャラクターでホンダのバイク乗り「佐倉羽音」。
こちらはヤマハ乗りの「天野恩紗」。どうやら「ばくおん!!」では台湾編ってのがあったようでそれのコラボだったようです。このように日本が街中に溶け込んでいます。
台湾は比較的親日の人が多いようです。歴史的な背景から反日感情を持つ人がおり、また戦後から戒厳令が解除される1987年までは反日教育が一般的でしたがそれ以降の人たちはそのような教育を受けていません。その当時日本のバブル絶頂期、東アジア唯一の先進国だった日本の文化は最前線と考えられていたのでしょう。日本から多くの文化が台湾に行きました。
グラビア雑誌、エロ本、エロビデオ、エロアニメ。
日本のエロビデオが台湾の若者の性を歪めたといっても過言ではありません。哈日族がいる街に溶け込むアダルトショップ。まさに日本といった感じ。
こんな感じで西門町は日本っぽいところがあります。台湾の渋谷であり台湾の原宿。そして台湾の池袋であり台湾の秋葉原といった感じでしょうか。さらには台湾の新宿的なところのあるようです。
繁華街の中心地。路上の色が虹色です。どうやら西門町はゲイタウンの要素もあるんです。
台湾の新宿ではあるけど、だいぶ局所的。
そもそもこのあたりは「漢中街」です。おそらく「かんちゅう」なんだと思いますが「漢」の字が「おとこ」とも読めなくない。
こちらは西門紅樓です。1908年日本統治時代に建てられた建造物です。当時は公設市場だったそうですが戦後は劇場になり、現在は商店が入っています。西門紅樓の南側がゲイエリア。夜になると露店の飲み屋街になるそうですが、オープンタイプのゲイバーが軒を連ねるそうです。
付近にはレインボーフラッグを掲げる店が結構あります。二丁目ほど店舗はなさそうですが、二丁目ほど秘匿性はなくオープンな店が多め。このようにオープンでいられるのは同性婚が法律で認められるようになったからです。
台湾は日本と同じ同性婚は認めないものの同性愛に関しては法律で規制されていませんでした。しかし社会秩序維護法で風紀を乱す行為として同性愛者が逮捕される例がいくつもあったようです。日本でも公然わいせつでハッテン場が摘発されていますがそれに近い感じでしょうか。
1997年、この公園近く事件が起きています。こちらの公園はかつてゲイのハッテン場だったようです。記した通り同性愛に対して国が寛容ではない時代。出会いの場も限られていたのでしょう。日本でいう新宿中央公園のようなところでしょうか。同公園は深夜になると閉門するため、閉門後は公園近くの常徳街がゲイのたまり場となっていたそうです。しかし社会秩序維護法によりその場にいたゲイ50人を逮捕されたそうです。
同性愛に対し厳しい態度をとってたのはHIVの蔓延が理由でしょう。1990年にはタイでHIV感染者が増え始め、その後アジア各地に広がりました。台湾も1990年代後半にはHIV感染者が増加したようです。その当時は死の病と呼ばれたエイズ。それを防止する目的だったのでしょう。
この検挙事件があった後もたびたび同性愛者がやり玉に挙げられたそうです。
事件があった公園は二二八和平公園ってところ。台湾が中華民国に接収された際に住民が蜂起した場所でした。
自由の象徴である公園は同性愛も受け入れませんでした。
でも現在台湾は同性婚が認められています。2017年に同性婚が認められないのは憲法違反と裁判所が判決を出したことで2019年5月より同性婚が認められました。当初は国際結婚の場合は相手国の婚姻制度に準ずるとされていましたがそれもなくなり、日本人と台湾人の同性結婚も認められるようになっています。唯一中国だけは手続き上の関係で対象外となっているようです。
現在、台湾の同性婚カップルは1万組以上。毎年2000組ほど結婚しているようです。男性カップルよりも女性カップルの方が多く、7割が女性なんだとか。女性の方が婚姻に対し憧れを持っているのか、それとも台湾社会が女性一人で生きづらい環境なのか。
日本も近い将来同性婚ができる日が来るのでしょう。偽装結婚の問題もありますが、現在も偽装結婚は存在します。その理由だけで人権を締め付けるのは正しくないでしょう。
新宿二丁目が、東京にある西門町と呼ばれる日が来るかもしれません。