山林生活

それは命のトリアージ。姨捨で伝わる姥捨伝説

それは命のトリアージ。姨捨で伝わる姥捨伝説

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デンデラという映画をご存知でしょうか。
元々は小説だったものが2011年に映画化されました。つまり10年以上前の映画です。

映画の内容は姥捨山伝説がテーマ。
村の掟で70歳を過ぎると老女は山に捨てられていたが、捨てられた老婆は山で生き続けデンデラという共同体をつくり、村への復讐を目指す話です。ただ途中から少し様子がおかしくなり、熊が出てきたりしてよくわからない方向に。そう、この映画は復讐劇ではなく、熊とおばあさんたちが戦うバトル映画なんです。

登場人物も豪華。主役は浅丘ルリ子さんで、草笛光子さん、倍賞美津子さんも出ています。老婆のお話なのでベテランの名女優。若干B級映画っぽさを出してるんですが、演技力でそれをカバーしてるんです。

私は以前から姥捨伝説について色々とみてきました。最初に興味を持ったのは深沢七郎氏の短編小説「楢山節考」でしょうか。舞台は現在の山梨県笛吹市。

【山梨の桃源郷】風紀の乱れていた石和温泉の現在
【山梨の桃源郷】風紀の乱れていた石和温泉の現在

本日は石和温泉にいます。 山梨は定期的に来ており、ここ石和温泉にも泊まったことがあります。石和温泉はコ

笛吹市は先日宿泊した石和温泉のあるところですが市の北側は山深い土地となっており、かつては貧しい場所だったようです。実際に棄老といった行為があったのかは定かではなく、作者もソレをみたわけではないようですが、山梨の山の中って聞くと口減らしのためにそういったことが行われていたとしても何ら不思議ではないです。

棄老伝説は小説で知り、映画「楢山節考」もそれで知りました。こちらにも若かりし頃の倍賞美津子さんが出ていました。ちなみに「デンデラ」の監督である天願大介さんは映画「楢山節考」の監督今村昌平さんのご子息なんだとか。

棄老伝説ってのは各地にあり岩手県遠野市にはデンデラ野と呼ばれるところがありそちらでも姥捨て山の話があります。そして信州にも同じように姥捨て山の伝説があるそうです。

松茸か、松茸以外か。

雑きのこって書かれています。長野は山深く、キノコがたくさん獲れるんだそう。とくに松茸の産出量は岩手に次いで全国二位。そんなわけで信州のこの辺りでは松茸以外は「雑きのこ」って呼ぶんだそう。たしかに東京で見るよりも大きな松茸が安い値段で売ってました。松茸がその辺にごろごろ生えているなら、それ以外は雑きのこになりますよね。

千曲川を背にして山を登った先に駅があります。こちらは長野駅から松本・塩尻を結ぶ篠ノ井線です。

名前は「姨捨駅」です。

姨捨駅から直線で北に4kmほど離れた場所に冠着山という山があります。こちらの山が通称「姨捨山」と呼ばれているんだとか。「姥捨て」ではなく「姨捨て」です。でもここにも棄老伝説があるそうなんです。

伝説では以下のような話となっています。

この地域を統治していた殿様は年寄りが嫌いなため、「60歳を過ぎたら山に捨てること」と決めたそうです。とある男性が60歳になった自分の母親を姥捨て山に捨てようとするも、それができずに家に連れて帰りずっと隠していたそうです。その後しばらくしてとあることがきっかけに国が窮地に陥りましたが、その際に唯一生きていた母親の知恵が役立ち、それにより国が救われました。そのためその国では以後姥捨てはやめ、老人を大切にするようになった。

諸説あります。

親や老人は大切にしなさいと言うよくある仏教噺です。

姨捨山の由来は小長谷部氏という士族の名前が由来のようなんです。「おはせべ」が転訛して「おばすて」となったそうです。まぁわざわざばぁさん捨てる場所に直接的な姥捨てや姨捨なんて名前を付けるはずがないでしょう。

ただ、信州の山奥。口減らしのために人が捨てられてはいたのでしょう。

品種改良、高品質な肥料、天気予報など、現在では農業をやりやすい設備、また器具や知識が溢れています。自然の力には勝てないものの、台風などの災害がない限りは作物は育てやすくなりました。しかし江戸時代のころの農業は大変だったのでしょう。豊作になるか凶作になるかはお天道様次第。それが分かるのは秋になってから。冬場は雪深く何も育てられないので家でじっとするしかないのでしょう。秋に収穫したもので春まで過ごさなければならないため、どれくらいの持つのかを計算するのでしょう。
人一人減れば6か月分の食事が浮くんです。
凶作の時、口を減らす手段を取るのでしょう。その際に行われる命のトリアージ。
病人、けが人、そして役立たなくなった老人。とくに高齢女性は働き手にもならず、穀潰しなんです。そのため仕方なく捨てる手段を選択したのでしょう。老人は大切にしようと思っていても、命の選別をしなければ共倒れとなる世界なんです。生きるため、種の保存のために最善の選択をしただけです。

昔は人間もこのように自然のサイクルに含まれていたんです。

では今の時代はどうでしょう。
本来の自然のサイクルを無視した結果が高齢化社会となりました。江戸時代では捨てられるべき人たちが、鼻に管を通して生き続けているのです。そんな自然のサイクルと反した世界をずっと続けていれば、いつかは破たんしてしまいます。先日、年金の支払う期間を5年延長する議論がされ、法改正に向けて動き出しているようです。

私は思うんです。もうそろそろ命の選択を出来る世の中にしてはどうかと。長生きしたいと思う人もいれば、金銭的余裕もなく老いによる身体の痛みによって辛い生活を強いられている人もいるでしょう。かといって自分で命を絶つのは楽ではありません。

気軽に命が絶てるのであればなんてすばらしいシステムなんでしょうか。老後のことを考えない選択。こういうのも基本的人権なんじゃないでしょうか。

まぁそんなに死にたきゃ勝手に死ねってことなんでしょうが、年金をこねくり回すよりも令和版姥捨て制度を成立させた方がよいですね。

ちなみにそれに近い映画が今年の6月に公開されました。PLAN75という映画で高齢化社会の解決策として75歳を過ぎた人に対し生死の選択権を与える制度のある世界のお話です。いわゆる現代版の棄老制度。まだ見てないので映画館に行くかDVD化したら見るつもりです。ちなみに主演は倍賞千恵子さん。

倍賞姉妹は姥捨伝説となんか関係が深いようです。

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