ここは千葉のスリランカ「山武リトルコロンボ」
2020年東京オリンピック、いや、2021東京オリンピックではグローバル推進や地域の活性化、観光振興などに資する観点から参加国との交流を図るため地方の都市をホストタウンとして登録する取り組みがありました。
ホストタウンとなった地方都市は大会前後に参加者選手と交流したり、相手国からゲストを招き、お互いの文化や歴史を知るなど、他国との結束を深めるイベントを行ったそうです。
例えば山形県村山市ではブルガリアのホストタウンとなり、ブルガリア新体操チームの合宿を受け入れました。サクランボ狩り体験などを実施し、選手たちと交流を深めたそうです。
スポーツを通じて諸外国と交流を深める。すばらしい取り組みではないでしょうか。これがきっかけで姉妹都市となったり友好都市となったりするケースもあるのでしょう。ホストタウンは全国で462件登録されたそうです。
本日は山武市に来ております。山武市もホストタウンとなったようで、その国はスリランカでした。
ちなみにずっと「さんぶ」市だと思ってたんですが、「さんむ」市なんですね。「やまぶ」でもなく「さんむ」なんです。
「ぶ」ですらねぇ。
今日初めて知りました。
こちらは町内にある葬儀関連の店の看板。
やっぱり「さんぶ」じゃねーか!
「さんぶ」と呼ばれていた時期もありましたが、現在は「さんむ」になったようです。どうやら市の名前の由来は山辺郡(やまべ)と武射郡(むさ)が合併した際に頭文字をとったそうです。
じゃあ「やまむ」じゃねーか!
千葉の地方都市である山武市。一応東京都市圏に含まれますが都心から70kmも離れています。都内まで通えない距離ではないが通いたくない距離。都会田舎ではなく田舎でしょう。でも海も近いし緑もある。都内で仕事をしないのであれば、悪い場所ではなさそうです。中途半端だけどその中途半端がちょうどよい。移住先として候補に入れたい場所です。
しかし山武市の人口は現在46000人ほど、高齢者の割合は37%で消滅可能性都市となっています。
これは山武市に限ったことではなく、東金市や八街市など、千葉のこの辺りは総じて消滅可能性都市となっています。市町村合併の話も出ているのでしょうが、山武市は独自路線で人口増加を目指しているようです。
一面畑です。山武はイチゴが有名ですが、イチゴはハウス栽培なのでこちらは別の作物。千葉県といえば落花生です。ちょうど収穫時期だったようで落花生を乾かしています。
そしてニンジン畑が多いです。千葉県は北海道に次いで人参生産量が二番目に多い地域。人参は二期作で、冬場の出荷量は千葉が一番なんだそう。そのためこの界隈は人参畑が目立ちます。人参の生産地を意識したことがなく「まぁ、北海道か茨城やろ」くらいで考えていましたがそうではないようです。
このように山武は畑が多くあり、日本の古き良き風景を楽しめる場所です。
でも反対側は日本っぽくない店があります。こちら、スリランカ料理屋です。山武にはこのようにスリランカ料理や食材店が点在しているようです。
2013年は50人程度だったスリランカ人が、現在750人まで増えているんだそう。ちなみに山武市の外国人登録者数は1600人です。
つまり山武市はスリランカ人が半数を占める「リトルスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ」なんです。
そんなリトルスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテである山武。スリランカ人が増えた理由はいくつかありますが、一番の理由はオリンピックのホストタウンとなったことでしょう。スリランカ人に山武市が認識されたことで、リトルスリ・ジャヤ...リトルコロンボに来る人が増えたのでしょう。
もう一つの理由はスリランカの経済危機です。
スリランカは借金の返済が滞り経済危機に陥りました。その後大統領は国外逃亡。国が破たんしました。新たな政権を樹立し再建に向けて歩みを進めていますが、インフレ、物価高、景気低迷と市民の生活は依然苦しいままとなっています。将来性の無い国内にいるよりも、海外の方が稼げる。そのため国外脱出をする人が増えているようです。
しかしデフォルトを起こしたスリランカの通貨では渡航資金を用意するのは難しく、逃げたくても逃げられない状態のようです。
でも、世の中は捨てたもんじゃないです。
日本への入国から仕事の斡旋まですべてやってくれるお助けマンがいるのです。どのような組織の人なのかは存じませんが、そういう人を通して日本に入国してくる人もいるのでしょう。
そして山武リトルコロンボにスリランカ人が多い理由は、仕事があるからなのでしょう。
先日、四街道市に行きました。四街道はアフガニスタン人が多くいるリトルカブールでした。アフガニスタン人が多い理由は四街道に働き口があるため。四街道は佐倉市と並ぶヤードタウン。ヤードとは自動車解体施設です。鉄くずや自動車部品を海外に運ぶための中継地点のような場所で、そこでアフガン人が働いているようです。
山武も同じようにヤードがある地域のようです。
スリランカから来た人たちは山武市内のヤードで働く。このようにして山武市は人口増加を目指しているようです。最近はスリランカルーツの子供も増えているようで市内の小学校ではスリランカの子供が一割になってるそうで、人口増加に一役買っているようです。
こちらは市内にあるモスクです。
日本の宗教は仏教と神道で95%を占めます。モスクはイスラム教信者の多いスリランカ人にとって必要不可欠な施設なのでしょう。
でも、スリランカ人、イスラム教徒少ない。
インドの南に位置するスリランカ。
場所柄ヒンズー教なのかと思ったら、国民の7割が仏教徒。ヒンズー教は15%でイスラム教徒は7%。8%のキリスト教よりも少ないようです。
でも、少数派にこそ神の手を。
国が窮地に立たされた時、いちばん被害に遭うのは少数派の人間です。国民は平等というのは平時に限る話で、国が窮地に立たされればそれは破たんします。国が傾けば「トリアージ」によって淘汰される人々がいるのでしょう。仏教、次いでヒンズー教の多い国ではイスラム教の居場所がないと考えるのが妥当です。
そのためスリランカを出国した人の多くにムスリムがいるのは至極当然のことなのでしょう。
この辺りは飲食店が結構あるようです。スリランカ料理とか食べられるんでしょう。南アジアのスリランカ。インドに近いため南インド料理っぽいやつなんでしょう。そしてオランダに支配されていた時期もあったことからその影響も受けているようです。そしてムスリム文化、さらには日本の文化も入り混じり、山武では新しいスリランカ料理が食べられるのです。スリランカ料理なんて食べる機会もないので、ここで食べるべきですよね!
全然スリランカじゃない。
スリランカ人は多いけどスリランカダケジャナイ。
このあたりはパキスタン色が強めです。
どうやら山武市には様々な外国人がいて、それに合わせたお店が結構あるようです。店っていうよりプレハブみたいなところもありました。
仏教国のタイ食材店もありました。
もう何でもありの山武市。これらを見る限り、スリランカ人は多いようですが、そもそも外国人が多くいる地域のようです。
外国人が多い街になりつつありますが、地方創成にはこの形しかないのでしょう。ヨーロッパでは1割が移民のようです。山武市の外国人割合はおよそ3%。日本全国の割合よりは少し高めの数値程度ですが、ヨーロッパに比べるとまだまだ少ないです。感染症により一時的に落ち着いていましたが、今後は徐々に増えていくのでしょうね。
千葉にあるスリランカ。
今回は営業前だったので食事はできませんでしたが、ここに来れば本場のスリランカ料理が食べられるのでしょう。現状ではスリランカに行くのは不安でしかありません。安全にスリランカ料理を食べるのであれば、山武市に行くのがよいのではないでしょうか。私も次に山武リトルコロンボに訪れる際は、スリランカを満喫します。
次があるかわかりませんが。