【西の最果て】百合ヶ丘探索。松葉浴場、洋食レストラン「フローラ」へ
川崎は七つの区で成り立っております。川崎区、幸区、中原区、高津区、宮前区、多摩区、そして麻生区です。大きく分けると川崎、幸、中原が川崎南部、それ以外を川崎北部で分けられ川崎市の38度線があるのは第三京浜あたりでしょうか。北部と南部では文化も違えば考え方も違う。同じ川崎ですが別の国なのです。
本日は麻生区にある新百合ヶ丘にきております。
麻生区は歴史が浅く40年前に多摩区から分区してできました。
「奴は川崎七大区の中でも最弱」なんです。麻生の読みは「アサオ」ですが、地元住民、近隣住民からは「アソウ」と呼ばれています。私もずっと「アソウ」だと思っていて今でも「アソウ」が定着したまま。「アソウク」で打ってもなぜか変換できない事態になります。
ウィキペディアの情報では駅前にパチンコ屋が一軒しかないとのこと。風俗営業を厳しくしてクリーンな街づくりを目指しているのでしょう。品の無い店は排除して綺麗な街へ。そんなわけか人口比率も女性が多いんだとか。女性が多いから“百合ヶ丘”ってわけではないようです。
新百合ヶ丘はキレイな街並みです。しかしきれいな世界では生きていけない性分。新百合ヶ丘は税務署に用事があるときに来る程度。そんなわけでこちらではなくお隣の百合ヶ丘駅に向かいます。新百合ヶ丘駅と百合ヶ丘駅。単純に新しい方に「新」がつくのでしょう。つまり百合ヶ丘駅の方が古いわけです。そっちの方が居心地がよさそうです。
駅前にパチンコ屋が一軒しかないのが麻生区の良いところ。しかし百合ヶ丘駅には二軒のパチンコ屋があります。
また麻雀店も駅前にあるようです。まるで「新百合ヶ丘駅以外は麻生区として認めない」とされているような感じ。まぁでも他の地域とは違って少ないようです。パチンコ店が無ければ性風俗店もすくないのでしょう。基本的に住宅街なのでその手の店はありません。あってもチャイナエステ程度でしょうか。
そもそも百合ヶ丘自体が出来たのが遅く、昔は緑豊かな多摩丘陵だったのでしょう。関東の人口増加に伴い山を削ってできたのが百合ヶ丘なんだとか。百合ヶ丘の名前の由来は諸説あるそうですが、植物のユリが由来っていうのがもっぱらの定説ですが、「100人が力を合わせた」という説もあるようです。たかだか60年前のことなのに名前の由来が定かでないってのは適当過ぎますね。
本日百合ヶ丘に来た理由は銭湯に入るためです。
先日新丸子にある銭湯に行きました。
昼からのんびり風呂に浸かるというものはいいもんです。スーパー銭湯だと1000円以上かかりますが公衆浴場であれば500円程度で入れるんです。500円とコーヒー牛乳代だけあれば幸せになれて身体も清められるなんて素晴らしいじゃないですか。そんなわけで銭湯巡りをしたくなったわけです。
川崎には35の公衆浴場があるんだそう。以前には川崎区にある「なかじま湯」にもお邪魔しました。35であれば全店制覇もできそうじゃないですか。
35の銭湯があるっていってもほとんどが川崎南部側です。北部には今日行く店を合わせて3軒しか銭湯がありません。
昔は各駅ごとに銭湯があったのでしょう。時代とともに生活スタイルや居住空間が変化、風呂無しアパートはなくなり銭湯に行く人も減ったのでしょう。後継ぎがおらず閉鎖した銭湯もかなりあるようです。いつなくなるかわからない。そのため今のうちに制覇したいと思い、まずは最果ての百合ヶ丘にある銭湯に来ました。
百合ヶ丘駅から徒歩10分くらいのところにある松葉浴場です。
住宅街のど真ん中にある銭湯でこのあたりは60年ほど前に開発されたところです。松葉浴場も1961年開業。開発された当時からある銭湯です。百合ヶ丘団地がありそのころはこのあたりも栄えていたのでしょう。商店街のようになっていたんだと思います。現在はこちらの銭湯と数軒の飲食店のみ。日中はかなり静かです。
開業して60年。だいぶ年季が入っています。おそらく夜になれば光るであろうネオンサイン。昭和の雰囲気があります。
お風呂のほかにサウナもあるようです。本日はサウナも楽しみたいと思います。
脱衣所はそこまで大きくありませんが洗い場はかなり広いです。脱衣所が狭い分洗い場と湯舟を広くとっているのでしょう。湯舟は細かく区分けされていて座風呂や気泡風呂あとはラドン風呂も。夏季限定ですが露天風呂もあるようです。
あと大好きな電気風呂もありました。松葉浴場の電気風呂は結構強めです。強めというより風呂のサイズが小さいため電極が近いんです。普通の電気風呂ならば電極と身体の距離で強くしたり弱くしたりできるのですが、こちらでは“強”のみです。
健康のための電気ではなく罰ゲームに近い状態。
でも続けていると、それが良い感じになります。結局は慣れなんでしょう。初見を受け入れないところ。これも街の銭湯らしさです。
その他の湯舟の温度は比較的低いです。ラドン風呂は40℃。高温と書かれている気泡風呂も42℃程度。健康的な温度です。
新百合ヶ丘は現在も宅地開発が進められ、若い世代の流入も多い地域ですが百合ヶ丘のあたりは60年前に開発が始まっています。近くにある多摩ニュータウンも50年ほど前に開発されました。多摩ニュータウンは住民の高齢化が顕著のようですが、百合ヶ丘も同じように高齢者が多くいるのでしょう。湯舟の温度が低く設定されているのは高齢者に合わせたものなのかもしれません。
今日はのんびりしたいのでサウナ費用も払いました。サウナ込みで700円だったと思います。
しかし今のご時世密室はあまり好ましくありません。高温多湿なのでウイルスは生き辛い環境なのでしょうが、狭いサウナで密になるのはよくないでしょう。実際に銭湯の入り口では「黙浴」と書かれていました。
風呂には静かに入るもの。誰にも話しかけず、鼻歌も歌わず、水の流れる音を聞き静かにするというのが基本です。でもいるんです。話しかけてくる人とかが。
公衆浴場は社交場という側面もあります。
皆が身一つ、刀も筆も持たない環境です。風呂場では役職や身分は関係なく皆一律平等なわけです。そのような環境なので老若問わずに話せる場なのでしょう。
「にぃちゃん、どこから来たんだい??」って話しかけられることもしばしばあるんです。
もちろん話しかけられれば無下にはせずに対応します。話すことでこの街のことを知れる機会にもなるわけです。この後一緒に飲みに行くかい?みたいに発展することも。
でも今は黙浴の時勢。喋らず黙々とサウナに入るのが良しとされています。話すことで周りに迷惑をかける場合もあるわけで、つまり静かにじっとしている時期なわけです。
「にぃちゃん、どこから来たんだい??」
これが川崎の民度ってやつです。
お伝えした通り川崎は南と北で人種や文化が違います。治安が悪いなどと言われることがありますがそれは南部側。正しくは南部は治安が悪く民度が低い、北部は治安はよいが民度が低いです。
話しかけてきた人も悪気があったわけではないのでしょう。それがいつものことなのでしょう。静かなサウナ室を少しでもにぎやかで楽しい場所にしたかったのかもしれません。でもそれ、今じゃないです。
こんな時期にサウナに行くこと自体頭がおかしいという部分は認めますが、あたまがおかしいなりに最低限のことはしたいわけです。結果的にサウナは数分で出ることになりました。
夏場は露天風呂があるそうです。今度は夏に来てみたいと思います。
これで川崎の銭湯3つ目を制覇。北部にはあと二軒あるのでそちらも近々回りたいと思います。
さて、身体も清められたので食事にしたいと思います。
松葉浴場のそばに飲食店がありました。昼営業もしているようですが本日はお休みのようです。そのため駅の方に戻ります。出来れば古くからある店に行きたいですね。
百合ヶ丘は山を削り作られた街っていいましたが、削ったわけではなく起伏の激しい土地です。階段や坂が多い場所。年寄りにはしんどいですね。また開発から60年経つため古い建物は壊され、新しいマンションが出来ています。
こちらの奥にあるマンションは少しばかり曰く付きの物件です。
元々こちらは神社本庁が所有していた土地だったんだそう。神社本庁がD社に1億8000万円で売り、同日中にD社がA社に2憶円以上で転売。そしてA社はB社に3憶円以上で転売したんだとか。それを内部告発した人は懲戒免職。現在でもこの問題は解決しておらず係争中のようです。
調べたところこの土地は不動産鑑定書では1億6300万円と評価されているんですが、近隣の土地評価額から算出すると3憶1000万円程度。神社本庁からD社に売った金額は鑑定書に基づいたものだけれどもB社に売った金額は近隣の土地の価格になっています。なんだかきな臭い話ですね。
この問題を機に神社本庁から脱退する神社もでているんだとか。
神社本庁の資金源は全国八万社ある神社からの“上納金”で成り立っているわけです。本件の不動産についても元々は地方の神社が“シノギ”で稼いだお金で成り立っていたわけです。本庁の私利私欲で使われているのを知ったのならば足を洗いたくもなるでしょう。盛者必衰。宗教に対する考え方も変わっていき今後神社本庁は衰退していくのかもしれませんね。
話がそれてしまいました。このお話はまた今度ということでご飯屋さん探しです。
百合ヶ丘の駅前は小さな商店街となっています。昔は結構栄えていたようですが、新百合ヶ丘の方が店も多くそちらに取られているのでしょう。徐々に縮小しているようです。
今年はそれにもまして感染症により商店街のお客さんも減っているのでしょう。百合ヶ丘でも店を閉めたところもあるようです。
本日行くお店は駅の近くにある洋食レストラン「フローラ」というお店です。同店は1965年創業、百合ヶ丘が出来てから5年後にオープンしたそうです。65年創業って聞くとそこまで古く感じないですが55年前から営業してるんですよね。同じ仕事を続けられない身としては同じ場所でずっと続けている店はすごいと感じてしまいます。実際にすごいことです。
普段であれば昼営業している居酒屋に行くのですが今日は趣向を変えて洋食屋さんへ。こういうところはナポリタンかハンバーグかその辺を頼んでおけば間違いありません、無難にランチセットのAを頼みました。ただとなりに座っている初老の男性が昼からビール頼んでるんですよ。
それにつられてしまいました。風呂上がりのビール、最高です。
ハンバーグと海老クリームコロッケ。普段茶色っぽいものしか食べていませんので彩りが美しくみえます。
ハンバーグは下味もしっかりしていてデミグラスソースも濃い目の味付け。ご飯がすすみます。
こういうのでいいんだよ(こういうのでいいんだよおじさん)
麻生区内でちょっとヤバそうなところを探したかったのですが、そのようなところはありませんでした。ごく普通の街。新宿にも出やすいので住みやすいのでしょう。
川崎の西の最果てである麻生区百合ヶ丘。「次回は新百合ヶ丘へ!」と言いたいところですが新百合ヶ丘の方が個人的に何もありません。麻生区は今回が最初で最後っぽいですね。でも何か面白そうなところがあればまた訪れたいと思います。