中国残留孤児の街からインド人街へ 西葛西は世界で一番東にあるインドだった
香辛料を使って料理を作る。最初の頃は時間をかけて作っていましたが慣れてくると短時間で料理が作れるようになりました。出汁に香辛料に塩気。これだけで美味しいものが作れます。缶詰の中身を鍋に入れてニンニクとショウガ、それにマサラを入れて塩で味を調えればカレーが出来上がるんです。
缶詰は鯖缶とかでも作れるんで簡単です。調理時間は10分程度です。
カレーって時間をかけるものだと思っていましたが全てのカレーがそういうわけではないんです。煮込みカレーは時間をかけると深みが出ますが、こういったチープなカレーは短時間で作れるんです。お茶漬け的なやつでしょうかね。
こんな感じでカレー作りにはまっているのも昨年インドを目指していたからです。
ミャンマーから陸路でインパールへ向かう予定でした。
しかし予定通り進むことができずインド行きは失敗。
さらにはコロナウイルスの影響で取得したビザは廃止となってしまいました。現段階でも入国は困難な状況。
再度ビザの取得が必要だし、そもそも感染症の影響で海外に行くことすらできない状況です。
そんな折、日本に世界で一番東にあるインドがあるという情報をキャッチしました。
ということで行った先は西葛西駅です。
東西線西葛西駅。このように書くと「西」ばかり出てきます。そして西の読み方もザイ、ニシ、サイと全部違う。英語で「g」を読まない単語があるからわかりづらいなんてことを言いますが、日本語こそ意味が分からないことが多すぎるのでしょう。私たちは慣れてしまっていますが、外国人からしてみれば理解するのが大変なんでしょう。
そんな外国人泣かせの地名の西葛西ですが、ここ、外国人の街なんです。
西葛西ときいてイメージするのは何でしょうか。今ではとくに問題は無いですが一昔前は足立区北区と同じように治安の悪い地域という印象がありました。
このあたりは準暴力団、半グレ集団の怒羅権が結成された地なんです。
怒羅権とは中国残留邦人の2世や3世、そして中国人らが構成している準暴力団です。
チャイニーズドラゴンなんて呼ばれ方もしています。
第二次世界大戦末期、日本が統治していた満州国にソ連が宣戦布告をしました。その一週間後に終戦を迎え、当時満州にいた人たちは取り残されることに。翌年の春から在留邦人の引き上げは開始されたものの1958年には引き上げ終了としたため全ての人が日本に帰ってきたわけではないそうです。
その後日本と中国の国交が正常化され、終戦から36年経った1981年に日本人との血縁関係のある残留孤児を日本で引き受ける形を取ったそうです。
しかし日本人と血縁関係があるといっても育ったのは中国です。日本の文化もわからず、日本語もわからないそんな環境に馴染めない彼らたちはいじめの標的となったそうです。結果的に隅っこに追いやられたのでしょう。
やられたらやり返すといわんばかりに徒党を組みいじめてきたやつに仕返しをするために残留孤児たちが手を組んだのがはじまり。自分たちの組織するチームを「怒羅権」と呼び、コミュニティを作ったんだそうです。
しかし若い人が集まれば悪いことも考えます。その結果当初の目的とは変わり、暴走行為や恐喝、傷害事件へと発展したのです。
昔は学生が江戸川区を歩いていると突然絡まれてカツアゲされる、鼻に割りばし突っ込まれて掌底打ちをされるなんてウワサもありました。現在準暴力団と指定されており、過去には歌舞伎町で日本刀でヤクザの腕を切り落としたなんて事件もあったのであながち嘘でもないのでしょう。そんなわけで葛西の印象はあまり良いものではありませんでした。
西葛西の駅前に子どもの広場という公園があります。
こちらが怒羅権結成の場所なんだとか。中国人にとって神聖なものであり想像上の動物なのに身近な存在である龍を組織の名称にしたのは中国人のアイデンティティの確立と龍とかドクロとか未成年における中二病的発想からこのような名称にしたのでしょう。
ちなみにこちらの公園は通称「恐竜公園」と呼ばれています。ドラゴンっぽいのがいるのですがこれが名付け親で無いことを祈っています。
なぜここが結成の場なのかというと中葛西に残留孤児の一時入居施設があったからです。
現在はその施設は障害者支援ハウスとなっています。
そんなわけで昔のように西葛西は荒れてないようです。
残留孤児に関しては生活保護不正受給などの問題を抱えていますが、そのあたりの話をするとかなり深く、ヤバそうな話に発展してしまうのでそれについてはまた別の機会にしたいと思います。
話が逸れてしまいましたが西葛西に来たのはインドを求めてやってきたのです。
以前は中国残留孤児でしたが現在はインド人が多いんだとか。
西葛西はリトルインディアと呼ばれており現在インド人が多く住んでいるそうです。日本全体のインド人の外国人登録者数は38000人(2019年)ほど。江戸川区には4148人のインド人が住んでおり、その多くが西葛西に住んでいるんだそうです。西葛西の人口は45000人なので約一割がインド人ってことのようです。
インド人が多くなったのは90年代後半、2000年問題があったためです。インド人は二桁の掛け算を暗記している、インド人は頭がよくエンジニアを多く輩出しています。2000年問題の対応のためビザの発給を緩めた結果、インドから技術者が来日したんだとか。
来日するのは高学歴のインド人。しかもエリート駐在員。しかし日本人からしてみれば発展途上国から来た人としかみてくれません。インドってガンジス川で死体が流れている横で水浴びしているイメージがあり、どちらかというと劣悪な環境のインドの印象が強いのですが皆が皆そういう生活をしているわけではありません。日本に来て働けるということはそれなりの地位のある人なのです。でも日本人の考えるインド人は悪い印象しかない。そのため部屋を貸してくれるオーナがおらず住居を探すのも困難だったそうです。
いまですら外国人お断りという賃貸がある世の中です。20年前はもっと酷かったのでしょう。
そんな住まいの確保に悩んでいたインド人に手を差し伸べたのがそれより前から日本に住んでいたインド人だったそうです。その方が尽力して「インド人嘘つかない」と言ってまわったおかげでインド人を受け入れてくれる不動産業者が西葛西に増えたんだとか。要はほかの地区だと受け入れてくれなかったが西葛西は受け入れ態勢が出来ていたので自然とインド人が増えたようです。このようにして西葛西はインド人のコミュニティができたんだそうです。
こちらが在日インド人の父と呼ばれる方が経営されている紅茶屋さんです。
未だにインド行っていないけど、チャイを作りたいので買いに来ました。
チャイ用の茶葉を購入。チャイに使う茶葉は細かいヤツが適しているのですが、この手の茶葉を取り扱っているところが少ないんです。チャイはほとんど粉製品でお湯を入れたらできるというインスタントのものばかり。でもここであればチャイ用の茶葉が買えます。これで今度自作してみます。
街中を歩いているとインド人っぽい人を見かけます。新宿でも多く見かけますが西葛西の場合は家族連れや子供を多く見かけます。
こちらのURに多くのインド人が住んでいるんだとか。基本的に来日して働いているインド人はエリートが多いです。その辺の日本人よりも教育がしっかりとされ、とくに不祥事が起こることもないのでしょう。ちなみに江戸川区議会議員に元インド人の方もいらっしゃいます。それだけインドとこのあたりは深いつながりがあるということです。
インド人によるインド人のためのインド食材店です。
香辛料は大久保でも買えますが、せっかくここにきたので買って帰ろうと思います。
購入したのは米とコリアンダーシード、マサラ、丁子です。レンズ豆も売っており、インド料理っぽいので買おうと思ったのですが調理方法が分からなかったので今回は買いませんでした。まずはスタンダードにこれらでカレーを作ろうと思ってます。
この手の香辛料をデパートとかで買うとかなり高いです。こういうところで買えば安い金額で大量に手に入ります。もちろんどこで製造されているかも不明だし、いつ作られたのかも不明です。透明の袋の中にそれっぽい粉が入ってるだけです。
街をぐるっと廻ってみましたがリトルインディアとはいうものの西葛西はそこまでインドっぽい感じはしません。もっとインド料理屋が軒を連ねている感じだと思ったのですがコリアンタウンのように主張はしていないです。
ただ駅前の商店街にはカレー屋が一軒もありません。
普通であればカレーのファーストフード店があるもんですがそういった店が無いんです。まぁ周りにインド人が多く住んでいる中で日本人がカレーで勝負することもないのでしょう。
駅から少しだけ離れると何軒かインド料理屋があります。正直どこの店がよいのかわかりません。
インド料理といっても南インドだったり北インドだったり地域によって味付けも違うのでしょう。インド=カレーになっていますが、カレーもいろんな種類があるわけです。
かといって調べるのも難しいのでなんとなく地図で見て近場のところを選んでみました。
日替わりカレーセットを注文。カレーを二種類選べて主食はナンかロティを選べます。ロティを選択しました。それにサモサってやつとサラダとラッシーが付いてきます。
カレーはレンズ豆のカレーとじゃがいものカレーです。
よく見るとロティは炭水化物、米もジャガイモもひよこ豆も炭水化物でした。そしてサモサというのはジャガイモに玉ねぎや肉を混ぜたコロッケのようなもの。要は炭水化物。
なんでいつもこんな感じで炭水化物ばかりになるのでしょう。
まぁでも美味しいんです。最近は家でカレーを頻繁に作っているのと外食も控えていたので外でカレーを食べる機会が減っていますが、このインドっぽい感じがいいですよね。インド行ったことないですけど。
この芋のカレーが結構うまいです。
しかし辛いんです。辛さは増量できるようですが辛さをおさえることはできないようです。インド人が作るインド料理、そして近隣にはインド人が多くいてその人たちも食べに来るのでしょうが、ここは日本です。1割はインド人ですが残り9割は日本人。さすれば出てくるインド料理も多少なり日本人向けの味付けになっているのでしょう。それでも辛いのであればやはりインドの食べ物はこれよりも辛いのがデフォなのでしょう。インド旅行でお尻が痛くなること間違いなしのようです。
極東のインド、つまり本当の東インドのつもりで訪れたのですが西葛西はとくに普通の街でした。でも今後もっとインドっぽくなるのかもしれません。近い将来荒川で水浴びする人が現れるかもしれません。
これまでコリアンタウンやチャイナタウンといったところには行ってましたがこんな感じで日本国内にも在日外国人の街が多くあります。埼玉の蕨市には“ワラビスタン”と呼ばれるクルド人が集まる地域があり、群馬にはブラジルタウンがあります。海外に行けない今このように日本国内でも海外旅行っぽいことができます。
横浜にはタイ人街があるんだそう。
ということはマッサージパーラーもあるんでしょうかね??そう思って調べたところ黄金町のそばのところでした。つまりアレの残りってやつのようです。
外国人街ができる理由は様々あるようです。