タイの蒸留酒「ラオカオ」はそのまんま泡盛だった
タイで飲むお酒といえばビールです。暑い日が続くときは氷を入れたグラスにビールを注ぐ。ちょっと薄いけどその薄味がちょうどよい。タイで飲むならラガーエールが一番です。でも、やっぱ違うの飲みたくなるじゃないですか!
ビールはおいしいけどやはりあれって水替わりなんですよね。酔うために飲む酒じゃないんです。
男には酔いたい夜があるんです。
ってことでこちらを購入しました。見た目からすると穀物を醸造蒸留した酒、つまり焼酎に近い酒です。
っていうより焼酎です。
焼酎の起源はメソポタミア文明のころ、中東のあたりで醸造した酒を蒸留したのが始まり。
蕨にあるワラビスタンのお店で飲んだラクという酒は焼酎の起源となる酒でした。アランビックという蒸留器を使って作られた酒はラクやアラックと呼ばれ中東から東南アジア、そして琉球へ。日本へは蘭引(らんびき)という名で伝来してきました。
沖縄の名産泡盛は13世紀初頭、タイから伝わりました。泡盛の原料は米ですが、日本米ではなくタイ米を使用しています。泡盛は沖縄原産だけどタイのお酒みたいなもんなんです。
逆に言えばタイで売っている焼酎は泡盛とほぼ同じってところでしょうか。これであれば日本人でも普通に飲めるのでしょう。ってわけで今日はこちらの酒を嗜みたいと思います。
こちらはラオカオというお酒。ラオはお酒という意味。カオは米または白という意味。カオの意味が米ならばまさに泡盛と同じです。白だとすると白酒になりますね。白酒といえば中国。もともとタイの蒸留酒は中国から伝来したのでそっち寄りの酒なのかもしれません。
度数は40度あるので結構高めです。ラオカオは庶民のお酒のようで現地の人はこれを飲んで酔うんだとか。ビールだと度数も低いし値段も高いですからね。日本でもビールではなく何とかゼロみたいなのが低所得者に人気です。安く飲めて早く酔える酒が低所得者に人気ってのはどこの国でも一緒のようです。
実際にタイでは洋酒が結構高いです。プロンポンは日本人街なので日本酒や焼酎、ジャパニーズウイスキーが売っていますがどれも結構いい値段がします。おそらく酒類にかかる関税がかなり高いのでしょう。かといって自国のウイスキーはウイスキーとは名ばかりの米焼酎に香料色素を足しただけのもの。このように発展しないのは競争が無いからなのでしょう。
タイの酒類販売は大手と政府系の企業が販路を握っているため小規模のところが参入できないのが現状のようです。酒類販売は国がかかわる事業のため法律でがんじがらめとなっているのでしょう。タイでもクラフトビールがありますが、それらのほとんどが隣国で醸造したものをタイに運んで売る逆輸入クラフトビールとなっているようです。
小規模のブルワリーやベンチャーウイスキーなどが発達すればタイのお酒も洗練され世界的に人気となりそうですが、それを良しとしない人がタイの上層部に入るようですね。どこの国も利益を独占しようとする輩は国の癌です。
話がそれました。ラオカオの味ですが、そのまんま泡盛といった感じ。しかも安めの泡盛。泡盛も高品質のものだと花のような香りがするのですが、安いやつは穀物の臭いがします。まさにこのラオカオは穀物の香り。中国で飲んだ白酒に近いです。雑味があって飲みづらいです。
でもこの穀物の独特の臭みは嫌いじゃないんです。年月をかけ円熟したうまみのあるウイスキーもおいしいんですが、すげー喉にひっかかって飲みづらいけど形容し難い複雑な味も酒の楽しさの一つ。ラオカオはまさにこれなんでしょう。
コップに入れてコップを揺らすとガラス面の内側に水滴がつきます。
このようにくっつくのは粘度が高いから。度数が高かったり化合物の量でとろみが変わります。
もしくはコップがそもそも汚れているから。
後者の可能性が濃厚っぽいですが、度数も高いし香りもきついのでその手の成分を多く含んでそうです。
私はストレート、水割りで飲みましたがコーラなどの甘めのソフトドリンクと割って飲むのもおいしいのでしょう。沖縄の人が金が無い時は泡盛をマウンテンデューで割って飲むのが良いと言ってました。泡盛と同じ感じでラオカオを飲むのはありですね。
そんなわけでカクテルにしてみました。
タイのコンビニで売っているシュウェップスのマナオソーダ。マナオとはライムのこと。
ラオカオのライムソーダ割。地産地消カクテルです。ライムを入れるとさわやかな味わいになります。
この清涼飲料水は汎用性が高いですね。日本でも売ってほしいです。
本日は閉店間近でダンピングされた鶏を焼いたやつを酒の肴に。
屋台飯の時点で衛生的ではないのに、さらにいつ作ったかわからない上にタイ人が「これはダメだろう...」で値引きして売っている肉を肴に食べる生活となっています。
ラオカオに鶏肉、合います。
今回はラオカオを飲んでみました。タイで売られているラオカオは何種類かあるようです。とくに北の方ではラオカオが盛んで、自家蒸留したラオカオも現地で飲めるそうです。
タイではこれまで自家醸造は違法でしたが2022年3月に個人消費用に醸造することを認める形にしました。酒を造るのは個人の自由であり、それを規制するのは正しくないってことで法改正となったんだとか。まぁ改正される前から北の方では普通に密造してるんですけどね。
これで国民の酒に対する意識が変わり、タイのお酒が進化するきっかけになることを願っています。
日本でも古くは自宅で酒を造るどぶろくがありましたが、酒税法の関係で自家醸造は禁止となっています。作ることを禁止されればいつかは作り方も知らない人となります。現に日本人の中には焼酎と日本酒の違いを知らない、下手したら原料も知らない人もいるのでしょう。当然アルコール飲料は徐々に衰退していくのでしょう。そうなる前に日本もタイに倣い、酒税法改正に踏み切ってほしいです。