【猫の街ながさき】死者を弔う長崎の精霊流しは奇祭だった
長崎は日本三大夜景の一つと言われています。三大○○は色々あり、三大に挙げられる場所も様々。夜景で有名なのは北海道の函館。あとは100万ドルの夜景といわれている神戸でしょうか。そしてここ長崎です。長崎市内にある稲佐山から見る夜景がきれいなんだとか。
木が邪魔で見えない&天気悪い&そもそも夜じゃない。
稲佐山は山頂までロープウェイが通っていますがコロナのため休止中。車でも行けますがコロナのため進入禁止となっていました。夜に行こうと思ったのですが山頂に行けないのが分かっていたため外出したついでに立ち寄ってみました。
山頂じゃないので普通の山から撮る普通の街並み。夜景は所詮蛍光灯の灯りですからね。そこまで興味はありません。
それよりもこっちの方が観光名所ではないでしょうか。
長崎は「ネコの街」と呼ばれるくらい猫が多いです。基本的に港のある場所はネズミ被害も多くあった場所です。そのため猫を飼うのが一般的だったのでしょう。あちらこちらで猫を見かけます。
少し歩いただけで結構猫がいます。とくに警戒する様子もないため人に慣れているのでしょう。去勢されているネコもいるので街の人たちがみんなで飼っている感じでしょうかね。
このあたりは水路も多く入り組んでいます。
身を隠しやすく昔ながらの街並みで猫も過ごしやすいのかもしれません。
コンビニで耳栓が売られているのですが、これはお盆のために用意されたものです。
長崎のお盆は日本で見られる一般的なお盆とは様子が少し違うようです。長崎では精霊流しというのが行われるそうなんです。今回ちょうどそのタイミングで長崎にいました。精霊流しがあることを知らずに長崎に来て、ホテルのチェックインの際に通行止めになると聞き、そこでその存在を知りました。
他の地方にも送り火の代わりに灯籠を川に流す灯籠流しというのがあります。横浜の大岡川でも似たような風習があります。ただ一般的にいわれる灯籠流しと長崎の精霊流しは少し違うようです。
火を使う、船を流すという点に関しては似たようなところがありますが、
火は爆竹でした。そして船が思いのほかでかい。
船には故人の名前や遺影がはられています。初盆を迎えた故人、つまり昨年から今年の8月までに亡くなられた方を弔う儀式が精霊流しというもの。一般的なお盆って慎ましやかに故人を弔うものですが、長崎ではそうではなく一種のお祭りのようなものとなっています。墓参りも花火を持ち寄り墓前で花火をするんだとか。
確かにしんみりするよりもにぎやかなほうが故人や先祖も喜ぶというものです。また、墓参りにいって墓を掃除して線香あげて帰るのって子供にとってストレスでしかありませんが、花火ができるとなれば子供も喜んで墓参りに行くのでしょう。そういった意味でも理にかなっているのかもしれません。
精霊流しも比較的若い人が参加しています。喪に服すという意味で黒服の人もいますがハッピみたいなのを着ている人も多くいます。ほぼ祭りで神輿担いでいるのと大差ありません。今年はコロナの影響で縮小しているんだと思いますが実際に出店もあるようです。まわりには缶ビール片手の観客が多くいました。お祭りは自粛ですがこちらは弔いの儀式ですからね。一応感染症対策のため観に来ないでくださいとお触れが出ていましたが、街に出ればこの状態ですので見ないようにするのが困難です。
警察も総出で警備をしています。
花火は爆竹が主でいたるところから爆竹音がします。そのためコンビニに耳栓が売られているようです。ロケット花火は禁止されていますが、結構飛んでいました。危険な花火を使用しないように「花火警察」が取り締まりをしているようです。
中華街もあり唐人屋敷もあった長崎。中国も近いことから中国文化を取り込んでいるのでしょう。中国では春節などで爆竹を使用するのは音を鳴らすことに魔よけの効果があるからなんだとか。また中国では精霊流しに似た風習もあるのでそれを取り入れたのでしょう。
めんどくさいけど風習だからという感じでナスとキュウリに割りばし挿して自宅前で火を焚くよりも、なんかよくわからないけど爆竹鳴らしてお祭り気分でワイワイするお盆の方が楽しめそうだし毎年お盆の時期は待ち遠しくなるでしょう。生きている人たちが楽しく過ごせている方が亡くなられた人たちにとっても幸せではないでしょうか。
東京から1000kmほど。陸路でも行ける場所で同じ日本語を話す民族ですが、こんな感じで風習が全く違うんですね。
これからもこういうの残していってほしいものです。