住宅地なので娯楽がない!?スラムクリアランスでできた街「横浜十日市場」
本日は横浜市緑区の十日市場に来ております。こちらはJR横浜線の十日市場駅です。
十日市場という名称、名前の由来は中世の頃この界隈に毎月10日に市が開かれたんだとか。
この界隈は大山道と神奈川道の追分だったらしく古くから人が往来する地域だったようです。
とはいっても十日市場駅は駅開設から50年も経っていないんです。
横浜線自体は1908年に敷設されていますが、十日市場駅ができたのは1979年。70年も駅ができなかったのは当時は必要がなかったからなのでしょう。
恩田川沿いは田畑が広がり拓けていますが、川から離れれば丘陵地帯である十日市場。かつては人が住む場所ではありませんでした。
宅地開発がされたのは1960年ころ。団地ができたことで十日市場の人口が増加。駅新設を望む住民が多くなり79年に十日市場駅が開業しました。
閑静な住宅街がありそうな駅前って感じ。地元民しか降りなさそうな駅ですが昭和大学や横浜商科大学が近隣にあるため学生の利用者が結構多いようです。
駅前にある遊歩道。雰囲気がいいですね。なんかヨーロッパっぽい感じ。
ヨーロッパ行ったことないけど。
町田にも横浜にも出れる十日市場。隣駅の長津田に行けば渋谷にも出れる立地です。駅前にスーパーもあるし住み心地はよさそうです。こんな感じでキレイな街の十日市場ですが、かつてはあまり住みよい街ではなかったようです。
神奈川県横浜市は県庁所在地で県内で一番人口が多く、東京23区を除くと全国で一番人口が多い都市。横浜の中心地は港近くの関内のあたりでしょうか。
横浜はオシャレで先進的なイメージ。
幕末に開港した港町横浜。きらびやかで美しい横浜ですが、光あるところに闇があるとはいうもので横浜の周りには貧民が住む地域がありました。
有名なところは南太田の乞食谷戸でしょうか。
また横浜を流れる大岡川や中村川には舟を係留してそこに住む水上生活者がいました。
戦前から横浜には水上生活者がいたそうですが、空襲で家を失った人や引揚者が横浜には多く水上生活や路上生活をしていたそうです。
今でも寿町にはホームレスが集まっていますが昔はもっと酷かったのでしょう。
もはや戦前ではないと言われた1950年代後半、食糧問題は改善したものの住宅不足は続いており宅地開発が急務でした。そのため全国で公営団地の建設が始まり横浜も市街地に団地を建設しはじめました。
しかし土地の価格上昇で用地取得が難しくなったため、市街地から離れた場所を造成しはじめたそうです。十日市場はそのうちの一つで元々丘陵地だったところを宅地開発し1959年から1964年にかけて十日市場市営住宅ができました。
団地ってコンクリート造をイメージしますがその手の団地ができるのは1964年以降。それ以前は木造住宅でした。
スラムクリアランス事業で出来た市営住宅。木造平屋の住宅を十日市場に建て、横浜市街地にいた貧困層を入居させたそうです。
こちらに十日市場市営住宅バス停があります。十日市場住宅自体はすでに残っていませんがここに団地があったと証明できるバス停。
当時は治安のよい場所ではなかったのでしょう。いわゆる貧民窟といわれたところでしたが十日市場市営住宅1991年に取り壊され新たな団地へと生まれ変わりました。
バス停の先にはキレイな建物が見えます。こちらは2年前にできた分譲マンションです。
駅徒歩五分の利便性の良いマンション。
かつて低廉な住宅があった地域とは思えません。
十日市場市営住宅があったところは十日市場ヒルタウンに名称が変わり、民間、UR、市営の団地が混ざる街区となっています。
スラムと呼ばれていたのはかつての話。今はキレイな街並みです。団地だけでなく街路もキレイに整備されています。
十日市場は鉄道会社や民間企業と市が連携し、持続可能な住宅地推進プロジェクトのモデル地区になっているんだとか。
十日市場が宅地造成されてから60年。他のニュータウン同様に高齢者問題を抱えてます。
現在の十日市場の高齢化率は25%。
横浜市の高齢者割合は25.3%なのでほぼ平均値の十日市場です。ただ今後も高齢者が増え続けることを鑑み、多世代が暮らし続けられる街づくりを目指しています。
横浜にはSDGs未来都市計画というものがあります。なんか胡散臭い感じがプンプンしますが、ざっくりとした内容は少子高齢化対策です。
昔風で言えば「産めよ殖やせよ」です。
横文字でわかりづらくするよりも「生めよ育てよ国の為」って明確にした方が分かりやすいと思うんです。
日本の高齢化率は29.1%。
横浜は高齢化率が低い地域ではありますが高度経済成長期に建てられた団地は人の入れ替えがないため高齢化が顕著です。でも新しく建て替えることにより若年層の新規入居者が見込めます。
新しい団地には若い人が増えてるようでSDGs未来都市計画は成功しているのでしょう。
十日市場ヒルタウンだけで2800戸越え。民間の団地も含めるとかなりの数の家があります。市営住宅が多いと高齢者が多くなりますがURや民間のマンションがあるため若返りがうまくいっているのでしょう。
まさに十日市場は産めよ殖やせよの街。
こちらは十日市場の北側に山あいにある団地です。こちらは横浜市営住宅ですが、高齢化率が50%を超えているそうです。
二人に一人が高齢者。緑区の高齢者割合から考えると異常な数値です。
市営住宅は収入制限や住宅困窮など一定の入居資格条件が必要ですが、単身で入居する場合さらに厳しい条件が必要です。
条件は障害者、生活保護受給者など。
住居資格を満たすのは難しそうです。
でも60歳以上であれば入居資格があります。
今後はますます高齢化率が高まりそうです。
ちなみに団地そばに餅塚という供養塔があるのですがかつて刑場があったところなんだとか。
だいぶすごいところに団地を建ててる!
刑場があったのは鎌倉時代なのでかなり古いです。そんなことより山の上なので高齢者には不便です。
十日市場ヒルタウンも名称通り丘の上にあります。丘陵地なので勾配があります。若い人なら問題なくても年寄りにはしんどい立地。
私は初老といわれる年頃。
坂道がきつい、階段が厳しいってことはなくまだまだ足腰は元気な方だし、アッチの方もまだ現役。そのため丘陵地でも問題ないんですが個人的に十日市場は物足りない街です。
横浜や渋谷に30分程度で出れる立地の十日市場。スーパーもあるし買い物も便利ではありますが飲食店が極端に少ないんです。
とくに飲み屋があまりありません。飲み屋街はなくスナック的な店も少ないようです。当然風俗もありません。
アッチの方が現役の人にはかなり厳しい住環境。
住宅街だから仕方ないんですが娯楽がないんです。夜遊びをするなら横浜や町田にでるのでしょうか。
でもムラムラッと突然感情が芽生えた時、横浜まで電車で移動するのは大変だし、もしかしたら電車内で粗相をしちゃうかもしれません。
どんな粗相?
まぁどちらにせよ精神衛生上よくないんです。
持続可能な風俗がないなんて、全然SDGsじゃない!
電車一本で横浜や町田に出れる。
長津田で乗り換えれば渋谷にも出れる。
このように市街地に出やすい立地ではありますがちょっと距離がある十日市場。でも十日市場から青葉台行きのバスがあるんです。
青葉台なんてもろに宅地開発エリア。
十日市場と同じようにお遊びスポットがあるわけない!と思っていたんですがどうやら青葉台、飲み屋がけっこうあるんです。
居酒屋やバーだけでなくキャバクラもあります。
新興住宅地そばにあるキャバクラ店。
なんか魅力的な感じです。
十日市場にはその手の店がありませんが少し離れたところにちゃんと用意されてます。
青葉台駅までは約3kmほど。
最悪歩けなくもない距離なので飲みたくなったら青葉台まで行くのでしょう。
若い世代を受け入れるための街づくりなのに若い人が行きそうな店がない十日市場。
その点青葉台は、多世代が暮らし続けられる街づくりができてます。
キャバクラが駅前にあること、
これこそがSDGsです。
これこそが持続可能な社会です。
これこそが次世代へつなぐ街づくりです。
日市場は新たに生まれかわった街。2023年に街は完成したようですが街は住む人たちによって生まれ変わります。
需要があれば供給がされる。
今は駅前にスーパーしかないけれど居住者が求めれば新たな店ができるはずです。近い将来キャバクラ街ができるかもしれません。でもそれができるまでは青葉台に通うしかありません。
面倒ですがバスで遊びに行きます。
ちなみに青葉台駅界隈には、洗体泡泡系のエステ店があるようです。
これは青葉台に行くしかない!
行くしかないし十日市場にもできて欲しい店。