ブラジルの人聞こえますか?人口二割が外国人の街「大泉ブラジリアンタウン」
本日は群馬県邑楽郡大泉町に来ております。こちらは東武小泉線の西小泉駅です。大泉なのに駅は小泉。てっきり大きな泉がある地域だと思ったんですが、大川村と小泉町が合併してその頭文字をとったのが名前の由来のようです。
群馬県の南に位置する大泉町は群馬で一番小さな町。利根川を渡ったらほぼ埼玉。ってことはここは埼玉です。
駅前ですがだいぶ寂れています。そもそも街の広さは18平方km。東京ドーム390個分の広さしかなく市内には東小泉駅と小泉町駅、西小泉駅の三駅だけ。ほぼ埼玉と言っても厳密に言えば群馬なので(厳密に言わなくても群馬)。車社会なのでしょうね。このように駅前は寂れていますが大泉町は優秀な街なんです。
人口は41500人。市になるためには人口5万人が必要なのでもう少しで届きそうです。この手の田舎の町って農業が盛んのように思えますが、町内の畑面積はかなり少なく、第一次産業の町内総生産額の割合0.04%しかありません。町の収益のほとんどが第二次産業で総生産額の80%以上。つまり大泉町は工業都市なんです。
都心にも近くほぼ埼玉のような大泉町。でも埼玉とは違い群馬。そのため地価が安いのでしょう。広い土地が必要な工場にはうってつけの場所なのでしょう。町内にはスバル、パナソニック、味の素、ハナマルキ、雪印といった有名企業の工場があります。このように大手企業の工場があるため街は潤っており地方交付税の不交付団体でした(コロナ以降は交付団体となっています)。
このように大きな工場がいくつもあると当然そこで働く人も多くここに住んでいます。
1990年前後に起きたバブルのころ、日本は人手不足が直面していたため入管法を改正し日系二世、三世への在留資格を与えるようになりました。古くからスバルやパナソニックの工場があった大泉町でも人手不足解消のため多くの出稼ぎ外国人労働者を受け入れたのでしょう。その結果南米人が多く集まる街になり、今では大泉ブラジリアンタウンと呼ばれるようになりました。
工場があるから働ける場所がある。そのためその後も外国人は増え続け、人口41500人のうち外国人居住者は8370人。つまり20%以上が外国人です。5人に1人が外国人ってかなり割合が高いですが、実際に大泉町は日本で一番外国人比率が高いところです。そして外国人の半分以上がブラジル人なんだとか。つまり大泉町民の10人に1人がブラジル人。
ブラジル人が54%、次いでペルー人が13%、そしてベトナム、ネパール、インドネシアと続きます。ブラジルとペルーだけで6500人以上いるようです。
ちなみに大泉町の65歳以上の人口割合は23%ほど。外国人と同じ割合のようです。
このように数値だけ見ると異常ですが街の雰囲気も南米っぽい(南米行ったことないけど)。
ここはもうリトルサンパウロです。
駅にあった案内ですが、この手の案内看板は日本語、英語、中国語、韓国語が書かれてあるケースが多いです。単純に中国人と韓国人が多いからでしょう。でもこの案内板はスペイン語とポルトガル語でしょうか。日本なのに日本語がぞんざいに扱われています。
駅前には外国料理屋があります。ブラジル人が多いのにインドネパール料理。そしてハラル食材店。大泉ブラジリアンタウンなのにブラジル要素なし。
でもこちらにはポルトガル語で書かれた看板があります。一切日本語なし。こちらは大泉町警察の看板で監視カメラが設置されてありますと書かれてあるのでしょう。
どんどんブラジルが濃くなってきます。南米の食材店がありました。
こちらは駅近くにある商業ビルです。こちらには大泉町観光協会があります。
ぐんまちゃん、サンバのリズム。
観光協会では町内の飲食店の紹介をしているようでその多くがインターナショナルショップ。また町内では毎月第四日曜日にグルメ横丁という屋台が軒を連ねるイベントをしているようで、毎月サンバを見れるんだとか。外国人街は日曜日に来るのがよいようです。
それにしても観光協会はだいぶブラジルに偏っています。外国人だらけの工業都市ってことで観光産業が少ないからなのでしょう。
そもそも大泉町観光協会があるビルの名前はブラジリアンプラザでした。
同ビルでは週末にバザーをするそうです。そこには多くのブラジル人が来るんだとか。
もうここはブラジルが特産。そもそも5人に1人が外国人の街なんです。そりゃ外国要素が増えるのも当然です。なんだったら外国人に参政権を与えてもよいレベルで多国籍化しています。
流石に選挙活動はできないようですが、大泉町では町職員の受験資格から日本国籍の条項を撤廃し、外国籍でも公務員として働けるようになるようです。5人に1人が外国人、なんだったら今後も割合は高くなっていくのでしょう。外国人を起用するのは現実的でしょう。当然就労するには永住者または特別永住者に限られるし日本人同様に採用試験には面接や作文があります。外国人が増えている地域は今後こんな感じになるのでしょう。
地方都市はどこも似たようなもんで高齢化により街が衰退しています。中には消滅可能性都市なんて呼ばれるところもあるくらい。それに比べると大泉町は過去30年間ずっと人口4万人をキープしています。大泉もそれなりに高齢者がいますが、高齢となり亡くなる人がいても外国人が増えているため人口に変動がないのです。ちなみに30年前の外国人割合は10%以下だったのでかなり外国人が増えているようです。あと30年も経てば外国人が半数を超えるかもしれません。そうなればここは日本じゃなくなるんでしょうね。
こちらは町内にあるスーパーです。当然ブラジル要素が強め。日本のスーパーでは手に入らない食材もここであれば手に入れられるのでしょう。
店先がスーパーっぽくないですがまぎれもなくここはスーパーマーケット。
店内はモロ外国のスーパーマーケットって感じ。日本にいながらこの雰囲気を味わえるのはいいですね。そして店員も南米の人。っていうより日本語で一切接客をしてくれません。それもそのはずで日本人は日系スーパーに行き、ここに来るのは南米の人。日本語で話さずに母国語で話すのは当然。
お会計金額を言われてもポルトガル語だから何言ってるかわからない。
金額わからないからQRコード決済もできない。金額わからないから小銭で支払えない。
おそらく店員は日本語も話せるんだと思いますが、せっかく外国人街にいるんです。外国気分を味わいましょう。
購入したのはこちら。ガラナの炭酸飲料です。100年前に作られた炭酸飲料でガラナには強壮効果があるそうで、エナジードリンクの走りのようなもの。
缶ジュースにストローをもらえるのは外国っぽい感じがします。南米に行った気分が味わえます(南米行ったことないけど)。ブラジルに行かずしてブラジルを味わえるっていいですよね。
製造も販売も日本じゃねーか!