元遊郭「永真遊廓」の中にある銭湯「永楽湯」へ
日が暮れだしました。今日も別の銭湯に行きたいと思います。
昨日訪れた恵びす温泉は少しぬるめのお湯でした。ぬるめといっても普通の温度です。それが一番良いのですが求めているのは熱い湯です。熱くて入れないくらいの銭湯が望ましいです。初日に行ったところが今のところ一番ですが、ほかにも銭湯はありますので別の場所に行きました。
寿町で一番近いのは翁湯です。もともと職業安定所があったところを建て替えて銭湯をつくったのでしょうか。昔ながらの銭湯というのではなく今では珍しいガチの公衆衛生のために用意された銭湯のようです。そうなると利用者も公衆衛生を保たなければならない人たちのような気がしてなかなかその一歩を踏み出せません。まだほかにも周りには銭湯がある。本丸を攻めるのはもう少し先ということで、少し離れた銭湯に行きました。
寿町より歩いて10分ほど、地名は永楽町というところです。
この雰囲気、なんとなく遊廓っぽいつくりのように感じましたが、ここは以前永真遊廓と呼ばれていたところなんだそうです。
もともと横浜には別の場所に遊廓を設けたそうですが幾度も火災に遭い消失。最終的にこの永楽町、真金町に移転したんだとか。その二つの町名をとって「永真遊廓」と呼ばれていたんだそう。そして戦後までここは赤線街として成り立っていた場所のようです。
でも現在はマンションなどに建て替えられその当時の建物はほとんど残っていないようです。唯一町の区画や道がその当時の雰囲気があるといったところでしょうか。遊廓があると知らずにここに来ましたが、これまでいろいろな遊廓跡を見てきたためか道の形状でビビッときました。
今日は遊郭を見に来たわけではなくただお風呂に入りにきただけです。元遊郭の風呂屋って特殊浴場?と思われるかもしれませんがそうではなく普通の銭湯です。
遊廓の中の銭湯とはこれまた京都で味わったのと同じです。
本日入るお風呂は永楽湯というところです。外観はだいぶ年季が入っています。それもそのはずでこちらの銭湯が開業したのは1951年なんだそう。今から70年ほど前というわけです。
永楽町には永真遊廓がありました。遊廓の廃止は敗戦後の1946年ですが、廃止後も赤線という形で営業が続いていました。赤線の廃止は売春防止法が施行された1958年です。つまりここの銭湯は赤線時代に開業したところというわけです。
料金は490円。サウナは別途料金でしたが100円ということだったので追加費用を払いました。
永楽湯の特徴は黒湯があること。天然温泉なんだそうです。お湯の温度は46℃と少しだけ高めです。でも490円で暖かい風呂に入れてしかもそれが天然温泉というって素晴らしいですよね。
都内近郊の温泉といえば黒湯なのでしょう。川崎でもそうだし蒲田の銭湯も黒湯でした。
黒湯ってお湯が黒いので汚い感じがしますが、汚れて黒いんじゃなくて温泉成分が黒いんですよね。でも寿町のそばの黒湯ってどうなんでしょう。
そういう成分が出てる感じは否めません。
そんなわけないです。黒湯は黒湯。きれいな湯のはず。
今回はサウナ料金を払ったので少しだけ長居します。
水風呂がありますがそこまで大きいわけではなく一人用です。サウナにはもう一人の客がいます。とくに会話もせず目線も合わせませんがお互い被らないように交互に水風呂とサウナを行き来します。
サウナ内では海外ラジオが流れていると思っていたのですが、どうやら女湯のサウナとつながっているようで、外国人の声でした。
最近では外国人の利用者が増えているようです。ユニットバスはついているとはいえゆっくり風呂に入れるわけではありません。身体の汚れを落とすだけになってしまいます。銭湯であれば大きな風呂に低価格で入れるわけですからね。公衆衛生のためではなく心を満たすために利用する人も多いのでしょう。
お客さんは6人ほど。やんちゃな方々が目立ちます。
これも土地柄なのでしょうか。寿町からもそこまで離れていません。そして永楽町は遊廓のあった地域。もう少し足を延ばせば伊勢佐木町や弥生町といったやんちゃな人たちが集まる場所です。周りにはそういった店も多いのです。つまりそっち方面からソッチ系の人たちが集まってくるのかもしれませんね。とくに害があるわけではありません。湯舟にはドスもチャカも持ち込めません。風呂の中ではどのような人でも対等なのです。別に揉めるために風呂に入りに来ているわけではありません。みんなただ風呂に入りに来ているだけです。
長居したのでコーヒー牛乳で水分補給します。風呂上がりのビールよりもこっちの方が美味しいです。
もうじきオープンして70年。歴史ある銭湯です。長く続けてほしいですね。
もう遅い時間なので今回は遊廓巡りをせずお風呂だけ頂きました。
本日の夕飯は蕎麦で。寿町の近くにある立ち食いソバです。
付近にボートレースの舟券場があるのでその客目当ての店なのでしょう。立ち食いソバ屋の天ぷらはあまりおいしくないところが多いですがこちらの天ぷらはサクサクしていておいしいです。今回は野菜天をチョイスしました。
どうしても宿に泊まると食事は外食がメインとなります。特に部屋が狭いとそこで食事をしたくないです。そうなると買って食べるのではなく店で食べることになります。お店で安く済ませようとすると栄養の偏りもでてしまいます。こんな感じで野菜天ぷらを選んだりしているんですが、天ぷら食べてる時点でダメなんでしょうね。ドヤ暮らしをするのであれば食事の部分はちゃんと考えないとなりませんね。
もう少し長く寿町にいる予定でしたが、明日には引き上げます。
引き上げるといっても別のホテルに移動するだけです。簡易宿泊所は肌に合わなかったようです。宿も様々あるため一つだけでは判断できません。数日泊まっただけで判断できるものでもありません。これに関しては何度も泊まり続けるしかないのでしょう。
結局明日で引き上げるので翁湯には行かずじまいでした(というより最初から行く気がありませんでした)。散々翁湯を語ってたんですけどね。まぁまた機会もあると思います。数年後はここが根城となっているかもしれないわけです。その時にまた行けばよいかと思います。