川崎のドヤ街・貝塚にある銭湯「吉の湯」へ
今回川崎区に滞在しているのは銭湯に行くため。川崎市には35軒銭湯があり、川崎区には銭湯が16軒、隣接する幸区には6軒あります。現状で川崎区で行ったことがある銭湯は2軒だけです。川崎区だけでも14軒まだ残っています。滞在は一週間の予定。14軒だと毎日銭湯に行っても二週間かかりますのですべては回れません。とりあえず駅から比較的近いところから回りたいです。行った先は貝塚というところです。
川崎区付近は昔は果樹園が広がる農業地でした。それが明治にはいって工業化がはじまりました。
ここにいれば仕事にありつける。工業化により多くの人が川崎に来たわけです。人が集まれば住環境が必要。そのため多くの簡易宿舎ができたようです。川崎にドヤ街があるのはそれが理由。
区内にある日進町のドヤ街には訪れました。火災で有名になった場所です。ドヤ街といっても昔のような雰囲気はなく、かろうじて数軒の簡易宿泊所がある程度。現在は訪日外国人向けのゲストハウスのようになっています。
川崎のドヤ街は日進町だけではありませんでした。川崎のハローワークは南町に移転しましたが、以前は川崎競馬場の近くの榎町にあり、そのあたりもドヤ街でした。現在は大きなマンションが建って全くその雰囲気はありません。
そして貝塚もドヤ街でした。貝塚と渡田向町あたりには簡易宿泊所が多くあり、中学校の目の前に立ち飲み屋があるような地域でした。
とはいっても現在はかなり少なくなり消滅寸前です。15年前はまだまだその辺にホームレスが路上で横になっていましたが、今はドヤ街の雰囲気はなく普通の住宅地になりました。
川崎に住んでいたころ、このあたりにあったやきとん屋に頻繁に通っていたことがありますが、その店ももうなくなってしまいました。やきとん屋はドヤ街に住む人の御用達だったのでしょうね。
そのような街の空に見える煙突。ドヤ街だったところにある銭湯です。
本日お邪魔するのは吉の湯というところ。昭和24年創業なんだとか。その当時は労働者の憩いの場だったのでしょう。昔はこの銭湯の並びに簡易宿舎がありましたが現在は全てなくなり、今の銭湯は老人の憩いの場となっています。
造りは昔ながらの形で、番頭が男湯と女湯の真ん中にいる番台スタイルです。昔はどこもこのスタイルでしたが最近はフロント式になりました。脱衣所のロッカーは鍵付きだし監視カメラがある銭湯も。そのため番頭が見ていなくてもセキュリティ上の問題はないのでしょう。
古い作りですが清潔感があります。きれいな脱衣所っていいですね。
浴場の広さは普通のサイズ。先客は5名で紋々のある方が1名。
川崎の銭湯巡りを10軒ほどしたでしょうか。これまでワンポイントタトゥーを入れている人は時折見ましたがガッツリ肩から尻まで菩薩が描かれている人を見るのははじめてです。川崎区はその手の組織が多い地域なのでまぁ普通にいてもおかしくないでしょう。銭湯では少し緊張感があるくらいがちょうどよいんです。
吉の湯にはサウナがありません。本当に昔の銭湯。洗い場と浴場。電気風呂とかそういったアミューズメント要素のある風呂はありません。でも、それがいいんです。本当に清潔を保つための浴場。風呂のない簡易宿泊所が近くにあったからこの形になったのでしょうね。電気風呂は好きだしサウナもよいですが、普通に広い風呂に入れればよいんです。湯温は42℃くらいでしょうか。もう少し熱いと嬉しいですね。
風呂屋に長居は無粋。サウナとかがあるとついつい長く滞在してしまいますが、身体を清めて温まったらすぐに出るのが本来の公衆浴場の姿。ここんところサウナ続きだったので久しぶりに銭湯らしい感じを味わえました。簡易宿泊所があったから成り立っていた銭湯。今は宿泊所が無く利用者は町内に住む人に限られているのでしょう。その人たちも家に風呂がないわけではなく、大きな風呂に入りたいから銭湯に通っているんだと思います。昔は川崎市内にはもっと多くの銭湯があったようですが需要が減って閉店するところも多いようです。アミューズメント要素がないとなかなか集客も難しいものでしょう。どうにか生き残ってもらいたいですね。
先日まで車中泊の旅ではなくホテル泊で約二週間ほどかけて東北を車でぐるっと巡りました。エブリイで荷室は広く車中泊ではないので自由に使えます。普段の旅であれば荷物を軽減させるため衣類は着ているものを含めて2着だけにしているのですが、1週間分の衣類を持ち込み選択の回数を軽減させました。でも今回はいつも通りの旅です。そのため衣類は2着のみ。毎日洗濯をしなければなりません。
というわけで洗濯洗剤を持ってきました。洗剤があると洗うのが楽です。
一応ホテルには乾燥機付き洗濯機があります。でも1着だけの衣類を洗うには大掛かり過ぎます。いつも通り洗面所で手洗いをします。銭湯で洗えればよいのですが、浴場での洗濯は禁止です。銭湯で新しい服に着替え、帰ってきて洗濯をします。
これから1週間、日中仕事して銭湯が開く15時にホテルを出て風呂入って帰るという何の変哲もないホテル生活を続けます。