ノゾキ趣味のせいで流行語となった!西大久保出歯亀事件
本日は新大久保にいます。
住所は新宿区大久保。西側はJR山手線、東側は明治通り、南側は職安通り、北側は諏訪通りに囲まれた一帯が大久保になります。明治のころは大久保村という村で、大久保の東側は西大久保と呼ばれていました。
こちらに西大久保公園があります。
大久保公園は立ちんぼのメッカとなっていますが、西大久保公園は子供の遊具があるちゃんとした公園のようです。公園ができたのは戦時中。延焼を防ぐ目的で公園が設置されたそうですが、大久保には早稲田大学のところに当時陸軍射撃場などの軍施設があったため空襲被害の酷かった地域でした。
大久保と言えば日本最大のコリアンタウンです。新大久保は韓流ブームにあやかり韓国雑貨や飲食店が軒を連ねています。怪しい店も町内に多くあるようなので色々と探索し甲斐があります。
いつもであればコリアンタウンを見てまわりあーでもないこーでもないと言いながら観光をするのですが、本日は大久保の東側の方に行きます。
コリアンタウンがあるのは新大久保駅付近、百人町や職安通りと大久保通に挟まれた地域にあります。大久保といっても全てがコリアンタウンってわけではなく東側には韓国料理店はありません。
このあたりはマンションだけでなく一軒家も多くある住宅地です。新宿まで歩けない距離でもないし、新大久保、西早稲田、東新宿駅があるので利便性の良い場所。生鮮食品を扱うスーパーが少ないってのが難点ですが、歌舞伎町よりも住みやすい環境ではないでしょうか。
現在このあたりは大久保二丁目ですが、かつては西大久保と呼ばれていました。このあたりはもともとくぼ地だったため、大久保の名前もそれが由来のようです。実際に大久保のあたりを歩いていると起伏があるのに気づきます。そのようなところなので元々人が住みづらい環境だったようですが、明治になり続々と人が住み始めました。人が住みだしてからは商店街ができ、住環境が整いました。その当時は風呂がある家は少なく、多くの人が銭湯を利用していました。ちなみに都内にはその当時1200軒ほど銭湯があり、大久保界隈にも5軒ほど銭湯がありました。
現在普通の住宅街となっていますが、このあたりに「藤の湯」という銭湯があったそうです。しかしその銭湯は明治の頃に閉鎖されました。閉鎖となったのはここで日本中に旋風を巻き起こした事件があったからです。
時は明治41年(1908年)3月22日、東京府下豊多摩郡大久保村大字西大久保309番地に住む女性が同じ町内にある銭湯前で何者かに殺害されました。警察の捜査により同じ村に住む池田亀太郎(35)男性が逮捕されました。
よくある性犯罪をして殺しちゃったっていう事件。
不同意性交等致死傷罪、当時の刑法だと強制わいせつ等致死傷罪になるのでしょう。
人が死んでいるので大したことないってことはないのですが、驚くほどでもない事件。
でもこれが出歯亀の語源となった出歯亀事件です。
今ではあまり使われなくなった言葉ですが、お風呂のノゾキ行為のことを出歯亀と言います。
諸説あるそうですが犯人の池田亀太郎が出っ歯だったから「出っ歯の亀」で出歯亀となったようで、それが新聞に大々的に取り上げられたそうです。今だったらルッキズムで大問題となるでしょうね。
不同意性交等致死傷罪だけであればここまで新聞に取り上げられなかったのでしょうが、亀太郎は窃視障害があり日頃から女湯を覗く趣味があったそうで、風呂を覗きその場で手淫をする結構ハードな性癖の持ち主だったそうです。
ただの覗き魔であればスルーされたのでしょうが、「ミニにタコができる」なんて言い出したら新聞も取り上げたくなるでしょう。亀太郎もその素質があったようで新聞各社が「色餓鬼出歯亀」とセンセーショナルな言い回しで報道するもんだから日本中に知れ渡るようになりました。
事件発生地が大久保村とあるように、事件があったのは現在の大久保のあたり。
古地図で確認したところ銭湯があったのは大久保2丁目15のあたりです。しかし銭湯はこの事件で風評被害に遭い、店をたたんだそうです。
亀太郎は警察の取り調べに対し犯行を認めたそうですが、裁判では一転して否認しました。その当時の警察です。DNAや指紋鑑定の無かった時代。今のような捜査は出来なかったのでしょう。ちなみに指紋鑑定が導入されたのは3年後の明治44年からなんだとか。そのような状況の中での取り調べなので自白を強要するなんてのはざらにあったのでしょうね。
亀太郎が本当に殺人を犯したのかはわかりませんが、東京地裁は無期懲役の判決を下しました。当時の強制わいせつ等致死傷罪は無期または三年以上の有期懲役。亀太郎側は上告を申し出ましたがそれも棄却され小菅監獄に収監されました。
無期懲役でしたが監獄内での素行が良かったのでしょうか。13年で仮釈放となりました。釈放後は植木職の手伝いをしていたそうですが、1933年、亀太郎60歳の時に再度覗きの嫌疑をかけられたそうです。嫌疑不十分で釈放されたわけですが、大した罪でもないし、そもそも罪ですらないのに出歯亀リターンズってことで新聞に報道されたそうです。
出歯亀事件を見て思うことは、新聞社がやったソレは報道ではなく誹謗中傷でしょう。「大衆受けするから容姿をバカにして報道した」ただそれだけのことです。
一般的ではない性癖の持ち主は悪いことすると大衆のおもちゃにされ散々な目に遭います。まぁ悪いことしなければこんなことにはならなかったのでしょうがそれにしてもひどい扱いです。現代でも似たようなことは起きており罪ある者に石を投げよという風潮があります。「叩いてもよい晒してもよい」このように晒し者に石を投げる人がいるんです。
怖いのは正義という名の大義名分を得た民衆です。
最近ではSNSの誹謗中傷が問題視されてますがこれはネット社会に蔓延る問題ではなく古くから日本に根付いていた文化だったようです。今後もこの問題は続くので悪いことして性癖を晒されないように精進しなければなりませんね。
こちらは歌舞伎町内にある覗き専門のお店です。
これはだいぶ偏りのある性癖。
場所はトーホーシネマ前。かなりひらけたところにあるので入店はかなり恥ずかしい場所です。しかも普通の店ではありません。
歌舞伎町もかつては西大久保と呼ばれていました。出歯亀事件のあった西大久保。そのような場所にある窃視専門店なんです。
窃視専門店ってだいぶニッチなサービスを提供する店ですが、そういうのが好きな人はいるのでしょう。私はそういうのにまったく興味はありません。
ちなみに私は同店に二度ほど訪れています。別に興味ないけど。
雰囲気はボッタクリ風俗店ですがそんなことはなく入場料は2000円と激安。早朝であれば1000円で利用可能です。入館時に携帯を預けなければなりません。つまり覗きは出来るが盗撮はNG。そのNG行為をした人は写真を撮られ店内の壁に貼られてました。
いわゆるストリップ劇場ですが、劇場とは違い亀太郎が覗きの際にしていたこともこちらでは可能だし、別料金を払えば女性店員が手伝ってくれます。手伝いは二通りあり、手か口。手か口です。
その当時、この店が存在していれば、あの事件は起きなかったんでしょう。
逆に言えば現在の大久保や歌舞伎町で出歯亀事件が起きてないのはこの店があるおかげなんでしょう。第二の亀太郎を生んでいないのはこの店のおかげです。
こちらは大久保一丁目にある銭湯「万年湯」です。創業は1961年なので出歯亀事件から半世紀以上経ったあとにできた銭湯です。付近に外国人が多く住んでいるので利用者の多くが外国人。そして不夜城歌舞伎町のそばなのでお背中にお絵かきをしている人たちも多いです。ちょっと他の銭湯とは様相が異なりますが、お湯の温度が高めで居心地はよいです。新宿に住んでいたころは何度かお邪魔していました。
亀太郎のいた西大久保。これは亀は万年ってことでしょうかね。
今の時代は銭湯で出歯亀をする人はいないし、そもそもできる構造ではありません。そのため安心して湯に浸かることができます。
ってわけで私は合法出歯亀ができる歌舞伎町の窓女に会いに行きます。