中国からベトナムへ。バスで国境越え
朝6時です。南寧はまだ日が出ておりません。北京とは10度ほど経度に差がありますが時間は北京基準です。そのため6時でも真っ暗です。
実際の時刻は5時20分頃になるのでしょう。日が明ける前なので少しだけ肌寒いですが半そででも過ごせるくらいの気温です。早く暖かいところに逃げたいものです。
国際バスターミナルは南寧駅からそこまで離れておらず、今回宿泊したところからも近かったです。
まだ暗いですがターミナルはオープンしています。しかし店員がいません。ハノイ行きの最初のバスは7時45分のようでそれに乗っていきたいです。遅い時間に出発するとハノイに着くのが夜になります。もう新しい地で夜彷徨うのは不安があるため出来る限り日が高いうちにつきたいです。
待っていると受付スタッフが出勤しました。ここでもいつも通り紙を見せます。「南寧→河内・越南」と「今天」と書いた紙を渡します。河内はハノイの中国読み、越南はベトナムになります。南の発音は「ナン」ですが、こっちの方では「ナム」になるようです。中国が当て字で「南」を使ったのではなくベトナムという名前は中国由来のような感じがします。「越」に関しては中国に昔あった国のことなのでしょう。呉越同舟の越です。越の南にある国ってことで越南となったのではないでしょうか。ハノイが河内っていうのは不明です。今天は今日のこと、明天は明日のこと。日本とは表記が少し違いますが今天であれば何を意味するのかわかりますね。これを書いた紙とパスポートを渡せば乗車券を購入できます。費用は172元。ハノイまで2500円で行けるわけです。
時間になると係員がバスのところまで案内してくれます。乗客は私含めて四人だけです。これよりベトナムとの国境に向かいます。
乗車時に水と食料が配られます。食料はバナナ一本と菓子パンです。これより長時間のバス移動となります。バスにはトイレがついていません。トイレ休憩はあるようですが腹を下すわけにはまいりません。そのため飲まず食わずでベトナムまで行くこととします。
座席との間はかなり広くリクライニングもいい感じ。恐らく今回の旅で一番快適な座り心地なんじゃないでしょうか。新幹線は日本と同じくらいの広さでした。飛行機はエコノミーでしたからね。今回のバスは新幹線のグリーン車くらいの広さがあります。
スネ夫は道中お亡くなりとなりました。結構前に首がもげております。一応くっつきますがゆるゆるです。
途中トイレ休憩をはさみます。次の休憩がどこになるのかわからないため絞り出します。南寧を出たのが朝8時ころ。ネットの情報ではハノイに着くのがベトナム時間の15時ころのようです。ベトナムと中国の時差は一時間ほど。休憩や国境の検査があるため実際の乗車時間は5時間ほどでしょうか。
中国の西の方のイメージはこんな感じです。仙人とかいるやつですよね。結局中国はほぼ都市部しか行きませんでした。楽な旅を選ぶとどうしてもそうなってしまいます。
ゲート最寄りで下車します。たぶんここから別の乗り物で移動するような感じです。待たされている間SIMカードを購入したり、人民元をベトナムドンに変えたりしています。アナウンスはすべて中国語なので何をしていいかわからずその場に呆然と立っておりました。
迷子にならないようにこの札を首にかけなければなりません。
少し経つと乗り物が来ます。これに乗りゲートに向かうようです。
運賃は片道5元でしょうか。何だかよくわからないまま乗ってしまいました。そして費用を払っておりません。
ゲートに到着しました。これより中国の出国およびベトナムの入国を行います。いつもの日本人パスポートパワーを最大限生かしたいと思います。生かしたいと思っていたのですが、まさか中国出国が手こずるとは思いませんでした。普段であればパスポートを見て印鑑を押して終了ですが、別の職員を呼んで話しています。何か問題があるようです。
検査官「あなたは何の目的で中国に来たのですか?」
まさか出るときにこれを聞かれると思いませんでした。
観光です。サイトシーイングです。実際に観光地しか回っていませんからね。それを伝えると「香港にはなぜ行ったのですか?」という質問も。その後は香港でどこに行ったのかという質問が続きます。そして手荷物検査が始まりました。カバンの中身をすべて出します。高脂血症の薬を見られ、「この薬は何なんだ!」といった質問も。検査官はポケトークみたいなものを使って質問はすべて日本語で対応してくれます。こちらも日本語で答えます。
スマホの画像を見たいとのことで中身を見せます。とくに中国にとって不都合なものは撮影していません。そして不適切なものもありません。
サーフェスの電源を入れろと言われます。そして同じように画像を見せろと言われます。
あっ!サーフェスの中には不適切な動画が!
これ、見つかるとやばいの?一応日本ではOKなやつなんですがどうなんでしょう?そのフォルダを開かれないようにこちらで今回撮った画像が入っているフォルダに誘導します。このようにしてどうにか尊厳は死守しました。
質問のほとんどは香港に立ち寄ったことについてでした。また職業も聞かれました。恐らくジャーナリストか何かだと思われたのでしょう。現在中国と香港はちょっともめているところがあります。中国にとって好ましくない情報を世界に配信されたくないのだと思います。そのため香港に立ち寄った人は検査対象となってしまうのでしょう。とくに香港は数時間しか滞在していないため明らかに怪しい人間でした。でも何か不都合なものが荷物から出てくることなく終了しました。最後は検査官から「ご協力ありがとうございました」との言葉も。これで中国出国です。
ベトナム入国は問題なく通過できました。ベトナムは入出国カードが不要です。
まさか他国のいざこざによってこのような面倒なことに巻き込まれるとは思いませんでした。今後も中国に行った際はこの件で色々聞かれるのかもしれませんよね。パスポートを10年で取得しましたが、5年のパスポートを取る人の気持ちがなんとなくわかりました。10年間旅の思い出となりますが、それは10年間の縛りがあることにもつながるわけです。まぁ消したいのであればパスポートを紛失してしまえばよいのでしょうが。
これよりベトナムです。中国、香港、マカオとずっと初めての国でベトナムも初入国です。果たしてベトナムの居心地はどうなんでしょうかね。これよりベトナムの首都、ハノイに向かいます。