改正道交法で変わる電動キックボードに乗ってみた
私の昔の移動手段はバイクでした。バイクがあればどこへでも行ける。雨が降ってもバイク移動。その当時は利便性が高い乗り物でした。渋谷にバイクで行った際は道玄坂のところ、新宿は西武線のところ、上野はバイク村のところ。2006年の道交法が改正されるまではバイクの路上駐車の取り締まりはほぼされておらず、駅のそばに停めることができました。
交通渋滞の影響も少ない、車に比べて維持費も安い、その時のバイクは使い勝手がよかったです。
しかし改正後、業務委託された駐車監視員制度ができバイクの路上駐車も反則金を取られるようになりました。車両なので当然のことなんですが、問題なのはバイク駐車場がそこまで整備されていなかったことです。駅前の駐輪場は125ccまでしか停められない。パーキングに停めたいけど自動車専用のためバイクは停められない。どこに行くにも事前に駐車場があるかを調べなければなりません。それまで利便性が高かったバイクが使いづらくなってしまったのです。結果的に乗る頻度は減り、バイクを手放しました。
趣味としてバイクに乗りたくなりますが、移動手段として乗ることはもうないのでしょう。移動手段で買うとするなら原付二種にします。ハンターカブとかよさそうですよね。
そもそも都心ではバイクを必要としないんです。都内では分刻みで電車が走ってます。利便性が高いのは電車なんでしょうね。
でも、駅から歩くと少し遠いってところ、あるじゃないですか。歩けない距離じゃないけど歩いて行く距離でもない。そんなときに便利なのがシェアサイクルです。
都内には複数個所ポートがあります。15分70円。スマホアプリで借りれて支払いもカード決済なので登録さえしておけば面倒な手続きが不要。ちょっとした買い物にも使えるし、天気が良い日はこれで少し遠出もできます。
実際私は東京の日本橋から京都に向けシェアサイクルを使用しました。
途中借りれない区間がありましたが乗り捨てできるシェアサイクルだからこのような使用方法ができるのです。シェアサイクルは電動式アシスト自転車。漕ぐのをアシストしてくれるため坂道も無理せず登れます。普段運動していない私でも疲れることなく一日で50km走れました。もちろんバイクのように漕がずに乗ればもっと楽して移動できるのでしょう。
先月道交法の改正案が可決されました。
改正案の内容は電動キックボードを「特定小型原動機付自転車」という新しい車両区分を新設することにしたそうです。
これまで電動キックボードは原付と同じ扱いでした。しかし原付として届けている人はごく少数でほとんどの人が違法に使用していた状態でした。厳密には原付ですがほぼ自転車なので警察もそこまで取り締まることなく、当然のように電動自転車や電動キックボードを乗っている人が街中にはいました。それが今回明確に車両区分ができたため、違法に使用している人を取り締まりやすくなったのでしょう。
電動キックボードの要件は、
最高速度が20km/h以下で、車両のサイズが190cm×60cm。ミラー、ウインカーなどの保安部品がついていて自賠責に加入しナンバーを取得しなければなりません。これまで必要だったヘルメット着用は任意に。そして16歳以上であれば免許不要で乗ることができます。
この法改正は二年以内に施行を予定しているため、現状では電動キックボードは原付扱いで免許も必要でヘルメットも必要なんです。
私はこの法改正に対して懐疑的な立場です。
新型コロナウイルスによりウーバーイーツなどの宅配サービスの需要が高まりました。それにより自転車配達員が街中に増えました。配達員の中には道交法を守らず危険運転をする人もいます。実際に私の家族はウーバーイーツの配達員と接触事故を起こしました。しかしその時は宅配中では無かったためウーバーは補償をしないというものでした。そして配達員は保険に入っていません。結局泣き寝入りという状態でした。大した怪我ではなかったものの、打ちどころが悪ければ死んでいたかもしれないわけです。
このように自転車ですら危険な乗り物で、本来であれば自転車も免許制にすべき乗り物なのです。そのような中で原付とほぼ同じような乗り物が免許なしで乗れるようになるのは危険そのものでしょう。タイヤの小さい電動キックボードが車道を走るわけです。段差に引っかかってコケて車に轢かれる事故が絶対起きるでしょう。そもそも免許なしで乗れるということは道交法を知らなくても乗れるってわけなんですよね。一通逆走とか飲酒運転とか日常的に起きそうです。
ヘルメット着用は任意という点は許せたとしても、免許なしで乗せるのはどうかと思います。
とはいってもそもそも私は電動キックボードに乗ったことがありません。そのものを知らずして批判するのはよくないです。
ってことで乗ってみることにします。
こちらはシェア電動キックボードです。法改正はまだ先ですが、現在都内の一部地域では試験運用をしているんだそう。試験運用なので利用できる範囲は限られていますが、23区内であればほぼ利用可能なようです。川崎に無いためわざわざ世田谷まで乗りに来ました。
現状は試験運用なので利用する際はアプリのダウンロード、免許証の登録、道交法の簡易的試験、クレジットカードの登録といった手続きが必要ですが、10分程度で手続きできます。道交法が改正されれば免許不要となるのでしょう。
利用料金は初乗り50円。以後1分15円です。つまり一時間使用すると950円かかります。
ミラー、方向指示器、前後ブレーキ、ライト、ホーン。
それにメーターとバッテリー残量が表示された液晶パネル。
スマホを取り付ける金具がありましたが私のスマホは取り付けられませんでした。
ミラーはオマケ程度。使用中は振動でブレてほぼ見えません。後ろは常に目視。
スケボーのように少し地面を蹴って初速をつけアクセルをあけると速度が上がります。一応アクセルはスロットルになっていますが、大して速度は出ないためオンオフでしか使いません。
現在はリミッターで15km/hが最高速度になっているんだそう。法律が施行され実際に稼働する際は20km/hになるようです。最高速度が15km/hなのでママチャリに追い抜かれます。そのため後ろは常に意識していなければなりません。幹線道路は冷や冷や。住宅街の中であれば不安はありませんが、世田谷通りとかの車道を走るのはかなり怖かったです。
大きな通りの右折が怖いので停車して横断歩道を手押しで渡ります。
現状では国道246号線の走行は不可なんだそう。理由は車が多く走ってるから。仮に通行が可能だとしても大通りは走りたくないですね。
速度がそもそも出ないのでブレーキ性能は問題ありません。車体前方に重心を持っていき、フロントブレーキをするとリアタイヤが少し上がります。思いっきり握りましたがブレーキロックすることもありません。そういえばリアブレーキを使っていませんでした...。
サスペンションは硬めで粘りはないですが、荒れている道、段差のところを走りましたが余程のことが無い限りコケなさそうです。段差でハンドルを持ってかれますが車体が軽いためリカバーできます。
コーナリングは低速なので不安定。安定させるにはリア荷重がおススメ。思いっきり倒し込めば車体を擦りそう(ビビッて倒しこめませんでした)。
30分ほど乗車しました。1分15円。時速15km。実際は信号や道路事情により時速10km以下になるでしょう。つまり分速170mなので11mで1円の計算です。
漕がずに利用できる点は魅力ですが、正直なところシェアサイクルのほうが利便性が高いです。交通量の多い幹線道路での右折は前述の通り一度電動キックボードを下りて横断歩道を渡る形となります。これなら自転車の方が楽です。おそらく多摩川のサイクリングロードは自転車専用道路ではないため電動キックボードで走れないのでしょう。自転車で歩道を少し走る分には何も言われませんが、電動キックボードだと目の敵にされそうです。あとはカゴがないため積載できる自転車の方が利便性は高いです。電動アシスト付き自転車であればバッテリーが切れても自転車として利用できますが、電動キックボードはバッテリーが切れればお荷物でしかありません。
車が走っていなくて人通りの少ない道だと便利。
そのため「住宅街の中を通って近くのコンビニに行く」くらいであれば利用価値がありそうですが、電動キックボードで渋谷から池袋まで移動するのはちょっと危険ですね。渋谷新宿間でもちょっと嫌かも。
今後法改正がされて普通に利用できるようになっても駐輪するときはどうすればよいか、駅前の駐輪場は使えるのか、鍵はどうすればよいのかなど課題は山積みです。とくに人ごみの多いところではトラブルと隣り合わせです。
現状は大阪と東京の限られた区間で試験的に運用されていますが、案外田園風景が広がる見通しの良い場所のほうが利用価値が高いのかもしれません。巡行距離はフル充電で45kmなので10km圏内で片道30分。田舎の人って車を使用しますが、ちょっとそこまでであれば電動キックボードもアリなのかもしれませんね。私の所有する山林からコンビニまでが10kmほど。ちょうどよいんじゃないでしょうか。
問題は結構急な坂道があるんですが、これで登れるんでしょうかね。でも下りは峠を攻めている感じで楽しそうです。個人的には250ccで中型免許で乗れるガソリンエンジン駆動の電動キックボードが欲しいです。